野良猫

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色とりどりの飴屋が並ぶ

面を被った店主が おいでおいでと手招きをした

ゆらゆらと昇りゆく
一面を埋め尽くす提灯たちが照らし出すのは

空を泳ぐ巨大な黒い鯨


ビードロを吹きながらはしゃぐ童たちの上を

ボゥーと、低い鳴き声をあげて
ゆっくりと凪がれていく


どこかで見たような

何か大切なものを忘れてしまっているような

そんな郷愁が、一陣の風となって
夜市を裸足で駆け抜けていった





7/29/2023, 6:31:31 AM