野良猫

Open App
8/3/2023, 8:42:05 PM

深夜二時半過ぎの
澄んだ硝子ケースの街

鯨の鳴き声で目を覚ませば
トビウオの群れが流れ星に混じって
月明かりを浴びて輝く羽がとても綺麗だった

今この世界は私だけのもので
あの星も 月も ひとりじめ

四肢を投げて 仰向けになって
見上げた先にまんまるお月さま

静寂が青く透き通って
魚たちが吐く 銀の泡が
あの月を目指してぷかぷかと昇っていくのを
ただぼんやりと眺めた


霞む視界 薄紫の灯り
白む空の雲間に気付く頃には
きっとすべて消えてしまうでしょう

8/2/2023, 9:41:54 PM

痩せ細ったあなたの手を握って

白い鳩が飛んでいくのを見たこの部屋で

今眠るは私


白磁色の天井、肌、におい

辿るあなたの思考、記憶、言葉


濁っていく 真冬の空のように

失われていく光の向こう側

スライドしていく写真は鮮明に覚えていて

此処はあまりにも考える時間があり過ぎて

忘却という暇を与えてくれない


弱々しい呼吸を吐いては繰り返し

焼き付いて離れないあなたの笑顔を夢に見た



7/31/2023, 1:49:27 PM

他人より不器用に生きて

下手くそに息をして

溺れかけている


繕わなければ『普通』を保てない

陸の魚


深夜二時過ぎの静寂がやさしく背中を撫でる

漸く呼吸が出来たと 深呼吸をして

月へ昇る泡を見つめた




7/30/2023, 12:03:37 PM

空を映すビー玉のような

海を閉じ込めたガラス鉢のような

当たり前の如く甘えてくる子猫のような

生まれたばかりの魂のように


キラキラした星のヒトカケラを拾い上げ

フゥーッと息を吹き込んで
紺色のビロードが拡がる空へ送り出す


嘘つきな僕には手に余る


軌跡を描きながら彼方へ飛んでゆく

君を眺めながら目を細めた




7/30/2023, 10:10:13 AM

この夜の向こう側に辿り着ける頃には

この嵐も泣き止むのでしょうか


額に滲む汗も

痛いほど胸を打ち続ける動悸も

鳴りやむことの無い耳鳴りも


全て消し去ってくれるほどの

優しい雨雲が覆い尽くしてくれるというのならば

嵐の夜も悪くはないのでしょう





Next