人生とは、多くの岐路に立ち、選択していくことの繰り返しである。もし、この時にこっちの選択をしていたら…そんな事を考えるのは日常茶飯事だ。
私が歩んだ人生の中で重要だったことの一つが、彼に出逢ったことだろう。もし、彼に出会っていなかったら、もし、彼を助けるのが他の人だったら…そんなことを考えると、悲しい気持ちになってくる。
「あのさ、もし私たちが出逢っていなかったら、今頃どうなっていたんだろうね」
「そんな事、俺も考えられませんよ…絶対に、今の自分は無かったと思います」
お互いに確認し合ったことで、私たちが出逢ったのは間違いではないことを改めて実感した。
テーマ「岐路」
世界の終わりに貴方とひとつになりたい。俺にとって、貴方は俺の全てだ。幼い頃に助けられてから一途に想い続けた貴方は、とても優しくて、可愛くて、今度は俺が守らなければと強く思える存在だ。
そんな貴方と共に居ることが俺にとっての幸せだが、いつか終わりは来てしまう。全てが終わるその時には、文字通りずっと離さないで傍に居たい。抱き合って、甘い口づけを交わして、幸せな気持ちで眠るように終わりたい。そうすれば、ずっと一緒に居られる気がするから…
《世界が終わる夢を見た彼の独白》
テーマ「世界の終わりに君と」
嫌なことがあると、何でも自分ではなく、誰かのせいにしてしまう。他人にそれを言うことは無いのだが、心の中で現実逃避をするようにそうしてしまうのだ。そんな自分に甘すぎる最悪な私なんか、誰にも見せたくない。だから、そんな時は一人で部屋の隅で泣いていることが多いのだ。
「おや、こんな所にいたのですか。探しましたよ」
今日も嫌なことがあり、一人で泣いていたら彼が部屋に入ってきた。一番見られたくない人に見られてしまい、さらに慌ててしまう。涙を止めようとすればするほど溢れてしまう。
「よしよし…泣きたい時は泣いていいんですよ」
そう言って隣に座った彼は、優しく微笑みながら私の背中を撫でてくれた。無理に聞くようなこともせず、ただ隣で慰めてくれたのだ。そのおかげで次第に涙も止まってきた。
「ありがとう、あなたになら話せそう」
「俺でよければ、ぜひ話してください」
そうして今日起きた嫌なこと、そしてそれを自分のせいではなく、どうしても他人のせいにしてしまうことなどを包み隠さず話した。
「ね、こんな私最悪でしょ?嫌いになるよね」
「そんな事ないですよ。何もかも自分のせいにしていたら、貴方の心が壊れてしまいます」
彼は私の自己嫌悪に対して、即座に否定してくれた。そして、私のしていることは間違っていない、人は誰しも弱い部分を持っているからそれでいいと言ってくれた。それを聞いて安心した私は、今度は感動で涙を流した。
テーマ「最悪」
私には、愛しい彼も含めて誰にも言えない秘密がある。それは、彼の寝顔がとても可愛いことだ。いつも私より遅く寝て、私より早く起きているので見たことが無かったのだが、ある日、買い物から帰ってきた時にたまたま昼寝していたのだ。
「ただいま〜、アイス買ってきたけど食べ…あっ寝てる」
その日は暑かったので、同じカップアイスを二つ買って帰ってきたのだが、リビングのドアを開けて彼がソファでうたた寝していることに気がついた。何かいい夢を見ているのか、頬を緩ませて眠りについている。いつもかっこいい彼の、可愛い一面を見た私は思わず笑顔になった。
「ふふ、可愛い…」
そう言いながら、私は彼にブランケットをかけて、そっと頭を撫でた。
テーマ「誰にも言えない秘密」
私たちの家は小さく、部屋も二人で住むには少し狭い。それでも、私たちは何も不自由なく暮らしている。
「あなたは、いつか二人で大きい家に住みたいと思う?」
「確かに、夢のマイホームを建てるのもいいとは思いますが、今のままでも俺は充分ですよ」
そんな話をしているこの家は、ほぼワンルームの広さなのだ。だからリビングの他には、二人で共有している寝室しかない。それでも、彼は充分と言ってくれたのだ。
「何で?私はともかく、あなたにとっては窮屈だと思うけど」
「こうして、二人で居られる時間が増えるじゃないですか。一緒にご飯を食べて、一緒に寝て…」
「ふふ、確かに家にいたら私たちずっとそばに居るよね」
「そういう事です。貴方と抱き合って眠るのはとても幸せですから…」
流石に寝室のベッドはダブルベッドで広く使えるのだが、心配性な彼は私をベッドから落ちないようにぎゅっと抱き寄せるので、ほぼ真ん中に寄っていて端っこがかなり余るのだ。狭い部屋に対して広いベッドなのに、これだけくっついているのだから、無理に大きい家を買う必要はなさそうだな、と改めて思った。
テーマ「狭い部屋」