わたしの父が天国に行ってから、二十年が経つ。
でも、小さい頃から沁み込まされてきた、怒号や罵詈雑言は耳元で鮮やかに蘇る。
忘れられない、いつまでも。
そのため、複雑性PTSDだと診断された。診断してくれた精神科医とは二十年、父がこの世を去った年から付き合った。そんな先生も歳を重ねて今年交代となった。
新しい先生とは正直うまくやれる気がしない。わたしの耳には父の怒鳴り声がいつも響いていて、わたしを常に竦ませている。
【忘れられない、いつまでも】
胸に、穴を開けた。
顛末はこうだ。
マンモグラフィ検査で、わたしは引っかかった。外科に行くと、写真を見せてくれたが、キラキラがいっぱい散らばっていた。これは石灰化だと説明された。
そのまま大病院へ転院になり、日帰り手術で胸に穴を開けて中のひき肉をえぐった。その後生検でがん細胞なしと説明されたが、経過観察ということで、わたしは今夏もマンモグラフィを受けに行く。
また石灰化が見つかったら手術なのだろうなあと思っているが、一度体験しておくと度胸が座るものだ。
次はがんと言われそうだが。
【一年前】
わたしには、残念ながら恋愛感情がない。
アセクシャルという性別に生まれついたからだ。
性欲も何もない。
小さい頃、自分が異質だと思って、女の子になりたいと日記によく書いていた。
でも実際には女の子にも男の子にも馴染めず、クラスでひとりだった。
初恋なんてあるわけないでしょうが。
【初恋の日】
今日のうちに、好きなものをいっぱい食べておこう。
いちごでしょ、
マルメロ(丸ごとメロンというデザート)でしょ、
お酒の効いたパフェもいいなあ
お店がやっててくれるかな?
明日世界が終わるなら、遺品整理とか考えなくて良いし。誰に何を遺すとかも気にしなくて良いし。
本当に明日世界が終われば良いのに。
【明日世界が終わるなら......】
最初はミャアミャアという鳴き声だった。
君と出逢ったのは、物置の地下。
うみ捨てられた君は黒猫だった。
クロちゃん、と呼んだ。
君と出逢ってから、猫のお友達も増えた。
養母の家を安全圏と思った猫さん達が次々と集まってきた。
そのうち、猫屋敷といわれるようになる。
君がもし、あの時声をあげて助けを呼んでいなかったら、猫のお友達はがくっと減っていただろう。
有難う、クロちゃん。
【君と出逢って、】