エルフは白い羽飾りのついた帽子をかぶって、東の方向へ一歩一歩進んでいった。
緑豊かな森を抜け灼熱の砂漠を越えていくと、目の前には、巨大な岩山がそびえ立っていた。
先に進めるか不安になったが、そこでエルフは思いっきり帽子を空へと放り投げた。
帽子は白い鳩に姿を変え、軽やかに岩の向こうへと飛び立っていった。
それを見たエルフは、鳩を追いかける決意を胸にして、岩山に向かって足を踏み入れた。
ひと足ひと足確実に岩山を登って行った。
「帽子かぶって」
僕は君に優しさだけを渡したい。
そこには勇気が必要さ。
優しさの中に潜んでいる小さな勇気がね。
「小さな勇気」
冬のある休日の話。
「ねえ、普通のいいニュースと、もっといいニュースと、少し悪いニュース、どれから先に聞きたい?」
「なにそれ、何でもいいからさっさと教えてよ」
「実はね先週、近所に手作りの中華まん専門店がオープンしたんだ。これが本当に美味しいらしい」
「わぁ!聞くだけでお腹がすいてきたし、さっそく行ってみようよ」
「でも、行列がすごくてさ、2時間も待たなきゃいけないんだ」
「わぁ!」
周りから見ると、出来事には終わりがあるからこそ物語が生まれるんだ。
だけど今、君から贈られた回転木馬絵柄のカップにコーヒーを注ぎながら思う。
人生って、いつまでも回り続ける回転木馬みたいなのかもしれない。
誰も追い越すことも追い越されることもない時間を繰り返している。
浮き沈みがあって、手に入れたものもあれば手放すものもある。
太陽は昇ったり沈んだりしてる。
自分の人生は、生きている限り、終わりがない。
終わりのない物語って、見方によっては過酷なものさ。
「終わらない物語」
☆☆☆☆☆☆☆☆
ともに歩く道のりの中で、
いつか君を忘れてしまったら、いつか私をわすれてしまったら、僕は君を見つめて、あなたは私を見つめて
「I love you forever」
と伝えるだろう。
大丈夫、すべてはうまくいくよ。
時に真実は苦しいかもしれなくても、優しい嘘に包まれることで、君が私が自由になれるなら。
「優しい嘘」
窓辺の賢い猫は、神秘的な緑色の瞳を眠るようにゆっくりと閉じる。
すると心の目が開くんだってさ。
たとえば、豪華な煌びやかに輝く世界は、実は薄汚いドロリとした落とし穴のような場所として映る。
キラキラした飾り付けの背後には、誰かの手垢や、ぺらぺらの本音が見え隠れしている。
一方、素朴で目立たない景色からは、どっしりとした誠実さに満ちた美しさが見えてくる。
見落とされがちな道端の草花に、厳格な哲学のような深いメッセージがあるかのように感じるんだ。
緑色の目の猫は、みんなが気付かない秘密を知っている賢者なのさ。
「瞳をとじて」