まそむ

Open App
11/28/2025, 10:38:42 AM

じゃり。足の下で霜柱が砕ける。
霜柱は十センチほどあっただろうか。わたしの幼い頃はまだ地元でもよく見られたし、雪も降った。

霜柱の記憶は幼稚園バスと繋がっている。
バスの送迎のところに空き地があって、そこの端が霜柱が多かった。小さなわたしは足で砕いて束の間の朝の時間を楽しんでいた。

その頃わたしの面倒を見てくれていたのは、わたしの誕生日に亡くなった養母だ。幼稚園年少までお世話になった。幼稚園ではお弁当が食べられず、ずっと休み時間返上で部屋に残されて、トラウマになった記憶が残っている。

あと、人には言えないようなことも幼稚園であった。
養母にも言っていなかったし、今でも誰にも話していない気がする。

【霜降る朝】

11/27/2025, 10:58:46 AM

食卓につく。準備を手伝ったり色々して、ご飯が並ぶ。子供のご飯は数日前に炊いた黄色いガビガビのご飯と、数日前に作られたおかずの余りと、ビニール袋に入っている給食のお裾分け。母が勤め先の学校から持ち帰ってくる。どれでも残せばお弁当に入れられる。(O -157が出てくる以前は持ち帰れた)

大人はお酒と、ガス釜で炊いた真っ白いご飯と、作りたてのおかずを食べる。食べ残しは数日後の子供達のおかずかお弁当になる。

酒が回った父が怒鳴り出す。兄の髪を掴んで引き摺り回す。頬をビンタする。母は父の暴行を見ているだけ。これが毎日3時間は続く。

そのうち、食べるのが早くなって、食器を台所に下げて、さっさと自室に逃げる知恵がついた。でも殴られている兄は逃げられない。

心がキリキリする。深呼吸なんて出来ない毎日だ。常に怯え、気を張って過ごす日々。

【心の深呼吸】

11/26/2025, 10:15:31 AM

わたしは、親戚中で一番歳下だった。
十四歳下の従弟が生まれるまでは。

当然のように、服はお下がりだった。
養母や母や祖母のお下がり、イトコや兄のお下がり、とにかく最後に自分に回って来るものだった。

自分で服を選んだり買ったことはなかった。
成人後に一人で暮らし始めるまでは。
(下着も与えられたものを諾諾と使っていた)

歴史が回って流行も一巡りするらしい。

母の若い頃の服はわたしが着る頃には、周囲にとても褒められた。更に、古い服は仕立てが良く、丈夫であった。わたしはほつれや破れを繕いながら着続けた。
中学の家庭科で配られた裁縫道具をまだ使っている。

【時を繋ぐ糸】

11/25/2025, 10:26:46 AM

里山に良くひとりで遊びにいっていた。
積もった落ち葉が水分を吸ってふかふかと靴の下で音を立てる。
ひと足ごとに体がゆるく沈む感覚が心地よい。

この土みたいなのが、とても良い腐葉土になるのだと学校で教わった。

僕もこの落ち葉の一枚になって、他の落ち葉と一緒にゆっくりと腐っていきたいなあ。そう思った。

夜中、ダウンを着込んで、家をこっそり抜け出して歩いた山の中。

【落ち葉の道】

11/24/2025, 11:27:47 AM

小学校の鐘が鳴る。
掃除の時間も終わって、帰り支度をする。
でも、わたしのランドセルはない。

わたしのロッカーの中にない。
机の横にもない。どこにもない。

一人で探していたら、怖い顔の男の子が、ゴミ箱から見つけてくれた。

その子はとても怖くて、正直近づきたくなかった。
でも、給食当番の重い箱を持ってくれたり、急に親切にしてくれた。
そして何も言わずに転校していった。

その子が居なくなって、わたしはゴミ箱や焼却炉からランドセルを見つけることが出来るようになっていた。その子が転校前に教えてくれていたのだ。

最後まできみが何を心に隠していたのかはわからないけれど、わたしはきみに助けられたよ。有難うね。

【君が隠した鍵】

Next