ソラシド

Open App
1/8/2024, 2:15:40 PM

#色とりどり

3つ並んだホールを会場とするそこへ足を踏み入れると、薄暗がりの中にたくさんの人間がいた。
綺麗に編み込んだ髪にリボンを飾る子、誰かをイメージするような色でコーディネートした子、両手いっぱいにカバンをぶら下げて歩く子のそれには、同じ顔の少年の缶バッチで一面が埋めつくされている。
会場を占める大勢の女の子たち――彼女たちは、まるで戦いに行くかようだった。見た目はとても可愛く、たくさんの荷物を引き下げて歩く姿は凛々しく、彼女たちが「好き」を全面に出して堂々と立つ姿は、なによりも美しかった。

これから何が起こるのか、ソワソワとしながら、私も彼女たちに紛れて、じっとその時を待った。

BGMが止み、さらに大きな音響でイントロの曲が流れる。
暗転から、私たちが待ち望んでいた彼らがステージに現れた。

「きゃー!」

割れんばかりの黄色い歓声が、大きな箱に響く。
瞬間、私たちは手に持ったペンライトのスイッチを押す。

多色が輝く色とりどりの光の海が、きっと彼らの目に映っているのだろう。

その中で私は懸命に腕を振る。

私はその一部。それでもいい。

「応援してくれて、ありがとう!」

彼らが光輝く力になるなら、私はいつまでだって振りつづける。
小さなエールを私から、彼らへ。

1/5/2024, 12:25:15 PM

#冬晴れ

雲ひとつない晴れ渡った空。
春なのかなってくらいに、気持ちのいい冬晴れだ。遠くに見える山には、まだ薄らと雪が残っている。空の水色のキャンパスに、山の輪郭だけがハッキリとしていて、写真を貼り付けたような景色だなと思った。いや、写真に近い、リアルな絵か。どちらにせよ、とにかくその景色が壮観だったのだ。
雪の白化粧か、より山を山たらしめていた、みたいな。

12/8/2023, 9:49:27 AM

#部屋の片隅で

道に咲く花。人知れず咲いてる。何も言わずに咲いていて、ホッとする存在。無機質な部屋に飾った一輪の花。何も言わずにそこに居て、心を彩る存在。
それっぽく書いてみたかったけど、上手く書けないや。

みんなの中心とか、人気者とか、そういうのは少し違くて、
ふとした時に、思い浮かべてホッとするような花になりたい。
目立たなくても、部屋の片隅で見守ってる花になりたい。
誰かの心の拠り所。寂しいときに私の顔を思い出してくれるような、ホッとできる場所でありたい。

12/5/2023, 7:26:25 AM

#夢と現実

夢のなかでなら、私は何者にもなれる。自由な空間、制限のない関係。望むまま、思うがままに、私はあなたの隣を願える。

愛おしさが溢れんばかりのやさしい笑顔が私に向いていたらと。
容易に想像できてしまうから、心臓が鼓動を緩めない。

あなたの隣は私。

強く願えば願うほど、私の姿はぐにゃりと曲がって歪んで、
いつの間にか知らないあの子に変わってた。

夢でなら、私はあなたを願えてた。それすらも幻想だったみたい。最初から、あなたの隣にいたのは私じゃなくて、あの子だった。

夢の終わりはいつだってそう。

あなたを思い胸を焦がして、叶わぬことに切なくなる。
でも、私じゃなかった現実を見るたびに、

――ああ、やっぱりね、って

ホッとするのはなぜなのだろう。

夢の世界でも、そこに居るのは私。
幻想に現実の姿を投影しているのなら、はじめから勝ち目なんてなかった。

悲しい。
それでも、現実のこの世界に生きる私は、
あなたの夢を見ているときだけは、息をすることができるから。
どうか、今日も笑っていて欲しい。
世界のどこかで微かに息をしていて。

12/3/2023, 4:41:20 AM

#光と闇の狭間で

言葉の雰囲気でイメージするのは、光が明るくて、闇は暗いみたいなこと。
たくさんのものを表す言葉が存在するけれど、イメージってとても強い刷り込みだと思うのです。りんごと言ったら、赤いものを頭に思い浮かべるみたいに。
光の言葉で、希望や夢や未来の言葉を用いられる。綺麗な言葉は、とても美しくて、眩しくて、それさえあれば無敵で、「正義でしょう」とでも言いたげに堂々と立っている感じ。

暗いより、明るい方がいい。
平凡より、充実の方がいい。
劣っているより、優れている方がいい。

光と闇みたいに対義する言葉があると、どちらが正しいかを求めなければいけないような感じがする。ただ言葉としてあるだけなのだけれど、選ばれなかった片方が悪であるみたい。

光の持つ輝かしい印象を好ましく思う人もいれば、あまりに眩しくて苦しくなっちゃう人もいるから、結局、ポジティブがいいとか、ネガティブがだめなんてことの勝敗をつける必要はなくてもいいと思うのです。

綺麗な言葉は美しいけれど、時々、少しやさしくない。

暗闇の中にいるからこそ、見える光はある。
けれど、ずっとひとりぼっちで息を潜めておくには寂しい。

自分が見たいようにしか、この瞳には映らないみたい。

Next