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7/13/2025, 4:19:38 PM

隠された真実

私は、君を傷つけた。心無い言葉で、傷つけた。

君の八の字に曲がった眉と涙を溜めた瞳、震える唇が脳裏に焼き付いて離れない。

私が一生背負っていく十字架だ。

君は「あなたはそんな人ではないでしょ」と弱々しく言ってくれたが、違う。私は最初からそんな人間だった。

他者と何気ない会話をする君はきれいだった。ずっと眺めていたいと思うほどに。

初めて話をした日の、君の透き通るような肌や笑った時の頬の紅潮が忘れられない。

私は仲良くなればなるほど、私の真実が君を飲み込み、君が恐怖することが怖かった。

そして、君に嫌われるのが怖かった。

だから私は、君を、傷つけた。

君を、守るために。

いや、自分を、守るために。

4/12/2025, 2:01:42 PM

風景

森と呼ぶに相応しい、杉林の赤土を踏む。

木々の合間、ひだまりの中で苔生す香りが漂う。

鳥や雪解け水が、季節の移り変わりを教えてくれる。


木々の背丈が低くなり、標高の高いなだらかな尾根を歩く。

まだ早い朝の空は、薄く青く遠い。

山頂までの道が、近いようで遠くに続いていた。


私はいつも、あなたの背中を見ている。

4/8/2025, 2:17:49 PM

遠い約束


ふっと降りてくる「死にたさ」

目の前を掠める「いつかの記憶」

足元にある「無力感」につまづきそうになる。



大きなおにぎりを頬張る。

涙は、止まった。


いつかまた、君と。

3/28/2025, 11:53:59 PM

小さな幸せ


君は隣にいない。

君の連絡先も、知らない。

君は今も、あの仕事を続けているかも知る由もない。


君と一緒にいる筈だった未来はもう無い。

君の未来に、私はいない。


晴れた朝。

駅に向かう時に、ふと青空を見上げた。

なぜか。君もそうしている気がした。

3/15/2025, 4:59:55 PM

心のざわめき

私が、保管庫からフロアに戻った瞬間。
本当にその刹那、誰も話さない無の時間が訪れた。

わざとらしく誰かが咳払いをする。

2週間後には退職が決まっているのだから、雑用をさせられても仕方が無いのだろう、といった言葉たちが宙を彷徨っていた。

彷徨っている言葉たちを蹴散らし、引き継ぎ書類を山積みにしたデスクに座る。

私と書類の世界。
私は今日、あなたを片付ける。そうすることで前に進む。

私は出来るだけ、優しくタイピングする。
タイピングの音だけが、静かに鳴る。

私だけの世界。宙に舞う言葉たちは消えた。


私は想像する。
2週間後、桜の花びらが舞う中、ゆるやかに歩く姿を。

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