光り輝く流れ星の軌跡に乗って
目指す星へ、強い願いを抱えて
夢の大海へ飛び込む
幼き頃に見た、空いっぱいの流星群
青い流れ星が、空を横切る
あの頃に思い描いた
サッカー選手になってゴールを決める夢や
世界チャンピオンになる希望
夢のその先を思い描くたび
胸の奥が熱く高鳴る
純粋な心に背を押され
前へ前へと
見えない明日へ、足が進む
懐かしい純粋な心に導かれ
幼き頃の夢に近付けそうな気がして
夢に向かって走って行く
流れゆく星
その光を掴んで、夢を追いかけて
ー星を追いかけてー
今を生きる
今を生きている
今を見つめて生きている
大地を1歩1歩踏み締めて
今、この瞬間をひたと見つめ
今、この一瞬を噛み締めて
日々を確かに生きているんだ
だから、私はここにいる
悔いのないように
今、この瞬間を生き抜いて
ー今を生きるー
真夏の炎天下、砂のグラウンド
空は晴れ渡って、日陰が全くない
砂地の陽炎がユラユラと揺らめく
周りは大勢の観客に囲まれ
ザワザワと音が反響して聞こえた
至るところから、期待の視線が突き刺さる
足にも、熱が伝わる
熱い風が吹き付け、砂煙が立ち込めている
乾いた砂の匂いが、鼻を刺す
肌がヒリヒリして、汗でじっとり濡れる
目指すは、世界一の空
練習の時から愛用している棒
相棒を握り締めて、世界の天辺を目指すんだ
観客のざわめきが聞こえる
大勢の歓声が、次第に湧き上がる
手拍子が重なってゆく──
「行け!マナト!やったれー‼」
大声で叫ぶ、父の声がする
キラリと涙を流した母の思いを感じる
「世界を、取れー‼」
息を飲み、手を握り締めた観客
感極まった声が永遠に響き渡る
観客たちの思いに、胸が燃え、背中を押された
天高くそびえ立つ棒を越えれば、世界一
観客の期待に応えるため、家族の支援に応えるため
自身の栄光を塗り替えるため──!
意識を切り替え、一点集中に徹した
心臓が高鳴り、体全体に力が漲る
『飛べ!飛べ!飛べ!飛べっ‼』
棒を高々と掲げ、世界一の空を見上げた
「スタート……」
合図と共に、天へと向かって駆け出した
『走れ!足を、もっと速く!
胸を突き出して、天に向かって!』
目の前の天高く聳える棒に向かって
俺は全速力で走り抜けた
『行け、行けっ、行け!行けっ‼』
勢い良く地面に棒を突き刺す
握り締めた棒をしならせ、体を捻らせる
『飛べ、飛べ、飛べ!飛べっ‼』
空高く掲げられた棒に、体が届いた
『越えろ、越えろ、越えろ!越えろっ‼』
どうなったのだろう……?
俺は、いったい、何をしてたんだ……?
確か……遥か高く、遠い空を、目指して
懸命に、懸命に、練習してきた……
──あれ……?
その後、どうしたんだっけ?
頭がボーッとする
思考が回らない
この暑さのせいなのか、疲れのせいなのか……
意識が遥か彼方へ持って行かれたかのよう
気が遠くなる、体が軽くなる
まるで、全身の力が抜けたかのような感覚
羽が生えて、空を飛んでいるかのような感覚に襲われた
遥か彼方で、誰かが呼んでいるのか……?
緩やかに、羽が生えたかのように、宙を舞っている
暫くの間、空高く、体がフワリと浮かんでいるようだった
ー飛べー
今日は、大売り出し
全ての商品が半額以下で買える
貴重な一日だ
「なぜ、こんなに安い?」
「これが、この値段で⁉」
歓喜の声が
あちらでも、こちらでも、湧き起こる
「今の内に、買溜めしなきゃ~」
店内中を駆け回るから、大忙し
あれが足りない、これはまだ
頭の中も、大忙し
売り尽くしセール
年に数回あれば良いのに
なかなか無い機会だから
貴重な体験だ
『今度は、何を買おう……』
買えば買うほど、夢が膨らむ
財布の底は、尽きかけてるが
『もっと、もっと』という意欲は、尽きない
衝動買い──
この感覚に陥ったら最後
お金が尽きても、また買いたいだろうな……
ーspecial day ー
炎天下
ソヨソヨと日差し遮る木々の下、葉が靡く
涼しい風がそよいで、優しく肌を撫でた
赤く火照った体
徐々に羽のように軽くなる
ここは天国か?
羽が映えたように安らぐ
自然と一体になれた気がした
幸せだ
◇─◇─◇
ジージー、ジージー……
微かに聞こえる、懸命に鳴く蝉の声
コンコン、コンコン……
永遠と湧き出る、清らかな湧水
サラサラ、ソヨソヨ……
草木を撫で流れる、小川のせせらぎ
目を閉じれば、木々が生い茂る森の中
大自然の中に居るかのようだ
小鳥の囀りは、もはや子守唄か?
◇─◇─◇
青々と生い茂る深緑の葉の隙間
燦々と降り注ぐ真夏の太陽
光に照らされ、目が眩む
夏空を背景に、青々と映える入道雲
上は天使のように真っ白なのに
下は灰色かかっている
天まで届きそうな、大きな大きな入道雲
既に下の方では
今にも雨が降り出していそうだ
あれは、大きな巨人兵か鬼か?
天の使いかのように、雄大と流れゆく
◇─◇─◇
頭上は、雲ひとつない晴れた空
暫し時を忘れる
ゆっくり、ゆっくり……と
この一時が
この自然溢れる眺めと景色が
この場所が
永遠に続けばいいのに……と
切に願えてならないのだ
けれど……
月日は巡り、季節も巡る
時代と共に、人工物へと移り変わる
どんなに願っても
幼き頃に見てた景色は
もう、二度と手に入らない……
分かってる
分かっていながら
昔の純粋だった景色や心を切に求め
心の拠り所にしてしまうのだ
◇─◇─◇
もう、変わらないでいてほしい……
抱いた気持ちは
未だに拭いきれはしない
このまま、時が止まればいいのに……
唯一昔に思い馳せられる場所
心の拠り所となる自然は
今もこのまま
永遠に残っていてほしい……
天を仰いで、まだ見えぬ星へと切に願った
大自然溢れるこの地球を
このまま守っていてくれ……と
ー揺れる木陰ー