“心の灯火”
本来は、その物事を思い出すと心がほかほかするとか、幸せな気持ちでいっぱいになるとか、そういうことだろう。けれど、私は違う。テスト期間に彼のことを思うと「絶対、彼の大嫌いな100点を取ってみせるんだから」と、心が燃えたぎる。「見てなさいよ!!」と、強く思う。
あぁ…そうだな、私はこんな横柄なわがままを今日も並べてしまったけど、本当は彼に私を見て欲しくてしょうがない、ただそれだけだったんだろう。結局わたしは今日もまた、彼のことを思えば心がほかほかしてしまって、私ばかり幸せな気持ちになって…。
いつ、どんな気持ちが彼へと燃えたぎろうとも、私の“心の灯火”は彼だけなのだ。つまり、怒りのその先も、全ては愛なのだ。
“開けないLINE”
私の場合は、精神的にストリームのファイルが開けなかった。いわば、彼からの“開けないファイル”。
共有されたファイルを開くと、主催者のみ、最終閲覧が誰なのかを把握できる。わたしは彼のことが大好きなため、隙間時間でさえも授業プリントを閲覧したい。(あくまでもこれは下心ではなくただの学習意欲の高い生徒)けれど、最終閲覧が誰か、わかってしまうのだ。常に私が閲覧していることが、バレる。そしてここでなんと驚きの情報がある。最終閲覧者に加えて、最終閲覧時刻も把握できるということがわかってしまった。つまり、彼の共有ファイルの最終閲覧はいつも私だし、定期的に閲覧時刻も更新される、死ぬほど気持ちの悪い生徒が、存在しているということだ。
一度でもファイルを開いて仕舞えば最終閲覧は私になる。なんとも開きにくい、しかし最高に開きたい、魅惑のファイルが、今日も私を招く。
“不完全な僕(私)”
私は気が利くし、育ちの良さから出る言葉の節々と、頭だって悪くない上に、メイクもして別に下の下な顔ではない。完全体とは思えないけれど、不完全ではない。、、自傷行為をしてしまうことや、あと、その…もう、一点を除いて。
そのもう一点とは、14歳も年上の教諭に恋をしてしまったことだ。付き合えないということよりも、彼の「子供たちに教育をする」という職業に対して、邪魔な感情を抱いてしまっていることが大罪なのだ。そして、恋をしてしまったあと気付いたのは、私は彼ほど気が利かないし、そもそも私の言葉が正しく綺麗なのかも不安になる、頭はもっと良くならないと彼の隣に並べないし、大人をよく知ってらっしゃる彼からしたら私はばぶ、つまり赤ちゃんに等しい、ということ。
こんな“不完全な私”を、彼は、…見ていてくださるのだろうか。
“香水”が強い人は嫌だ、好きじゃない。よほど自分に自信がないのだろう。どこかの柔軟剤の、素朴な匂いがいい。そして街中で誰かの匂いを感じた時、これ、彼の匂いに似てるって、思いたい。
つまり私は、日常のどこかで、いつも彼を感じていたいと思っているのだ。なによりも夢中にさせてくれるただひとりの彼を。では、そんな素敵な彼にはあと何年でもっと近づけるのだろうか?それは、ほぼ不可能な未来だろう。少しでもその可能性を上げる点に対して効果的なのは、私をもっと身近に感じてもらうことだろう。私の匂いをしっかりと覚え、日常のいろんなところで私を感じてもらう為、強く匂う“香水”をつけることだろう。
「言葉はいらない、ただ・・・」
そんな可愛い言葉、わたしには到底言えやしない。言葉でだって伝えてよ、そして行動で伝えて、思ってることも、全部教えて。
そしてそんな勇気のある言葉、わたしには到底言えやしない。だいすきな彼に向かって、丁寧語でも尊敬語でもない言葉をそのまま使ってしまうなんて。
けれど、少し納得できるところもある。彼と言葉を交わすとなると、緊張して頭が真っ白になって、口から言葉は出てくるものの頭の中はずっと「・・・」。このまま。なんだかわからないことも、ない。
ある物事において、何個か納得できない点があったとしても、ひとつ肯定できる点があると親近感を持つものだ。彼からして私は「14歳も上の教員に恋をしてしまう変な生徒」だと思うかもしれないけれど、テニスが好きという共通点があることで少しでも親近感を持ってくださるかもしれない。
全てにおいて、ただ・・・私は、彼のことがだいすきすぎる一心なのだけれどね。