海喑

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暗い部屋にある洗面台の前。
鏡を見つめて自分に問いつめる
どうしてこうなるんだ、いつも。なんでだ。私はみんなの幸せを願っているのに
平等に、冷静に愛を与えている筈だ。なのにどうしてこうなってしまう。いつも…
頭を抱えつつ私は言い続ける。鏡を見ていると自分の感情の変化がよく分かる
見ていて吐き気がする。だけどそれは私への質問なのだから目を背けては駄目だというのは分かっている。
垂れた髪を掻き分けつつ私は鏡に向き直る。すると鏡の私はこう言うんだ
「その真実は私自身じゃなくて神が知っている」
『私は何時から神を信じるようになってしまった』私はその返答に顔を歪ませながら問う
「元々そうだっただろ。忘れたのか」
『そんな訳ないだろ。私…俺の両親は…お前の言い方なら神の裁きで死んだんだ!そんな神をのうのうと信じてられっかよ!』と言って鏡に拳を打ちつける
パリンッと冷ややかな音が部屋に鳴り響く
「あぁ、そうだったな。まぁ、こうなったのは大半運命という俺等を操る糸のせいだ。それの意味は神のみぞ知る。これを聞いてお前は何を思う。真実を知るため神を信じるか。これら全てに抗って自分の道を進むか。だがその結末すらも今は神しか知らない。」
『……』答える気力すら残っていなかった。ただ私は遠ざかる自分を見つめていた

7/4/2023, 11:32:31 AM