星乃威月

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9/18/2025, 4:03:18 AM

彼女と散歩中、突然、靴紐がほどけた

何か不幸の前触れか?
それとも、俺の身代わりになってくれたのか?

初恋の彼女との散歩道

この恋が実ればいいのに──



ー靴紐ー

9/11/2025, 7:44:41 PM

雨の中を、ひとりきりで泣いていた

他に人は見当たらない

そこにいるのは、自分と、打ち付ける雨だけ──


俺は、たったひとりの肉親を、雨の中で失った

母が駆け落ちしたのだ


俺の事は邪魔だからと

必死に引き留める俺の手を振り切って

母は行ってしまった


打ち付ける雨の中

俺はひとりきりで泣いた、泣いた、泣き続けた


泣いたって、母は戻って来ない……


そんなこと、分かりきっていたのに

涙と、抑えきれない感情に押し寄せられ

雨の中で、ワンワンと大声を上げて泣いた


来年から中学生になる

泣いてる場合じゃないのに……


けど、止められないんだ、溢れ出してくるんだ

唯一の肉親を、母を引き留められなかった

俺自身の無力さに、心が砕けそうで──


雨の中で、自分の意識を必死で留めていた

母への愛情が、憎しみへと変わらないように……



ーひとりきりー

9/9/2025, 5:26:49 PM

荒んだ心のフィルターから覗く俺は

酷く顔色が悪く、妙に痩せこけて

やる気も気力もなくなった

まるで、ムンクの叫びのような姿


夜中、柳の木下で

ヨロヨロ、ヒョロヒョロ

お化けのようにさ迷い歩く


何の脈絡もなく、何の宛もなく

ただその場に居るだけ


周りは、俺を空気のように扱い

居ても居なくても変わらない風貌で

目の前を通りすぎて行く


俺は、確かに実在してるのに

何のために生まれたんだ──?



ーフィルターー

9/8/2025, 10:49:55 PM

俺には、夢があった

勉強できて、運動神経抜群で、誰からも愛される

そんな人になりたかった


毎日毎日人だかりで

「キャー!
 アキラー!こっち向いてぇー!
 キャー!カッコいいー!」

と、あちこちから惚れ惚れした溜め息が漏れてくる

そんなアキラの姿を日々見てると


『俺も仲間に入れて欲しい!』

と、思う時が、何度も訪れた


声をかけたかった

友達でもいい、知人でもいい、顔見知りでもいいから──


けど、できなかった

勉強はできない、運動音痴で、誰からも愛されない

『何を口実に話せばいいんだ?
 何もかもが正反対の俺が、アキラの仲間になったって
 アキラの面子が丸潰れになるだけじゃないか
 俺には、仲間になる資格がないんだ……』と

毎日毎日、たった1人で昼食を摂った


それを見ていた周りからは

「フフッ
 アキラとは正反対ね」

と、指を指されて笑われた


ある日、耐えかねた俺は

仲間になれないことを、母に相談した

けど……

「今更、何言ってるの?
 もう中学1年でしょ?
 そんなことより、進路を早く決めなさい
 自分で考えられるでしょ?」

と断られた


母の言葉は胸に突き刺さった

したくてしてきたんじゃない!

正反対のこの屈辱を、この俺自身を

俺は、毎日毎日我慢して耐えてきたんだ!!

自分で考えても分からなくなったから、相談したのに──


俺は

『苛められてないだけ、まだマシか』

と、その後も1人で自分を励ましていた



ー仲間になれなくてー

9/8/2025, 8:53:42 AM

傘も指さずに、雨に打たれながら佇む君

何をしてるのだろう……


声をかけようとしたら、君は振り返った

泣いていた


泣き声が聞こえないように

誰にも心配かけないように

迷惑かけないようにと

人気のな居場所を敢えて選び、泣いていたらしい


「どうしたの?
 何かあった?」


居たたまれず、声をかけた


「いい
 話したって、どうにもならないことだから」


君はまた、遥か向こうを振り向いて

声を殺して、再び泣き続けた


何も出来ない

その悔しさに苛まれ

悔やんでも悔やみきれずに、泣いてるのだろう


辺りの雨は、まるで君自身の心を映したかのように

暗く荒んで、荒々しかった


君の心に

希望の灯火となる晴れ間が訪れますように……


俺は、願うしかなかった



ー雨と君ー

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