「ありがとう~!助かった!」
「いいけど、そろそろ寝る前に明日の準備するようにしなよね」
「忘れちゃうんだよ~、LINEしてよ~?」
「授業の準備忘れいでねって??親か(笑)」
「よろしく私のママ♡」
愛嬌たっぷりの彼女はいつも忘れ物をすると隣のクラスの私の元へやってきて
「あれを忘れたー!」
「これが足りなかった!!」
「使ってたらなくなっちゃった!」
「入れ忘れた教科書をリビングのテーブルに置いてそのまま忘れちゃったよぉ」などなどバレエティ豊かに助けを求めてくる。
それがかわいくてついつい甘やかしてしまうんだよね。返しに来るときに飴や駄菓子を添えてくるのも彼女らしい。
今日の供え物のいちごみるくの飴を口に含み、貸した教科書を開く。
今日はなにを落書きをしたんだか。
「ページをめくる」
「これが言ってたやつ?」
「そうだよ、送り火と言ってね。お盆で帰ってきた人らを空へ送るための火なんだよ。おうちがわかるように目印としてやる迎え火ってのもあるんだがね。」
「へぇ~……燃やしちゃって熱くないのかな?」
「う~ん…わしらにとったら熱いかもしれないけど、ばあちゃんにとっては暖かいものだといいなとじいちゃんは思うよ」
「…多分暖かいとおもう」
「そうかい?」
「だってじいちゃん、お盆の間ずっとニコニコしてたからばあちゃんも嬉しかったとおもうよ。嬉しいとポカポカするでしょ?」
「…こりゃ参ったな」
ばあちゃんとの時間を惜しむように火を見つめるじいちゃん。
寂しそうではあったけど、来年の迎え火は一緒にやりたいなって言うと「じいちゃんが帰ってくる側じゃなかったら一緒にやろうな」なんて言うもんだから、約束守んないとお酒お供えしてやんないからねって釘指して視線を上へ向ける。
もくもくと上がる煙はなんとなくゆっくり空へ向かってるように見えた。
またね、ばあちゃん。
「遠くの空へ」
(私のばあちゃん生きてるけど(笑))
いなくていいんじゃないかな
いなくなりたい
なにも伝えてくれない海の底のような冷たさを込めていたり
かと思えば私のことが大好きで仕方ないと輝いていたり
私の知っている深い色は表情豊かである
「お姉さま!」
「あら、どうしたの?さっきも会ったじゃない」
「いつだって会いたいの、だめ?」
ぎゅっと抱きついてくるいつもの柔らかさによしよし、と髪を撫でる
「ふふ、かわいいんだから」
「お姉さまは会いたくない?…嫌だったりする…?」
じわりと不安を漂わせるチェルに、そういうことを言わせたかったわけではなかったけど
(いつも凛としているのに、私を見つけるとパッと弾けるように幸せそうにしたりかと思えば今みたい弱々しくなるあなたがとても愛しい)
私にだけ向ける感情だと思うと尚更そう想う
「そんなわけないでしょう?私はあなたのことが大好きよ」
「っ、私もおねえさまだいすき!」
コロコロ変わる青の表情。
これほど彩り豊かな色をわたしは他に知らない
どうか、これからも傍で
あなたのその青くて深い愛を感じさせてね
「青く深く」 HPMA side.T