星乃威月

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7/27/2025, 3:00:06 AM

一筋の純粋で透明な滴り落ちる雫
とても儚く、切な気な

悲しくて切なくて
溢れる感情が治まらない

溢れ出る思いが込み上げて
堪えきれずに涙流れた

涙の後も、切なくて
ツラい気持ちが溢れ出て
何度も何度も泣きわめく

心が晴れぬ
やり場のない思いに胸を駈られ
更に更に涙が溢れ出た

涙の枯れる時は来ないのか?
と思えるほど
永遠とも思える時間を泣き叫ぶ


泣き疲れた早朝
おもむろに外へ出る

昨夜の雨に打たれながら
ひっそりと芽を出した
露に濡れたままの二葉の姿

次第に朝日の日が差して
キラキラと光輝く姿に
胸を打たれた




ー涙の跡ー

7/25/2025, 11:07:23 AM

ジリジリと

肌を焦がす真夏の太陽

蝉がミーンミンミンと

鳴いてる中でも

羽織った半袖靡かせて

ヒラヒラ、ハタハタと音を立て

自転車漕いで、駆けてくる


熱中症警戒アラートが発令されて

どんなに暑い昼間でも

心の芯まで冷めゆく夕立

雨風に打たれたって

君は、ヒラヒラ、ハタハタ

半袖を靡かせて、駆けてくる


受験生でしょ? 忙しいんでしょ?

わざわざ会いに来なくても……

言いかけても、君は無視して

ヒラヒラ、ハタハタ

羽織った半袖を靡かせて

私に会いに、駆けてくるんだ


愛しいよね?切ないよね?

大盛況の花火大会の日にだって

ヒラヒラ、ハタハタ

羽織った半袖靡かせて

自転車漕いで、駆けてくる


愛しいね、優しいね

半袖王子の名があれば

きっと君の事を言うだろう


ヒラヒラ、ハタハタ

今日も自転車漕いで、漕いで

君は、半袖靡かせて

駆けてくるんだ、駆けてくる


星降る夜にも、晴れ渡る朝も

私の事を思い出して

ヒラヒラ、ハタハタ

駆けてくる


愛しい愛しい、半袖王子

愛してるよ



ー半袖ー

7/25/2025, 9:16:36 AM

《過去へ行クニハ、ソレナリノ代償ガ伴イマス
 ソレデモ、貴方ハ、過去へ行クトイウノデスカ?》

機械音のような電子音にも似た声が、頭に響き渡る

「それでも構わない、やってくれ」

《承知イタシマシタ……
 只今、2025年7月25日18時59分59秒ノ日時ヲ持ッテ、以降へノ未来二ハ、行ケマセン
 代償ハ、肉体ノ崩壊
 何度、過去へ戻ロウトモ、肉体ハ常に滅ビ続ケマス
 ソレヲ、オ忘レナク》

棒読みにも似た電子音は、言葉を言い残し、ブツッと消えた
途端に、手足と銅を金属片で拘束され、身動きがとれなくなる

「うあっ!!!」

両腕、両足には、図太い延長注射器で、青緑色の液体を、無理矢理注入されていた
全身に走る激痛のあまりの痛さに、目を見開く

「イダッ‼
 何なんだ、これはっ!」

頭には、何千本もの電磁機器を付けられ、目の前の映像が上下にグルグルと回っていく
目が回り、思考が遥か遠くへ持っていかれそうな感覚に襲われ、意識が遥か彼方へと持っていかれた

「お……俺は……いったい……」

◇─◇─◇

〝ブォウン……ッ〟

ロープが引っ張られるような音がして、気が付いた

「た、立ってる!」

多少ユラユラ揺らめいていたが、バランスを保って立てていた

「良かった……
 意識は……どうにか、持ち堪えたようだな……」

手足に注入された薬の影響が心配だったが、なんとか無事のようだ
ふと気づいた

歩けるか……?

1歩、また1歩と、足を前に踏み出す
とりあえず、バランスを崩さずに歩けるようだ
ホッと胸を撫で下ろし、ひと安心する

「あ、歩けた……
 良かった、体も無事のようだな……」

辺りを見回すと、青々とした山々が聳え、肌色の砂浜、のどかな青い海、晴れ渡った青空が広がっていた
見慣れない景色だが、どこか日本に似た地形をしている

「ここは……?」

暫く、海を眺め、ボーッと物思いに佇んでいた

しかし、ここはどこなのか、何のために来たのか、俺は誰なのか……?

何度繰り返し考えてみても、全く思い出せない
思い出そうとすればするほど、霧となった濃霧に阻まれ、また同じ考えの繰り返し……
これでは、埒が明かなかった

「このまま、時だけが過ぎ去って行くのか……?」

やり場のない思いに駆られ、一人座り込んで、ボーッと海を眺めていた
遠くの方から、キャッキャとはしゃぐ子供の声が聞こえてくる

「話す言語から察しても、やはり、日本か……」

ホッと胸を撫で下ろす
服以外は、何も持っていない
もし、これが海外だったら、言葉が通じず、路頭に迷い込んでいただろう……
そう思い込んでいた時だった

「おじちゃん!何してるの?」

複数いる子供の内の一人が、声をかけて来た
麦わら帽子に、虫取網、胸には虫籠をぶら下げている

「ブフッ!」

海辺とは思えない格好に、思わず吹き出し笑いをしてしまった
困ったように顔をしかめる子供
徐々に泣き出しそうな顔へと変わっていった

「ママ~!おじさんに笑われた~」

ワンワンと泣き叫びながら、子供の駆け寄る先には、白いワンピースに身を包んだ、一人の若い女性が
しゃがみこみ、駆け寄る子供の頭を、優しく撫でている

「ケンタ?
 海に来ても、虫さんはいませんよ?
 その格好を見て、おじさんは笑ったの
 海では、貝拾いをしたり、砂浜で砂遊びをしたり、海で泳ぐものよ?
 今度からは、気を付けましょうね」

と、優しく宥めていた

「あの、白のワンピース、ケンタって名前……
 どこかで見覚えが……聞き覚えもあるような……
 ……ん?待てよ、ケンタって……っ!」

頭の中で、謎めいていた点と点が繋がったように、ハッとした

「まさか!俺の、幼き頃の記憶か!」

そうだ、俺の名前はケンタ
幼き頃、俺は、母を病気で亡くしていた
母の病名は、確か……膵臓癌のステージIV、末期癌だった
気が付いた時には、既に進行が進み、多臓器に癌が転移してて、手の施しようのない状態だと、主治医から告げられていたっけ……?

母を失ってからは、父親の手1つで育てられてきた
母を亡くした悲しみは、大人になっても未だに癒えず
学生の頃は、母親がいる家庭が羨ましくて、母に似た姿を見かける度に、母に甘えられなかった物悲しかった思い出を、今でも覚えている

「かあ……さん……」

思い出すだけで、涙が溢れる

呼び掛けたい、駆け寄りたい……
駆け寄って、抱き締めて、俺も『ケンタ』だよと、伝えたい……

けど、そんなことをして、いったい何になると言うんだ?
ただ、母親と、その子供を、困らせるだけではないのか……?

一瞬、そんな考えが、頭の中を横切った

「貴方は、どちら様でしょうか?
 どこかで見かけたような顔をしておりますが、お知り合いですか?」

懐かしき声……

突然、こちらに身を向けた母が、話しかけてきた

どうする⁉どうすれば良い⁉
このまま気付かれては、恐怖に怯え、母子共々、逃げ去ってしまうだろう
これでは、過去へ来た意味がない!

「お、俺は……!」

言葉に詰まった
何と返したら、母子に不信感を与えず、この場を丸く済ませる事ができるだろうか?
考えても考えても、頭の中は濃い霧に包まれ、アイデアなんか思い付きもしなかった

「……俺は……」

心臓が高鳴る、緊張で汗が溢れる
困った表情を浮かべる俺を見て、母は察したように言葉を発した

「まさか……記憶喪失ですか?
 このご時世で居るなんて、大変ね……」

と、俺の顔を心配そうに見つめている

良かった……
同じ血を分けた人間だと知られたら、さすがにヤバイと思ったが、そこまでは悟られなかったらしい……

高鳴ってた胸を撫で下ろし、俺は久々に息を吸った

「顔色が悪いわよ?
 良かったら、家で涼まない?
 ここから近いのよ、そう大して遠くはないわ」

微笑む母の顔
久々に見る母の顔は、とても美しく、つい見とれてしまうほどっだった

「写真とは、比べ物にならないな……」

つい、本音がポロリと出てしまった

「何か、おっしゃいましたか?」

その言葉に、ハッとした

そうだ、ここでの世界では、母はまだ生きている
無闇に言葉に発したら、全て伝わってしまうのだ
口を慎まなければ……!

俺は、気を引き締め、言葉を続けた

「い、いえ……何も……
 え、えっと……見ず知らずの人を家に招いて、大丈夫なのですか?
 突然だし、誰かが困るのでは……?」

俺は、父の事を心配した

心配性の父だ
何かあったら、一目散に駆けてくるだろう……
父と似た顔を見たら、母も子供たちも、どんな思いをするだろう……

気が気ではなかった

「そんな、気にしないで
 主人は今、長い単身赴任で、家にいないの
 ちょうど部屋が空いていますし、困ることはないわ」

「ですが……見知らぬ異性ですよ?
 子供たちも、困るでしょうし……」

子供に顔がばれたら、一貫の終わりだ……
そう痛感した時だった

「子供たちは、父の顔を覚えてはいないわ
 夜遅くまで働いて、朝早くに出掛ける
 そんな生活を繰り返してる内に、父を『親戚のおじさん』だと勘違いするようになってしまってね
 困ったものですわ、本当に……」

クスクスと笑って見せる母

そっか、確かに……

父と顔を合わすようになったのは、母の死が切っ掛けだった
この地には、親戚も身よりもなかったから、母の死は、父にとって、とても大きかっただろう

家のことも、家族のことも、母の病気のことだって、何も知らなかった父
母代わりを強いられたその気苦労を想像すれば、心がズキッと傷んだ
したくて担った責任じゃないのに、父は俺の事を、どう思って育ててきたのだろう……

考えただけで、心は縛られる思いだった

「それに……あなたは、行く宛はあるの?
 宛があるなら、既に動き出してても、いい頃よね?」

母は、クスッと笑って見せた

心優しい母
そんな母が、この世から亡くなってしまうなんて……

「……あっ!あの!」

思わず呼び止めてしまった
声に振り返る母の笑顔に、言葉が詰まる

何て返したらいい……?

「何か用?
 話なら、家の中で聞くわ
 外は暑いでしょ?
 着いてきて」

◇─◇─◇

困る俺をさておいて、母は子供たちを連れて、家へと案内していった
海沿いの道を抜け、森の中へと入る
吹き抜ける涼しい風、そよぐ木々からの木漏れ日、聞き慣れた蝉の声、鳥の声、見慣れた虫たちの姿……
俺は、こんなに自然豊かな屋敷に住んでいたのか!と、ハッとさせられた

「ここが玄関よ?
 分かりづらい所で、本当に申し訳ないわね
 暫くは、裏の部屋から出入りしていいから」

と、意味深めな言葉を、母は発した

「それって……」

「父の親戚かしらね?
 貴方の顔、似てるのよ、家の主人と
 ばったり近所の人と出くわしたら、貴方が大変でしょ?」

と、母は何かを見透かしたように話す

「そ……そうですね……
 わざわざ、お気遣い、本当に申し訳ありません
 有難う御座います
 何てお礼をすればいいのやら……」

「礼なんて、良いのよ
 貴方が元気でさえいてくれれば、私は嬉しいから」

と、再び微笑む

笑顔が素敵な母、気の効く母、人思いな母……
そんな母が、なぜ、一人先に逝かねばならなかったのか?
俺は、不思議でならなかった

◇─◇─◇

『ねぇ……なんでよぉ……
 何で母さんは、いなくなったのぉ?
 ねぇ、なんでよぉ……』

泣いてせがんでも、亡くなった母の話をしなかった父
涙を堪え、いつもツラそうに啜り泣く姿を、何度も見てきた

いつからか、俺も母の話をしなくなった
父を悲しませたくない、これ以上悲しむのは、真っ平ごめんだと

何もかもかもが嫌になり、家を飛び出した時もあった、夜遅くまで帰らない時もあった
それでも、帰る度に、暖かく迎え入れてくれた父
俺には、父の気持ちを、何も察することができずにいた

なぜ、母は死んでしまったのか?
防ぎようは、なかったのか?
父は、なぜ母の死を話さず、涙を拭いつづけていたのだろうか?

俺は、その謎を解明するまでは、帰れないと思った
例え未来が変わろうとも、俺自身が消えようとも……

母を、救いたい!

その気持ちが、勝っていった




ーもしも過去へと行けるならー

7/24/2025, 9:18:55 AM

「カナ──ッ‼」


薄暗い廃墟と化したビルの上


真夏とは思えない、

冷たい風が吹き付ける、屋上の縁


俺の目の前で、カナの姿は突然と消えた


一瞬の出来事だった


「ケイゴ──ッ!」


彼女の悲痛な声が、

ビルとビルの隙間から、虚しく響き渡る


遠く遠く、遠退きながら


俺は、急いで、錆び付いた手すりに駆け寄り、

1階のビルの外へと、暗い階段を駆け降りていった


無事でいてくれ!


と、強く念じながら……


◇─◇─◇


彼女と俺は、恋仲だった


あの日までは……


「へへっ、へ~♪

 お前に、彼女を守る力は、あるのか~?

 返して欲しければ、跪くんだな!」


太陽の光に反射して、

キラキラと光るナイフをチラつかせ、

彼女の頬に押し当てている、謎の黒尽くめの男


「お前は、誰だ⁉

 何て事をするんだ!

 彼女を、早く放せ‼

 用があるなら、俺だけにしろ‼」


無意識に、全身に力が漲る


歯が食い縛る


吸う空気は、

空気が張りつめたかのように、冷たかった


彼女の頬からは、真っ赤なしずくが滴り落ちる


白いブラウスが、点々と赤く染まっていった


「お前には、関係ねぇーよっ!

 用があるのは、この女だけだ

 この御曹司の嬢ちゃんなら

 幾らでも金をせびれるからな!」


男は、ニヤリと顔を歪め、

尚も、彼女の頬に、強くナイフを押し当てる


次第に、彼女の頬は裂け始め、

真っ赤な血が、ポタポタと床へ滴り落ちていった


「これ以上は、やめろ!

 彼女に、手を出すな!」


俺が懸命に叫べば叫ぶほど、

男は、ニタニタと笑みを浮かべる


「だったら、どーする?

 彼女が困るよな~ぁ?悲しむよな~ぁ⁉」


男はニヤニヤと笑みを浮かべながら、

押し当てたナイフを、

下へ下へとスライドさせていった……


「ヤダッ!

 やめて──っ‼」


彼女が叫んだ瞬間、

俺の意識は飛び、

体が勝手に動いていた


〝ドゴッ‼〟


凄まじく鈍い音が、耳元に響く


手には生温かい感触が……

次第に、全身には激しい痛みが走っていった


「ウゴッ‼」

「ゲホッ‼」


ほぼ同時に、

二人は、声にもならぬ呻き声を上げていた


「ケイゴッ‼」


彼女の、悲鳴にも似た、叫び声


ウルウルと涙ぐむ視線の先には、

真っ赤な血が、見渡す限りに飛び散っていた


気が付けば俺は、

男の顔面が変形するほどの威力で殴りつけ、

男は、俺の腹を目掛けて、ナイフを突き刺していた


「イヤ──ッ‼」


目を覆う彼女の悲痛な悲鳴は、

晴れ渡った青空に響き渡った


「ケイゴ!ケイゴッ‼

 しっかりして、ケイゴ──ッ‼」


なぜか、俺の意識は、ハッキリしていた


男を見れば、ピクリとも動かない


気絶しているのか……?


「カ……ナ……?

 俺なら、大丈夫……平気だ……

 それより、今の内に、こっちへ……」


彼女の涙ぐむ顔


ホッとした安堵の顔が、

張りつめていた心を、僅かながらに和ませた


「ケイゴ……!

 良かった、本当に、良かった!

 死んだかと思っちゃったよ~ぉ」


彼女のいつもの声に、久々に緊張が解れる


ナイフは今も刺さったままだが、

彼女は駆け寄り、首を強く抱き締めた


「良かった!良かったよ~ぉ」


流れ落ちる涙は、温かく

俺の心までも溶かしてゆく……


事が終わったかのように思えた


「この……野郎が──っ‼」


男の喚き叫ぶ声が、木霊した


物音で気が付いたのか、

顔面が変形しても尚、

ふらつきながら、フフフと不気味に笑っている


今まで俺に抱きついていた彼女を、

力ずくで奪い取った


「イヤッ‼

 放して!この変態っ‼」


彼女は抵抗し、無理やり引き寄せる男の腕を、

力ずくでポコポコと殴り付けるが、

女性の弱い力だ、びくともしない


「弱っちい、弱っちい!

 何のこれしき

 蚊でも、当たったか~ぁ?ハハッ‼」


男は、ヨロヨロとした足取りで、

俺と目を合わせたまま、古びたビルの縁に足を掛けた


「おい!お前も上がれ!

 また、痛い目にあいたいか~ぁ?アーハハハッ‼」


彼女は、嫌だ、嫌だと抵抗しながらも、

渋々、男に従う


古びたビルの縁に佇む二人を、

風は、容赦なく吹き付けた


高層ビルの上

廃墟と化した今でも、

高々と聳え立つ恐怖は、健在していた


二人の足元は、

風に煽られ、ヨロヨロと揺らめいている


「これでも、彼女が惜しいかぁ?」


男は、ニヤッと笑みを浮かべると

何もない、青空が迫る後ろへと、仰け反ってみせた


「まさかっ‼」


俺は必死に駆け寄ろうとするが、間に合わない


彼女は懸命に堪えようとするが、大の男の重さだ

耐えられるはずもなく、力尽きる


彼女もまた、男と共に仰け反り、

古びたビルの縁から、足を滑らせた


「イヤ──ッ‼

 ケイゴッ!ケイゴ──ッ‼」


◇─◇─◇


悲痛に泣き叫ぶ、彼女の呼び止める声……

その声を聞きながら、俺はまた、時を遡る


彼女の命を、救い出すまでは……

絶対に、諦めはしないからっ‼




ーTrue Love ー

7/22/2025, 10:35:43 AM

明くる日も、明くる日も

彼女を思って書き綴る


もう会えないと分かっていても

忘れられないんだ


二人で交わした、夏の約束

遠い遠い日の思い出

◇─◇─◇

『きっと、お嫁さんにしてね!

 待ってるから!』


俺は本気にしていた


来る日も来る日も

貴女を思って頑張って


いつか迎えに行く!


そう決めていた

◇─◇─◇

けど、数年前……

彼女は遠い世界に旅立っていた


不慮の事故だった


悲しかった、辛かった


長年の夢を叶えに再会した時には

変わり果てた姿……


俺は……俺は、どうすればいい……?

どうしたら……


「また、来んしゃい」


彼女の母は、涙ながらに答えた


「あの頃の約束を、覚えててくれたんだね……

 娘に代わって、礼を言うよ

 本当に、有難う……」


涙が溢れ、胸が込み上げた

もう会えないと、思っていたから……


「カズ君

 本当に、ありがとね」


彼女の笑顔、声と重なって聞こえた


「またいつか、会いに来るからな……」


そう言い残して




ーまたいつかー

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