まそむ

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12/25/2025, 11:28:10 AM

わたしは結婚式をしていない。
見世物になるのも、余計な出費も嫌だったからだ。

でも配偶者の居住地へ行って、土地に拒まれていると感じたので、近場の由緒正しい神社で、結婚奉告祭をあげた。御神酒を捧げて、神官様に祝詞を読んでいただいた。太鼓は録音だった。だが儀式が終わると、ふっと体が軽くなって、土地神さまに受け入れていただけた気がした。

余談だがその七年後、まだ外見が若いうちに、写真を残しておこうと、改めて写真婚をした。こちらは出来れば写真ではなく、油彩の肖像画を誰かに頼みたかった。まあ画家さんの伝手も無かったので夢は夢で終わった。当時の写真データは、今でも大事にとってある。

【祈りを捧げて】

12/24/2025, 10:13:37 AM

わたしは多分、親に抱っこされて育っていない。
だから畢竟、ぬくもりというと猫の話になる。

猫は人付き合いを禁じられたわたしの遊び相手だった。引越しの段ボールが積まれて迷路になった洋間を掃除していた時、猫がついてきて、迷路に迷い込んで、バックが出来なくて(お尻をふりふり下がらないとその子には無理で、その隙間が全くなかった)どんどん奥へ行ってしまい、悲しい声で出られないよう、と助けを求めてきた覚えもある。

猫らはコタツに電源を入れておいておくと当然のように中で丸まっていて、コタツがぬくまったかなと足を突っ込むと猫に当たるというのが日常だった。
赤外線は猫の目に良くないと、顔だけは出させた思い出である。

猫らとの思い出も遠くなった。皆天国に行ってしまった。いずれはわたしもいくからね。

【遠い日のぬくもり】

12/23/2025, 10:07:02 AM

地震だ!

その時、わたしと養母(伯母)は夕食の卓を囲んでいた。伯母は大正生まれ、関東大震災も戦争も経験している。だから停電しても、サッとキャンドルを出してきた。流石に用意が良い。

マッチをすって、キャンドルに火をつける。あたりは揺れるキャンドルの明かりで、幻想的な空間になった。でも、やはり手元は暗い。お茶碗の中や、お味噌汁の具は確認できない。

手探りで食事を続けていると、割とすぐに電気が復旧した。伯母はキャンドルを吹いたりせず、真鍮製の、キャップみたいな洒落たものを取り出して、そっとかぶせて、火を消した。

【揺れるキャンドル】

12/22/2025, 10:14:19 AM

中一の頃、伯父がパリで働いていて、イトコ一家が住んでいたので、訪ねたことがある。夏休みを二週間使って伯父伯母のアパートに宿泊した。行き帰りだけツアーに便乗して飛行機代を安くあげた、らしい。

パリを中心にメトロで巡ったり、ロワール川沿いにお城を見て回ったりしたが、勿論ヴェルサイユ宮殿にも行った。尚、ルーブル美術館は工事中で一部しか見られなかった。

ヴェルサイユ宮殿では、まず現代的なトイレに案内され、予め済ませておくよう言われた。宮殿にトイレはないからだ。広い庭園は落書きだらけだったが、噴水が開放される日で、とても美しかった。宮殿に入っても全てがきらびやかで、回廊に差し込む光が美しかった。観光用の順路を巡って出口まで出たら終わり。

帰国後に「ベルサイユのばら」を読んだがピンと来なかった。寧ろ映画「仮面の男」でここ行った気がする! と興奮した覚えである。

【光の回廊】

12/21/2025, 10:43:28 AM

僕がタロウを拾ったのは雪の朝だった。

オスの三毛猫はいないという。でもタロウは三毛猫だった。いや、正確には四毛猫かも。雪まみれのタロウのそばには子猫が数匹と、冷たくなっている親猫がいて、タロウ以外助からなかった。まだ目も開いていない頃だ。

それからタロウは僕の一番の親友になった。病院に連れて行くと絶対にケージから出ようとしないし、お風呂に入れてもヤダヤダって騒ぐし、爪切りにも苦戦させられたけど、基本的には仲良しだった。

よちよちしていたタロウもすらりとした猫に育った。朝四時頃からお腹すいたコールで起こしてきたり、ウェットフードでなければ食べなかったり、レーザーポインターの光にじゃれついたり、一緒に日向ぼっこしたり。

老猫になったタロウがずっと寝たまま、なかなか起きなくなった頃。あれはまた寒い一日だった。年々冬が暖かくなっていくのに、突然の寒気で大雪になった。大雪の続くある日、タロウは静かに息を引き取った。

タロウのお墓は庭に作ってもらった。雪がしんしんと降り積もっていく。この雪は僕の涙かもしれないと思った。雪の日に出会って雪の日にお別れした、大事な親友を想って、僕は泣いた。

【降り積もる想い】

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