“君の奏でる音楽”は本当に綺麗だった。
綺麗「だった」。ピアノを弾いている姿をみて、美しい、私もあのようになりたい。君と同じような時を、君の居ないどこかでも、あの音と共に過ごしたいと思った。触れたこともなかったピアノに触れて、半年かけて君が弾いてた曲を弾けるようになった。けれどやっぱり、君が弾く音には敵わなかった。
もう君に恋をしていない今からすると、君が弾く音に敵わなかった敗因は旋律的な問題ではない。「君が」弾いている、ということが大切だったのだ。当時の私には、あまりにも「君が」美しすぎたのだ。
ただ、今はそんなことを、微塵も思っていない。私の方が遥かに上達し、大好き「だった」君のおかげで、更なる高みを志し、君に惚れ直したあの日から、鍛錬を築き続けている。
彼が“麦わら帽子”を被ったらきっと…♡♡
♡私よりも背の高い彼が(すき⁉️)
♡愛しいお髭をちらつかせながら(おぢ‼️♡)(そんなところがだいすき‼️)
♡しゅっとした顔立ちで(凛々しいよ〜⁉️)
♡眉を少しゆるめていて(可愛可愛可愛)
♡バイクに跨る彼はやっぱり…♡(いつも大人っぽいのにやっぱり男の子のロマンってかんぢ⁉️)
♡誰よりもなによりもすっごくかっこよくて!♡
♡“麦わら帽子”なんて被って、2人で風に吹かれて…♡
やっぱりちょっと、それでもちょっと、すごく素敵な人なんだけど…、はたから見ると、悪い人っぽい…やくざっぽい顔なんだよな…
“終点”まで乗ってしまったことがあった。
寝落ちてしまったわけではない。彼が、私以外の誰かと夕食に出向いたら…と思い始めたら、考えが止まらなくなり、彼のことで[頭がいっぱい]で、降りるのを忘れていた。
ふと、14歳も下の私と、恋をしてくれるのだろうかという不安が溢れる。“終点”まで「乗り過ごさなければ」こんな不安は浮かばなかったのに。そういえば、彼はバイクに乗ると言っていた。もしも2人でドライブデートをしていたら、幸せがいっぱいで、すぐに時間が過ぎてしまうのだろう。そんな彼に私は「駅まで送っていくよ。」と言われて、彼の愛しい背中に近づき、乗る電車の中では今日のだいすきな彼のことで[頭がいっぱい]になってしまうんだろうな…♡
そしたらきっと…、あぁ、私はまた過ちを繰り返し、“終点”まで乗ってしまうのだろう。
“上手くいかなくたっていい”なんて、一度も思ったことない。首尾一貫して上手くいかせなきゃいけない。失敗なんて、できない。しちゃいけない。
テスト期間の度そう思う。あと一点、あと一問あっていれば…クラス一位になれる、血涙を垂らしてでも一番になりたい。
ここまで読むと全てにおいて完璧主義な学生に見えるだろう。実のところ、私はただ国語教師に恋をしているだけの、「国語にだけ」熱心すぎる学生なのだ。なんと今回のテスト、クラス2位だった。しかも、間違えた問題はどれも惜しいものばかり。2番目。嬉しいけれども、1番にはなれなかった悔しさは一ヶ月経ったいまでも残っている。そして、私を越した1番の生徒を、すごく尊敬している。きっと私のように一問でも間違えたらいけない…と思い学門に励んでいるのだろう。そんな生徒には、こんな言葉をプレゼントしたい。
「一度くらい“上手くいかなくたって”いいんだよ…♪」
「躍るる“蝶よ花よ”今こそ妾に謳っておくれ」
埋もれていた厨二心をくすぐる、物凄く良い題。どんなに賢い人でも、夢を見ない人でも、一度くらい厨二らしい妄想をしたことはあるだろう。大嫌いなアイツを殺してみたり、大好きな彼と結婚してみたり、ヤクザを仲間にしてみたり。こうなりたいな…と願望を思うだけにしては、なかなか楽しい時間が過ごせる。
私は、正義のヒーローになったりするのも好きだけれど、綺麗なお姉さんと仲良くなることを想像する。ぜひみなさんも今、綺麗なお姉さんと脳内で会話してほしい。私の中の1人目のお姉さんはロングヘアで、さらさらで、仕事に疲れ切ってて、それを私がとことん癒す。2人目のお姉さんはほぼ異種の狐のお姉様で、尻尾がふわふわで、けれど声はふわふわではなくキリッとしてて、一人称が妾で…、、いや、こんなに語りすぎては、いけないね。
ここで何より言いたいのは、もちろん妄想するのはヒーローでも殺人犯でも構わないけれど、ここで一度、年上のお姉さんとお話しすることを考えてほしい。これはもう、とてつもなく癒される。そのまま、寝落ちれる。ここでいつものように感慨深いことを言う気にはなれない。なぜって、あんなに魅力的なお姉さんには、何にも敵わないのだから。