窓辺の賢い猫は、神秘的な緑色の瞳を眠るようにゆっくりと閉じる。
すると心の目が開くんだってさ。
たとえば、豪華な煌びやかに輝く世界は、実は薄汚いドロリとした落とし穴のような場所として映る。
キラキラした飾り付けの背後には、誰かの手垢や、ぺらぺらの本音が見え隠れしている。
一方、素朴で目立たない景色からは、どっしりとした誠実さに満ちた美しさが見えてくる。
見落とされがちな道端の草花に、厳格な哲学のような深いメッセージがあるかのように感じるんだ。
緑色の目の猫は、みんなが気付かない秘密を知っている賢者なのさ。
「瞳をとじて」
僕の上空を風のように通り過ぎて行った人たちや、目的、理想、決意などのそれらが人生に絡みついている。
振り返ると、過去やそして未来すらも、ゆっくりと風のように流れて行った気がする。
次の年には、すっかり忘れ去ってしまった人もいるし、翌日にはあっという間に無かったことになった出来事も少なくない。
それでもその中で、間違いなく人生を豊かにしてくれた人たちや、行く先を決定づける出来事があった。
僕は運命なんて信じてはいないけれど、そうした出会いや別れは、何かの思し召しだったのか、あるいはもっと軽やかに、風のいたずらだったのかもしれないな、とぼんやり考えるんだ。
「風のいたずら」
広大な荒野には、耕地や牧地にも適さない無駄に見える土地がある。
そこは、何もないエアーな空間のようで、まるで、始末に困っている使用済みの大きな空き箱みたいだ。
だけど、この役に立たなさそうな荒地に隙間なく根を張る植物たちは、驚くほど美しい色彩を纏っているんだ。
イケメン猫は、君がこれまで見たこともない景色を知っている。
足元で静かに眠る猫は夢の中の冒険者なのだよ。
「まだ見ぬ景色」
空中ブランコに乗り、イケメン猫はふわりとした空気の中を漂いスイングする。リズムよくクルクルと回りながら心が踊り始める。
この気持ちのいいノリノリな感覚の中で、空に浮かぶ忘れ去られた記憶を見つけるんだよ。
ああ、そうだった、こんなこともあったな。
イケメン猫は、置き去りにした出来事の微かな温もりにそっと触れる。
すると、心の奥で少しずつほぐれていく熱を感じる。
そして、その熱は小さな希望の粒子へと変わり、未来への大切な鍵を形作っていくのわかるんだ。
「未来への鍵」
世の中の形や様々なものごとは、いつも変わりゆく。
君は変化の新しさを楽しむかもしれないし、あるいはその目まぐるしさに少し驚くかもしれない。
その変化を傍らに置いて見てみると、実はそれは単調で平坦な景色として映ることもある。
驚きや期待の裏側には、穏やかな時間が流れている。