落ちてしまった。初めての感覚だった。何かが張り裂けるような、落ち着かないような、しかし、ふわふわとした感覚。そんな話を今日はしよう
土砂降りの雨の中だった。君の隣を歩いていた。君は手のひらを私たちの間に出して「手が白い」と唐突に言ってみせた。嫌がるかな…振り払われるかな、とも思いつつ、その手に私の手を重ねてみる。すると、なんと驚いた。君は黙って、私の手を握ったのだった。
親しい友人であれば、普通のことかもしれない。けれど、いつもなら触れることさえ嫌がる君が、私の手を握ったのだ。そのとき、私の中の恋心は“落下”したのだ。今まで友情と愛情とで揺らいでいた気持ちが、土砂降りの中で確信したのだ。
この土砂降りの中、私は 恋に ( →最初に戻る
“落下”
運命論というのを、皆様は知っているだろうか?
私は今朝はじめて聞いたのだけれど、すごくその言葉に励まされた。どうか皆様の心にも受け止めて頂けるよう、私の言葉で紡ぐので、どうか最後まで耳を傾けて頂きたい。
「僕は運命論というのを信じていてね、物事の全ては、初めからもう既に決まっているのだ。」
私にそう教えてくれた先生は変わっている人で、いつも私に新しい知識と、心に刺激を与えてくれる。今日も何かおもしろい話を始めたぞとわくわくしながら耳を傾けてみる。
「だから僕はね、なにか失敗したとしても、それは元々決まっていた運命なのだから、ずっと後悔し続ける必要はないと思っているんだ」私は先日、テストの結果に満足いかず、ずっと後悔していた。理想になれない自分を、嫌っていた。
しかし、こう考えたらどうだろう?この失敗もずっと前から決まっていたのだと。そして、今からいくら後悔しても過去は変わることがないと。この失敗のおかげで、後の向上心が生まれるのだと。私は、先生に教えてもらえた運命論を通して、自己嫌悪の沼から抜け出せたのだ。先生はいつも私に刺激を与えてくれる。逃げ場のない箱から手を差し伸べてくれる。きっと、私が先生を好きになったのも、ずっと前から決まっていた運命だったのだろう。私たちの未来はきっともう決まっている。私が願うのはただ一つ、先生の隣で微笑んでいる私であってほしい
“未来”
1年前というと、君と出会って2ヶ月ほどだろうか。恋に落ちるのはあと4ヶ月といったところ。君の人生の中での私の登場時間は、1割にも満たない。同じように、私の人生の中で、君の登場時間は1割にも満たない。しかしこれらは、あまりにも濃厚すぎる1年間だった。
それは鳥が飛び立つようにあっという間で、そしてよく記憶に残る、どれも愛おしい思い出ばかりなのだ。記憶のかけらを思い出すたびに、遠い昔のことのように思える。きっと、君のことを綴るこの毎日も、いつかは昔のことと化すのだろう。
今日は珍しく、星にでも願おうか。1年後も同じように、君を大切に愛せる私であれるように。
“1年前”
本を − 読んでいたはずだった。
テストが終わって、女の子の日も終わって、風邪っぽいのも終わって、久しぶりの癒しに本を読んでいたはずだった。なぜか、瞬きすると2時間経っていた。なぜか、睡眠をとっていた。意味がわからない。この休日の大切な時間を、睡眠に充ててしまった。人間として見ると睡眠は物凄く大切なので、休養における良い時間の使い方だったと思えるかもしれないが、わたしは本を読みたかったのだ。なぜ寝てしまったんだろう…。これだから私は…、。
ただ寝ていた、というだけなのに、ここまで自己嫌悪に陥ってから、気が付いた。今まで「躁状態」で突っ走ってきたことに。この2週間ほど、ずっと躁状態で生きてきたのだ。それは、「今全てを頑張らなくてはいけない」という突発的な私の理性の働きによって、限界やゴールなどどこにもない、その見通しのない暗闇の中をただ突っ走っていたんだ。テストにおいては好成績を求め、その努力の中で腹痛に耐え、さらには体調不良にも耐えてきた。体は確実に辛かったはずなのに、自分の体、そして自分の心のはずなのに、もう無理だと気付くことができなかった。私が足りなかったのは癒しでもあるが、まず足りなかったのは、十分な睡眠をとることだったのだろう。それを気付かせてくれたのは大好きな本だった。何の希望も見えなくなった今、私の中の光が照らしていたのは“本”だったのだ。
皆さんの近くに本があるならば、5分だけでも目を通して欲しい。中身はいつだって美しく、いつだって私たちを励ましてくれる。さっきの私のように、本そのものの媒体が励ましてくれることもある。「本を読んで何になるのだ。時間の無駄だ。」という意見もよく耳にする。それは、その通りだ。ただ、本というのは誰かの心を励まし、いつかのあなたを愛してくれる。
私は今日も、読みかけの本を手に取る。いつか、私の本を手に取る誰かを、愛せるような言葉を紡げるように
“好きな本”
君の何が、どこがすきって、そんなの一言で片付けられるものじゃないんだ!そんなに私の恋は簡単じゃないの!
と、言い切ってみたいけれど、「君の存在が好きだ。」という言葉で片付けることができてしまう。その笑顔も、私だけに向ける真顔も、しらけた顔も好きなのだ。ただ、最近、好きなのかどうかわからなくなる。2人でいると安心しすぎているのが原因なのかわからないが、どきどき、は、しない。倦怠期?とも思ったけれど、倦怠するほど君からの好意はない。少なくとも、私と同じ「好き」ではない。
そんな葛藤に明け暮れ、今日もまた、君と夕日の下を歩く。このあいまいな空模様は、この心模様は、いつ晴れてくれるのだろう。君の儚い笑い声を、すぐそばで感じながら、ふと、そんなことを思ってみる。
”あいまいな空”