しばらく会ってなかったね。
この前会ったのは1年前だっけ?
君のことをずっと考えていた。
常に頭の8割は君のこと。
最近は考えないようにしてたんだけど、、意識すればするほど会いたくなってしまうから。
おかけで充実してたよ、自分を見つめ直す時間ばかりだけどね笑
そうそう、相変わらず僕はひとりだから。
君も一緒だもんね、寂しいよね。
え?君も充実してた?
会わなくてもいいくらいって?
よかった、君からそんな言葉聞くことができるなんて思わなかったよ。
また一緒になれないみたいだね。
僕たちはすれ違いばかり。
でも、本質は繋がっていて、いつかひとつになる。
わかっているから。
まだ生きていていいんだよ、と僕は迎えに来たその静かな影に背を向けた。
最近入ってきた新人が、無性に腹立たしい。
マイペースに、自分のできる範囲でしか動かない。もっとこいつは動けるやつだと思って採用したのに。
クソっ、やっぱりこいつも嘘つきか。俺の話を聞かないし、言ったこともできない、経験も知識もない。かといって、周りを明るくさせるどころか暗くさせる。
学歴はそこそこあるはずなのに、蓋を開けたらただの無能か。
仕方ない、こいつは無知だし都合よく扱って、飽きたら辞めさせるように仕向けるのもいいかもしれない。
あれ、俺ってこんなに腹立たしく思ってしまうくらい、余裕ないのか…?俺が身を削って働いて、他のメンバーは優秀な環境を作ってきたのに、それを崩そうとするこいつが憎い?
俺は鎖に繋がれた存在で、あいつは自由なのか?
それが羨ましいのか?
あれ、観察されているのは俺の方…?
壊れたあいつに壊れた俺は、どう見えている…?
届かぬ思い
月は満ちれば欠ける。
私たちが出会ったのは、地球が月を喰らう日でした。
私はあなたに食べられた。
そして赤黒くあなたに染まったの。
その日が私たちの絶頂で、重なる思いはそこでもうすれ違いはじめていた。
満ちて、欠けて、満ちて欠けてを繰り返し、
いずれそれすらわからぬような、
溶け合う時間を永遠に過ごす、
そんな2人になりたかった。
私はあなたに染まったはずなのに、もうあなたの色をしていない。一時だけの被捕食者。
ほんとは私が捕食者かもね、
気づかず私が欠けたと吐き捨てる、
あなたは愚かで可愛いね。
愚かな私に騙された。
知らずにあなたは私を切り捨てた。
もう重なることはないのだろうか、
染めた私と欠けた私だけ知るあなた、
満ちた私に興味はないのね?
神様へ
どうして私をおつくりになったのですか。
私は苦しいのです。
恵まれていながらも、自分を大切にする術をわからぬまま育ってしまった。
人とのかかわりの中で、境界線がわからず傷つけてしまったり、傷つけられてしまったりすることが多かった。
ゆえに人に対して壁を作って生きることしかできなくなった。
それによって自身が孤立していくことも苦しいが、何より誰の役にも立てず、誰かの記憶に残ることもできず、迷惑をかけるだけの存在に成り果ててしまうのも苦しかった。
いつのまにか私は周りから、
「あいつは人間じゃない」
と言われるまでになった。
元から誤解されやすい性格だ、そう言われるのも仕方がなかった。いわゆる「普通」の人生を歩む人にはもちろん、敬遠された。
私はそのうち男性からお金を貰うお仕事を始めた。
そこでは私は1人の女性になれた。どこでも満たされない孤独や承認欲求を、お金をもらいながら満たしている自分に吐き気がした。でもここが居場所かもしれないと思った。
だいぶ夜職などに対する考えは柔軟になってきたとはいえ、それでも親世代の偏見は厳しい。
親には絶対そんなことは言えなかった。
結局、後ろめたい人生を送らなければいけない自分を何度壊したくなったことか。
付き合っていた彼に言われた、
「境界線がなさすぎて引く」
わかっている、でも壊すのをやめられない。
彼とは近いうちに別れることになるのだろうと直感が訴えた。私のために怒ってくれる彼は、まともな人だ。
だから、私のような人外に、かかわってはいけない。
私は何のために生まれた命かわからない。
壊すために生まれたの?
人生、いや神生経験豊富な神様なら、わかりますか?
出会いは月が綺麗にみえる夜に突然訪れた。
祈りを捧げることはもう習慣化。
周りへの感謝を忘れず、自分を整える。
家族と別れてからこれから1人でこの生活を続けて行くと思っていた。
1年前からはじめた神社巡り。少し遠くの神社に参拝するめに、車を走らせながら向かっていた。その道中、配信をしていた。そんなに視聴者は多くない。その中で、突飛なコメントが飛び込んできた。
「2人でお話ししたいです。」
プロフィール画像は女性の後ろ姿。ぱっと見かなり若く見える。娘がいたらこれくらいだろうかと思う。そんな子が2人で話したいとは何事だろうか。配信も他に2人だけしか見ていない。興味を惹かれた私は、彼女がいいならと2人で話してみることにした。
連絡先を教えてもらい、無料通話で話すこととなった。
彼女は大学生。私の住む地域からはかなり離れた所に住んでいるようだった。たまたま見かけた配信で、私の声に惹かれたらしい。真っ直ぐに「声がどタイプでやばい好きってなった。」と伝えられると悪い気はしない。
彼女とは夜中から明け方まで話し込んだ。はじめてあった気がしなかった。特に深刻な話をされるわけでもなく、ただ心地よい時間だった。それが余計に謎であった。この日限りだろうと思っていた。
しかし次の日も彼女から連絡が来た。
「昨日の月が綺麗で、またみたいなって思ったの。」
そこから毎日彼女と連絡を取るようになった。お互いの日常を共有し、暇さえあれば電話をずっと繋げる生活になった。日常に彼女が知らず知らずのうちに侵食してきていた。
知り合って数日後俺は彼女の住む地域に行くことにした。突発的に。
別に特別会いたかったとかそういうのではない。
ただその日会う予定だった女性にドタキャンされモヤモヤしていた。顔も見たことないが、毎日長電話してくれる彼女なら、たぶん会えるだろうと直感が訴えたのだ。
あわよくばその日中に触らせてくれるかもとか考えた。まあ、最近の若い子だし警戒心はそれなりにあるだろう。期待はしない方がいい。連絡すると彼女は尻尾を振っている様子が目に見えるようなテンションで、「今日来る!?どうしよう嬉しすぎておかしくなりそう」と変なことを言いながらも受け入れてくれた。
片道5時間。
待ち合わせ場所に彼女はいた。
少し罪悪感がある。
毎日祈りを捧げていたら、こんな出会いがあるなんて。
月の元、繋がったご縁。
このご縁がまさか俺の人生を大きく変えるようになるとは。
1人で祈る毎日が、2人で祈る毎日になるのはまた別のお話。