落ちてしまった。初めての感覚だった。何かが張り裂けるような、落ち着かないような、しかし、ふわふわとした感覚。そんな話を今日はしよう
土砂降りの雨の中だった。君の隣を歩いていた。君は手のひらを私たちの間に出して「手が白い」と唐突に言ってみせた。嫌がるかな…振り払われるかな、とも思いつつ、その手に私の手を重ねてみる。すると、なんと驚いた。君は黙って、私の手を握ったのだった。
親しい友人であれば、普通のことかもしれない。けれど、いつもなら触れることさえ嫌がる君が、私の手を握ったのだ。そのとき、私の中の恋心は“落下”したのだ。今まで友情と愛情とで揺らいでいた気持ちが、土砂降りの中で確信したのだ。
この土砂降りの中、私は 恋に ( →最初に戻る
“落下”
6/18/2024, 11:29:52 AM