養母の家にカピが来たのは、もう子犬とは言えないくらいに育ってしまった後だった。近所の小学生たちが段ボールに入れられた雑種犬を見つけて、箱ごと持ってきたのだ。中型犬でもう成犬くらいの大きさだった。養母も一度は断った。
だが、つぶらで寂しそうな瞳に見つめられ、養母は番犬にすると言って引き取った。カピは家族以外には良く吠えた。番犬にはピッタリだった。おそらくあの時引き取らずにいたら処分されていたと思う。
カピという名は家なき子の小説からとったらしい。三代目のカピなのでカピ三世と呼んで可愛がった。
【見つめられると】
ハートという英単語は心臓のことも意味する。
ここで、わたしが睡眠不足から心臓を病んだ話をしよう。多分お題は違う系統を期待しているんだろうけど。
高校の時、創作と予復習と小テストの勉強で睡眠を削りに削った。三十分だけ寝て、無理に起きて根を詰めてやり切った。そんな生活を一カ月続けたら、ある時心臓が痛くなった。
前傾姿勢で胸を押さえていることしか出来ない。勿論親は「怠け病」だと言って通院許可は降りない。苦しい中、洗濯物を干せないでいると、父に睨みつけられ、悶絶しながら家事を手伝った。土曜日だったため学校は四限まで。しかし三限で周囲に顔が真っ青だと言われ、四限には強制的に保健室送りになった。そのまま医者へ担ぎ込まれて不整脈と心臓に風邪菌が入った旨を告げられたのだ。
【My Heart】
いっぱい欲しいものはあるなあ。
普通のおうちってところに暮らしてみたかった。
傷んでない食事が毎回出てくるといいなあ。
お酒飲んで怒鳴る父がいなくて、やさしい父と、にこにこの母と、楽しそうな兄とで食卓を囲みたいなあ。
ビクビク怯えながら過ごさなくていい子供時代をください。
人付き合いもしたかったよ。
お友達が出来て親に別れさせられたり圧迫面接みたいな嫌がらせも無かったら良かった。
部活も体験してみたかった。
知ってる。全部全部、ないものねだり。
【ないものねだり】
2月といえば、バレンタインデーだ。
わたしはイベントごとは割と好きである。
小さい頃からバレンタインデーには手作りでチョコ菓子を作っていた。
小学校にこっそり持ち込んだり。
習い事のパーティで配ったり。
お菓子を作るのは嫌いではない。
ただ、チョコは好きではなく、余りにもチョコのきついものは食べられなかった。
でもチョコの日ということで、チョコ菓子を作ってしまうのであった。食べてくださるかたが喜んでくれるなら良かったのである。
【好きじゃないのに】
今在住中の場所は山が近く天候が不安定である。
山といっても、遭難者が出るクラスの高山である。
従って、晴れのち曇りのちところにより雨もしくは雪といった状況が実際に起こる。
車で走っていると雨雲に追いかけられることもある。
天気予報は概ね役には立たない。
だが、今年はどうも降水量が少なく感じる。山の雪渓もどことなく薄いし、水不足を心配するこの頃である。
【ところにより雨】