récit

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4/20/2025, 11:31:57 PM

ペターポのお部屋の壁紙は爽やかなパステルブルーの無地なんだ。
ペターポは「お星さま模様の壁紙にして」ってママにお願いしたけど、ママは「壁紙はシンプルな方が心安らぐのよ」と壁紙を替えてはくれなかったの。
でも代わりに、細かい星型の穴がたくさん空いたシェードランプをプレゼントしてもらったんだ。

夜になってお部屋が暗くなると、シェードランプから洩れる柔らかな灯りが、天井いっぱいに宝石のように星明かりを映し出す。
ペターポは大満足さ。

今夜は「星明かりと銀のゴンドラ」という絵本をママに読んでもらいながら、夢の世界できっと宇宙旅行だね。

「星明かり」

4/19/2025, 11:33:51 PM

村に住むマオは、毎晩夢の中で森の木のゆらゆらしたオオカミの影絵を見ていた。だから怖くてマオは森に行くことをいつも避けていた。
でもある日、マオは夢の中の影の正体を確かめたいと思った。マオは勇敢で好奇心旺盛だったのだ。
月夜の晩に、マオは思い切って森に足を踏み入れた。木々の隙間から漏れる光の道を進んで行くと、ついに大きな影を見つけた。
マオは恐る恐る近づいてみた。すると、それは月に照らされた小さな子犬が大きく映された影だった。
足元の子犬は怯えたようにマオを見上げた。
迷子の子犬は、さみしくて震えていた。
「子犬くん、夢でずっと伝えてたのね」
マオは子犬を優しく抱き上げ撫でてあげた。
そしてそのまま家に連れて帰りミルクを与えた。

それ以来マオと子犬は、一緒に遊ぶ仲間になった。恐怖は友情に変わったのだ。
時として目に映るものと真実は異なるものだ。

「影絵」

4/18/2025, 2:33:44 PM

巻き戻さないと理解できない映画を配信サイトで観たことがある。物語の始まりが途中から始まるという意表をついた発想は、監督の天才ぶりを感じさせたものだ。この映画が監督の出世作となったらしい。
でも、映画館で初めてこの映画を観たらきっとさっぱり分からないかもしれない。再度この映画を観に映画館に足を運ぶか、つまらない映画として評価をするか、あるいは心の中で「映画料金返せ」と毒づくかのようにも思えた。

「物語の始まり」

☆メメントという映画です。

4/17/2025, 2:33:19 PM

庭先にいる一匹の猫。彼の名前はミーシャ。
ミーシャは柔らかな午後の光の中、地面で遊ぶスズメたちのさえずりを耳にして嬉しくなった。
ミーシャはスズメとの運命の出会いを求めて、ゆっくりと身を屈め、目の前のスズメに焦点を合わせる。ミーシャのしなやかな体すべては、シンフォニーの休止符のように静かな情熱と緊張感でいっぱいになる。シッポだけがピクピクと震えている。
ミーシャは無心になり、静寂を破り一気に飛び出した。
スズメたちは一斉に羽ばたき逃げ去った。

ミーシャはスズメとただ一緒に戯れて遊びたかったのに。
庭先に残ったのは退屈だけだった。
夕暮れが迫りミーシャは家に帰って行った。

「静かな情熱」

4/16/2025, 11:35:55 PM

お祭りでジョーカー姿の男が子どもたちに飴を配っていた。子どもたちは美味しい飴に夢中になり、お祭り広場を離れ、男に付いて奥深い森林へ向かった。

そこで男は言った。
「この森林を切り拓いて宮殿を作るんだよ」と。
子どもたちは言われた通りに伐採を始めた。
しかし、どう切っても木々は空に向かって伸び続け、ますます森は深くなっていった。
とうとう子どもたちは森を出られなくなってしまった。

すると遠くから
「大人から搾取されないために森を切り拓き続けるのだ。子どもだけの宮殿をつくるのだよ」
という声が聞こえ、ジョーカーはいつの間にか姿を消してしまった。
子どもたちは飴も失い迷子になって大声で泣き続けた。

「遠くの声」

☆サタイア的お話

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