カーテンの隙間からこぼれる光に目を開けるとすぐ目の前に太陽の光に照らされて滑らかで柔らかいチェルシーの頬が照らさらていた。
まだまだ起きそうもない閉じられた睫毛に見とれながら昨日の愛しい彼女に想いを馳せる
静かで柔らかな時間が流れているけれど今日は2人の新しい始まりの日。いつまでもこうしている訳にはいかない、いそがしくて幸せな日になるのだから。
「チェル、起きましょう?」
肩を優しく揺すると、少し身じろぎをしてくれる。あともう少し。
「私のドレスのベールアップをしてくれるのは誰だったかしら?」
ぱっちり、私の一番好きな青が輝きだした。
「日の出」 HPMA side. T Happy wedding
イルミネーションは好き。
最後に見たのが綺麗だったから。
とんでもない寒さの中で大好きな君と見たから。
肉まんも買って食べたね。
そのあとのバス待ちもとても寒かったよね
とにかく寒くて、寒くて、でもわくわくして。
今年は久し振りに観に行きませんか?
「イルミネーション」
ありがとう、ごめんね
君がいちばん言いそうな言葉だね
行かないでって言えてしまったから
言えてしまったから、今こんなことになっているのだろうか。
引き止めたこの手はもう下ろすことが出来ない。
私を見つめる視線を感じる
私はそれを見つめ返すことが出来ない
ああ、なにか言わなければ、言わなければ
引き止めた言葉の続きを
カラカラに張り付いた喉をなんとか震わした
「 」
魔法界ではマグルの電子機器はすべて異常を起こして使えなくなってしまう。
そんなことはみんな周知であるのに、私の友達であるマグル出身の彼女だけはスマホという遠く離れた相手と会話や手紙のやり取りが出来るという機器をじっと睨み付けていた。
「真っ暗に見えるけど、それって今使ってるの?」
「ううん、使えないよ。使えないけど、気になって仕方ないの」
「どうして?」
「LINE…えーと、手紙の内容が気になって…」
聞くところによると、ホグワーツに向かう道中のギリギリまでやりとりをしていた会話の返事が気になって仕方ないらしい。
これはもしかして………
「もしかして、前に教えてくれたマグルの彼氏~??」
ニヤニヤと口元が弛むのを隠しきれなかったわたしの問いに彼女はボッ!!と火を吹いたように顔を赤くした
「うはは(笑)どんないかがわしい内容の手紙だったのやらっ」
「ちがうちがう!全然そんな話ししてない!!」
ちゃかすたびに全力で否定してくる友達が面白くてかわいくて仕方ない。
恋をしてる女の子はどうしてこんなにもかわいいのだろう。
前に見せてくれた静止画の写真には幸せそうな彼女の横にこれまた優しそうな、でも少し好きな子にはいじわるしてそうな男の子が写っていたっけ。
「冬休みになったら帰ってくるから、どこにデート行こうかって相談をしてただけ!!」
「へぇ~?そうなんだぁ~?ラブラブだねぇ~~??」
「そういうわけじゃないけどっ…あーーーもうほっといてぇぇ!!」
ホグワーツの今期は始まったばかり。
彼女の熱い視線はまだまだその機器に注がれるのだろうな。
「開けないLINE」
HPMA side.T