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4/15/2024, 7:01:42 PM

兄が失踪して10年以上経っていた。

運送会社が失敗し、従業員の給料も借金も全て踏み倒し消えた。保証人だった父はその借金を背負い、肩代わりした。

当時、兄に碌な思い出が無かったので、冷たい眼で父を見ていた気がする。

コロナ化の中、対面制限で私のみが付き添う病室で、独り父は70歳の誕生日に亡くなった。70年積み重ねた時間の最期は寂しいものだった。

葬儀を済ませ、ちょうど父の誕生日から、ひと月経った日に、私のスマートフォンに見知らぬ番号から着信が入っていた。

電話番号をインターネットで調べると「大阪府西成警察署」と表示された。すぐに掛け直し、いくつかの部署を経由して生活安全課の年配の男性が早口で喋る。

「こちらの捜査中に、お兄さんが東京で見つかりましたが、自分には家族はいないと思っている、金輪際関わらないでほしいと言っています。よろしいですか」

「…結構です。ただ、ちょうどひと月前、1月9日に父が亡くなった、とそれだけ伝えて頂けますか」

「…分かりました」と言い終わると同時に電話は切れた。

父は、兄に対して相変わらず甘いな、と私はふっと笑った。

題:届かぬ想い

4/13/2024, 10:28:46 PM

「本当に、夫は昔から外面は良いんですけど、私達家族には辛く当たるような所があって、わたしの母や姉の悪口を散々聞かされてきたんです」

「それの影響だと思うんですよ。急にご飯が食べられなくなってしまったのは。え?悪口の内容?そんなのは、よく覚えてませんけど、とにかくずっと言われてきたんです」

「夫は、近所にも私の悪口を言い回るんですよ。あいつはおかしいとか、ぼけてきたとか。そりゃ片付けなど昔のようには出来ませんけどね」

「夫は警察官でしたが、しょっちゅう後輩や同僚を連れて帰ってくるので大変でした。こっちの事は何にも考えていませんからね。夫は…」

窓越しに良く晴れた青い空を背景に彼女は喋る。
奥の部屋では、夫の遺影が笑っていた。


題:快晴

4/5/2024, 9:59:31 AM


あなたが、しあわせ、と。  

思えるなら、


わたしの気持ちなど、


無いに等しい。



題:それでいい

3/30/2024, 7:10:27 AM

欧米人の死生観では、soul(魂)は永遠に不滅で、それがbody(肉体)の中に宿っている。

魂と肉体は別々のものと考えられている。

よって、
He has been dead for two years.
「bodyの【寿命が切れた(dead)】状態が、【2年間ずっと継続(has been ~ for two years)】している」

という発想になるとの事。

※引用 THE GOLD ON LINEより

いつか、魂は肉体という枷から解放される。

仕事柄、人の死に関わる事が多いが、人の死は多種多様、千差万別あったとしても、

ハッピーエンドだと思っている。


題: ハッピーエンド

3/22/2024, 3:00:06 PM


「バカみたい」

素晴らしいタイトル。

私は、過去1好き。

だって、そうでしょ?

どんな言葉の語尾に付けても、

格好が良いと、思うよ。

バカみたい。

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