2/3/2024, 3:45:11 PM
今宵、朧月夜に咲いた花
誰を想い、月明かり見詰めているのか
空色の小さく控えめな花を好きだと言った
薄明かり照らし出す中で
悲しげに笑う貴方が浮かんでは消えていく
幾千幾億と流れる記憶の奔流に飲まれて
真っ白に揺れていた 取り戻せないままに
貴方と過ごした日々も
貴方と交わした言葉の欠片でさえも
何もないまま
ただ小さく一輪、揺れている
1/21/2024, 12:16:24 PM
白い手袋が暗闇でタクトを振る
街を埋め尽くす無数の淡い灯火たちを眺めて
星屑のレールを列車は駆け抜ける
「この旅を君と一緒に」
願いは一筋の流れ星に乗せて
深い紺色のビロードの海と
辺りを照らす夜光蝶の鱗粉と
低く響く空飛ぶ鯨の鳴き声と
この夜の奇跡を映す君の瞳は金色のビー玉のようで
どんな宝石でも敵わない
この光景を 僕は一生忘れないだろう
12/4/2023, 7:49:16 PM
夢と現の狭間に 揺らいでは消えて
もう戻れはしない カゲロウの様に儚いあの瞬間を
今でも忘れられずにいるのでしょう
永遠を信じていた僕らは ヨルノトバリを游ぐ
紺色の羽が溶け合って すべてのノイズは消え去る
そんなやさしい夜だけを駆け抜けた
幼い僕らが作り上げたそんな世界は
不完全でやがて終わりを告げる
朝焼けに染まっていく空を
いつまでも いつまでも見つめ続けていた
10/16/2023, 11:54:42 AM
苦しくて仕方がなかった日々
泡のように消えたいと願った過去
消えない傷痕
干からびた心
誰かを強く恨んだ夜
雑踏の中、佇んで
白と黒の境界線
グレーに染まる世界
全てがどうでもいいと思えたあの瞬間
少しだけ、世界に光が差した
9/22/2023, 4:32:39 PM
闇夜を照らす星々の産声が
宙の海をやさしく包む時
聞き分けのない私の小さな舟をあやして
眠りにつくまでどうか子守唄を
月まで届けて欲しい
銀の泡で包んだこの想いを
鯨が歌った愛のうたを
淡い光が満たす
丸い水槽を腕に抱いて泣いていた
深い 深い 紺色の中で
微かに耳に届いたメロディー
夜が呼んでいる