7/29/2023, 6:31:31 AM
色とりどりの飴屋が並ぶ
面を被った店主が おいでおいでと手招きをした
ゆらゆらと昇りゆく
一面を埋め尽くす提灯たちが照らし出すのは
空を泳ぐ巨大な黒い鯨
ビードロを吹きながらはしゃぐ童たちの上を
ボゥーと、低い鳴き声をあげて
ゆっくりと凪がれていく
どこかで見たような
何か大切なものを忘れてしまっているような
そんな郷愁が、一陣の風となって
夜市を裸足で駆け抜けていった
7/27/2023, 7:45:33 PM
八百万の神々の 詔を賜ると
我こそが御使いぞと
八百万の民草もまた 口を揃えて宣った
信仰といふ偶像は 幾多数多の祈りを糧に
那由多の彼方まで膨らんで
それは光であり それは深淵でもあった
救いの手を求める者
されど畏怖の対象となる者
古今東西 移ろえど変わらず
その心見えず
己が心すらも見失う
7/26/2023, 3:04:08 PM
私という人物は御大層なものではありません
すぐに面倒臭がり放り出したくなるし
ちょっとしたことで腹を立てるし
正義か悪か、そんなことはどうでもよく
私というものに害なす者は簡単に呪うことだってある
なんの取り柄もありません
他人に嫉妬するほどの気力も失いました
未来への希望、ありません
そんな私でも
そんな私でも
世の理不尽なニュースには少しばかり憤るし
自ら命を投げ捨てた者の噂を耳にすれば
その人生を思い、少しばかり憂うこともあるのです
私の人生は御大層なものではありませんが
私に優しい者たちの人生が
少しでも幸せであればと
願うくらいの心はあるのです
7/25/2023, 2:18:48 PM
青い鳥は逃げた
いや、解き放たれた
空になった鳥籠を見つめる
幻影を見る
囚われていたのは果たして何だったのか