海喑

Open App
7/18/2023, 2:54:30 PM

あなたが死ぬ前に言いたかった事があるの。
私と、貴方だけの秘密を作りたかったって。
なんて、死人に口なし。言ったって無駄か。

7/11/2023, 11:46:19 AM

大好きな人が、大好きな先輩が、死んだ。
それを知ったのは学校だった。急に全校集会が開かれたと思ったら先輩のクラスの人達は声を上げて泣き、担任は涙を流しながら、警察の事情聴取を受けに学校から出ていくのが見えた。
……そして、そこには先輩の姿はなかった。
嗚呼、そういう事か。私は全てを悟った。
死んだんだ、私の最愛の人は。そうか、そうだったんだ。だってあの時から私は避けられてる気がしていた。
その理由が分かった。
忘れて欲しかったんだ。今からする行為で私を傷つけたくなかったから。
隠してたはずなのに、バレてたんだ。好きだって事。だからこういうことが出来るんだよね。
そうだよね。
……ねぇ、ホントのこと言ってよ。お願い……
そう言ってもあなたはもう言葉は発せない。動くことも出来ない。
私はこれから一人で生きていかなきゃいけないのか。
校長が何か言ってる中私はずっと泣きじゃくっていた。誰よりも。
声を上げて、名前を、聞こえないのは分かっているけれど、声が枯れるまで、叫び続けた。
涙も、声も枯れ果てた時だった。
命の光が消えた貴方から1件のLINEが届いたんだ。
震えた指で通知を押す。すると
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
俺の事を最後まで愛してくれた海暗へ。こうやって文面になってしまったけど、言わせてもらう。
海暗の事を。
俺は最初、怖かったんだ。知らない人、それも自分よりも年下の子と仲良くすることなんて。どう接したらいいのか、分かんなかった。だけど時が経つにつれて、慣れていって、普通に話せるようになった。
悩み事を真っ直ぐな目で聞いてくれて、頼んだことはちゃんと成し遂げてくれる。秘密も守ってくれる。
そんな海暗は輝いて見えたんだ。海暗は俺の事を第一に考えるがばかりに体調を崩したり、許しすぎることもあったと思う。だけどそれを笑って許したり、ポジティブに考えられる海暗は
俺にとっての太陽だったと思う。
そんな海暗を
俺という檻に閉じ込めたくないんだ。
月で太陽を隠したくない。
太陽に忘れてもらいたい。

お前に俺という存在を忘れて欲しい。
だから俺は……
なぁ、海暗。最後に約束してくれる?

俺が居なくても、俺以外の誰かの隣で笑っていて。
頼んだよ。

それじゃあ、またいつか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
枯れたはずの涙がまた流れ落ちてきた。
そんなの無理に決まってるじゃない。あなたのおかげで私は本当に笑うことが出来たのに。
それを別の誰かでやってくれなんて……
でも、貴方が願ったことなら、やるしか無い。
私は流れる涙を拭って、前を向く。
あなたの望んだ私になるために。
あなたの理想になるために。

7/7/2023, 2:49:19 PM

七夕、至る所に竹と短冊が飾られている。そんなことだけで願いが叶うというのだろうか。
私には信仰心というものがないからそれは未だに分からない。でも、今年は書いてみようか。
と思ってそこに寄ってみる。するとみんな
彼女欲しいだとか健康でいたいだとか。そういう私利私欲や人体のことを気遣っているということが分かった
成程。そういうのを書けばいいのかそこにおいてあった短冊の人気に無い色なのだろうか。
灰色の短冊を手に取りネームペンを左に持ちサラサラっと願いを綴る
内容は
「離れ離れになっている大好きな人に会えますように」
だった。あと5年ほどで会えると思っているがその5年を少しでも短くしたいのだろうか。私はそう書いてはこの中に入れてその場から去る。

叶ったとして、それは私の理想の中だけの話なのだから。

7/4/2023, 11:32:31 AM

暗い部屋にある洗面台の前。
鏡を見つめて自分に問いつめる
どうしてこうなるんだ、いつも。なんでだ。私はみんなの幸せを願っているのに
平等に、冷静に愛を与えている筈だ。なのにどうしてこうなってしまう。いつも…
頭を抱えつつ私は言い続ける。鏡を見ていると自分の感情の変化がよく分かる
見ていて吐き気がする。だけどそれは私への質問なのだから目を背けては駄目だというのは分かっている。
垂れた髪を掻き分けつつ私は鏡に向き直る。すると鏡の私はこう言うんだ
「その真実は私自身じゃなくて神が知っている」
『私は何時から神を信じるようになってしまった』私はその返答に顔を歪ませながら問う
「元々そうだっただろ。忘れたのか」
『そんな訳ないだろ。私…俺の両親は…お前の言い方なら神の裁きで死んだんだ!そんな神をのうのうと信じてられっかよ!』と言って鏡に拳を打ちつける
パリンッと冷ややかな音が部屋に鳴り響く
「あぁ、そうだったな。まぁ、こうなったのは大半運命という俺等を操る糸のせいだ。それの意味は神のみぞ知る。これを聞いてお前は何を思う。真実を知るため神を信じるか。これら全てに抗って自分の道を進むか。だがその結末すらも今は神しか知らない。」
『……』答える気力すら残っていなかった。ただ私は遠ざかる自分を見つめていた

7/2/2023, 7:33:15 AM

深夜2時、ほどだろうか。私はふと目を覚ます寝落ちしていたのだろうか、電気代が高騰する中で煌々と光っている明かり。鳴り止まない通知の音私はそれら全てが鬱陶しくなり電気を消し、スマホをサイレントモードにする
そして重い瞼でベランダに目をやりそこへフラフラと向かった。窓辺に立った時視界が一瞬グラっとなった。
窓枠にもたれかかりながら私は外の景色を見る
そこにあったのは
満面の夜空だった。星々は眩い光を纏った宝石の様で、それを一層映えさせる群青と漆黒のグラデーション
昔は見れなかったこの輝きを私はこうやって見ることが出来て。
あの時生きるのを諦めないで、良かったー……

Next