まそむ

Open App
3/5/2026, 11:00:15 AM

いつものご飯。給食の残りものをビニール袋からお皿に移して温めただけのものとか、黄色くガビガビしたごはんとか、においも怪しいおとといのおかずとか。

そんなある日、親が夕飯の支度が出来なかったと言って買ってきたケンタ!

傷んでいない、まだ揚げて日にちもそうは経っていない、安全なおかずと白いごはん。
貪るように食べた思い出だ。

たまにケンタのチキンを白米で食べたくなる。思い出補正とわかっていても、あの味はごはんに合うとわたしは断言する。

【たまには】

3/4/2026, 10:44:02 AM

僕は空を見上げていた。
大好きだった君が逝ってしまってから、何年? 何十年経ったのだろう。
病気で苦しみながら、弱々しくすり寄ってきた君。
あの頃はキャットフードさえ数がなくて選べなかった。
今、もし君に会えたら、噂のちゅーるを舐めさせてあげたい。
きっと喜ぶだろうな。
君が生きていた時代にはそんなおやつ、無かったんだよ。

【大好きな君に】

3/3/2026, 10:06:09 AM

僕の家には大きなひな壇があって、七段飾りのお雛様があった。妹のためにと譲られたものだ。

妹は小さくてひな壇の意味もわかっていなかった。

ただ、お雛様を飾られ、お人形のように着物を着せつけられて、ひな壇の前に置かれて、親に写真を撮られていた。

置かれてという表現が一番適していると思う。
座らせられた、ではない。置かれた、のだ。本当に人形のように。親の妹への扱いはそんな感じだった。

僕? 鎧武者の人形なんてなかったよ。鯉のぼりは大きいのが上がったけれど。

【ひなまつり】

3/2/2026, 11:03:11 AM

わたしにはすがるものがなかった。

父は過保護で過干渉で過支配的で、お酒を飲んでは兄やわたしにDVを振るったし、母はワーカーホリック教師で、実の子よりも生徒さん達が大事で、わたし達に対してはネグレクトというか、興味がなかった感じだった。兄はわたしの成績が良いせいで自分に父の八つ当たりが向くのだと思っていたようだったし、わたしは家に居場所がなかった。

たったひとつの希望があるとすれば、空想の中だけだった。空想の中ではお友達が居ても怒られなかった。空想のお友達と一緒に遊んで、泣き言を言って、救われていた。

でもそれも許されなくなって、わたしは全ての希望を失った。

【たったひとつの希望】

3/1/2026, 11:20:58 AM

僕は砂漠をさすらっていた。
ここは夢の中だ。でも照りつける日光は容赦なく僕の水分を奪い、喉はカラカラに渇いている。

砂漠を日中に渡るバカは居ない、と何かで読んだ。日中は砂のくぼみにテントを張って休み、日が落ちてから極寒の砂漠をゆくのだと聞いた気がする。

でも夢の中の僕はいつまでも日光のもとで歩き続けていて、喉はカラカラで、荷物らしきものは無かった。

僕は倒れた。水を求めて宙に手を伸ばす。そこには何もないのに。
飲みたい。水をください。まだ生きていたい。

目が覚めて、僕は寝汗でびっしょりだった。まだ生きていたい気持ちが心に眠っていたことに驚いた。

【欲望】

Next