話したくないんだってば
たすけてほしいのに話したくなくて
ぐちゃぐちゃ
「おつかれさま」
机の上に広げた書類から目を離して見上げるとお風呂上がりでまだ髪の濡れている彼女がいた。
「うん、お風呂さっぱりした?」
「したよ~。きりのいいところで君もお風呂にしなよ、ほかほかだよ」
「そうしようかな。」
散らばった書類を順番に重ね、開いたページには付箋を張りテーブルの隅へとひとかたまりにする。
少しかすむ目を何度かぎゅっと閉じていると、口に冷たくて固いものが唇に触れた
「梨だよ~、甘くて美味しいから食べて」
シャリ、と噛むとじゅわっと甘くて瑞々しさが口の中に広がった。
カラカラだった喉に染み渡るように。
「おいし…え、これお風呂上がっても残ってるよね??」
「残しておいて欲しい?」
「うん」
「じゃあ早く入っといで~、なくなる前にね」
「あ、そういうかんじ?急ぐ!」
ニコニコとすでに何口目かの梨を頬張る彼女にせめて一口は残しといて、と声をかけておく。
でも多分、彼女は満足するまで食べて皿を空にするんだろうな。あのニヤニヤは絶対にそう。
そしてヤバイ!と思って2個目の梨を切らずに丸ごと出して「残しといたよ!」と自信満々に言うのだ。
悪知恵ばかりなんだけど
そんなところが可愛いんだよね。
「梨」 和やかな愛情
どこまでも続く水平線に永遠を願った。
なにも返ってはこないけれど
確かにまだ続いている。
終わらない時間がまだここにある。
「どこまでも」
朝から夜まで頑張りすぎて
大好きな夜がしんどい
好きなものまでしんどくなるの、かなしい
いまだにこわい。こわいんだよ
いまは何も決められないから
何も判断を求めないでほしい
ちょうしよくてもこわいことを思い出すと
そっちに引きずられてしまう
ここ数日よかったのにな、また戻ってしまいそう
愚痴ってたら余計しんどくなってきた
吐き出すことはいいことではなかったようだ
溜め込むこともいいことではないようだ
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい
早く病院行きたい、行きたくないけど行きたい
すがるものがほしい
いたい
たすけて たすけて
壊れそう
いいかぁ、願ったりかなったりだもんね
一気に寒くなりあちこちに咲き誇っていたコスモスが数を減らした。
こんな時期に羽化して蝶になったあの子はどうしているだろう。
風が強く雨が降るとさらに冷えて、凍えてないだろうか。
花も減ってお腹を空かしてないだろうか。
のんびり屋の君のことが心配です。
一輪だけでも、ピンク色のコスモスがあの子の拠り所として待っててくれますように。
「一輪のコスモス」
虹の出た日に蝶として生まれたあの子へ