なにも伝えてくれない海の底のような冷たさを込めていたり
かと思えば私のことが大好きで仕方ないと輝いていたり
私の知っている深い色は表情豊かである
「お姉さま!」
「あら、どうしたの?さっきも会ったじゃない」
「いつだって会いたいの、だめ?」
ぎゅっと抱きついてくるいつもの柔らかさによしよし、と髪を撫でる
「ふふ、かわいいんだから」
「お姉さまは会いたくない?…嫌だったりする…?」
じわりと不安を漂わせるチェルに、そういうことを言わせたかったわけではなかったけど
(いつも凛としているのに、私を見つけるとパッと弾けるように幸せそうにしたりかと思えば今みたい弱々しくなるあなたがとても愛しい)
私にだけ向ける感情だと思うと尚更そう想う
「そんなわけないでしょう?私はあなたのことが大好きよ」
「っ、私もおねえさまだいすき!」
コロコロ変わる青の表情。
これほど彩り豊かな色をわたしは他に知らない
どうか、これからも傍で
あなたのその青くて深い愛を感じさせてね
「青く深く」 HPMA side.T
それは母がよく使っていたものだった。
浅いキズがあちこちにみえ、カップの底には
茶渋が円を描くように渦を巻いている。
一緒に買い物をした後に家で一息ついたとき
夜更けに台所のシンクに置いてあったり
自分の飲み物のついでに母の分を注いだり
いつもそばにあったそれは
久々に実家に帰ったときも現役でそこにいた。
見かける度に思うよ。
ただいま、母のそばにいてくれてありがとうってね。
これからも、どうか末長く母の相棒でいてね。
「マグカップ」
勝ち負けなんて関係ない。
その過程が大事なんだ。
だなんて綺麗事をたまにみかける。
もちろん間違ってないと思うし、過程にも価値があると思う。
勝ちには今までの努力が報われるし
負けには勝ちにはない貴重な経験が含まれる。
綺麗事も報いも貴重な経験も
どれも必要なものだろう。
そのなかで、"わたしの心"が選ぶものはもちろん…
「今日の寮対抗こそ、勝ちに行く!!!!!」
「んね、そろそろ舞踏会で1位とりたいところ!」
「それそれ!!!けど私、ラスト40分参戦できたらいいところなんだよねぇ。もっと深夜開催にしてくれたら間に合うんだけど」
「それはそれで、眠たすぎ、、充電もない…って言ってまともに参加できないんじゃ…w」
「さっすが幼馴染み。私のことよくわかってらっしゃる。ってことで」
他力本願である。
「勝ち負けなんて」 HPMA side.T
あの雲の向こうは
あの海の向こうは
あの丘の向こうは
トンネルを抜けた先は
暗い闇を進んだ先は
楽しげな看板がたてられている扉の中は、
いったい何が広がっているんだろうと
君の背中を見ながらいつも思っているよ
「まだ知らない世界」 Sky
窓辺には植物を飾ろうよ。
月がよく見える窓辺には小さなテーブルと椅子を用意して
あ、カーテンは私が選んでもいい?
部屋にはクリスマスツリーを飾るスペースを作りたいな。邪魔だよなんて言わないでね?
ソファーは大きめだと嬉しいけど、二人の距離が離れるなら小さくてもいいよ
もちろんテーブルにはお菓子コーナーを作ろうね
私は猫も犬も鳥も好きだけど、君はどうかな?
出掛けるときの鍵担当は君ね。私は掛けたか不安になってしまうから。
目を開ければ全部消え去る私の部屋がとても憎い。
理想のお部屋の未来図なんて描くものではないね。
「未来図」