まそむ

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11/23/2025, 10:11:33 AM

休み時間とか、余暇とか、そういう時間は無かった。
わたしは大体、トイレにこもっていたから。
概ね、吐いていたり、下していたり。

うちでは子供は前日、前々日のおかずを出されていた。ご飯も、ガス釜で美味しいのを炊いているのに、日が経って黄色くガビガビになったものを食べ終えないと、炊き立ての白米にありつけなかった。当日のおかずと炊き立てご飯は、親のもの。

だからわたしには余暇や休み時間は無かったのだ。

お弁当もそう。糸を引くコロッケやべしょべしょのサンドウィッチ(ジャム付きのきゅうりなど)他、まともに食べられるものは無かった。残すと怒られた。
一旦口に詰め込んでトイレで吐くしかなかったのだ。

休み時間や余暇にやりたいことはいっぱいあった。
でも、許されなかったのだ。時間を手放すほかなかったのだ。

【手放した時間】

11/22/2025, 10:30:36 AM

わたしは幼い頃、母が嫌いだった。
正確には、母の口紅のにおいが嫌いだった。

だから抱っこを嫌がった。

そのうち母は抱き上げもしてくれなくなった。

母は働いていたから、いつも化粧がにおっていた。
幼児期は鼻が敏感なのか、わたしはそれが苦手だった。

そのうち母はわたしに関心を持たなくなった。
母のネグレクトは、わたしのせいなのかもしれない。

【紅の記憶】

11/21/2025, 10:39:35 AM

助けて。苦しいよ。
ゴボゴボ水の音がする。
助けて。

小学生のわたしは目を醒ます。水中の夢の断片が、わたしにぐっしょりと寝汗をかかせていた。

ベッタリ体に貼り付いたパジャマを見て、起きてきた兄が驚く。夢の断片を話すと、声を抑えて囁かれた。

「お前、昔、親に、水に沈められたんだよ」

当時わたしは不思議と水が怖かった。顔を洗う時も顔を水につけられなくて、猫が顔を洗うように、片手に水をすくって顔を撫でて洗っていた。その理由がわかった気がした。あの夢は物心つく前の記憶だったのかもしれない。

【夢の断片】

11/20/2025, 10:56:49 AM

目の前に、モヤモヤした生物がいた。
悪魔? それとも妖怪?

事の発端は、古書店で見つけた怪しげな古書だった。
たどたどしく文字を調べながら声に出して読み上げたら、このモヤモヤがいつのまにか目の前にいたという訳だ。

モヤモヤは僕の心に語りかけた。
(きみは何を望む?)

僕は......僕は、ためらいながら、好きな子への想いを叶えたいと答えた。

(契約成立だ)

モヤモヤは僕の両目をえぐり出した。
僕は失明した。白杖にすがる日々が始まった。

そして僕の思い人は、いつしか僕の介護士になっていたんだ。
今の僕は、目は見えないけれど、幸せだ。

【見えない未来へ】

11/19/2025, 10:49:34 AM

大きくなったら、何になりたい?
「ねこ!」

ねこになるのが夢だった。
だって殴られないし、撫でて貰えるし。
何より、愛されたかったし。

進路相談は、最初は中学受験の時。
親にこう言えと言われた通りに面接で言って、理由に詰まった。まさか親が怖くて、とは親の前だし言えなかった。

中高一貫校に進み、大学受験期が到来した。
わたしは夢のために専門学校に行きたかった。
自分で幾つか選んで、学校見学もした。
でも親はわたしの夢を全て揉み潰した。
四大卒しか認めない、有名校へ行けと言われた。
お前より世間体が大事だとはっきり言われた。

わたしは夢を、自分の人生を諦めた。
親の言いなりに生きるしかなかった。
心を冷たい風が吹き抜けた。

【吹き抜ける風】

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