村に住むマオは、毎晩夢の中で森の木のゆらゆらしたオオカミの影絵を見ていた。だから怖くてマオは森に行くことをいつも避けていた。
でもある日、マオは夢の中の影の正体を確かめたいと思った。マオは勇敢で好奇心旺盛だったのだ。
月夜の晩に、マオは思い切って森に足を踏み入れた。木々の隙間から漏れる光の道を進んで行くと、ついに大きな影を見つけた。
マオは恐る恐る近づいてみた。すると、それは月に照らされた小さな子犬が大きく映された影だった。
足元の子犬は怯えたようにマオを見上げた。
迷子の子犬は、さみしくて震えていた。
「子犬くん、夢でずっと伝えてたのね」
マオは子犬を優しく抱き上げ撫でてあげた。
そしてそのまま家に連れて帰りミルクを与えた。
それ以来マオと子犬は、一緒に遊ぶ仲間になった。恐怖は友情に変わったのだ。
時として目に映るものと真実は異なるものだ。
「影絵」
4/19/2025, 11:33:51 PM