Amane

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3/31/2024, 10:54:18 AM

幸せに

あなたの前で何度も死ぬフリしてごめん。
ほんとは死ぬ気なんてなかったの。
もう死ぬから!なんて言ってリスカしてさ。
そうすれば、ずっと一緒にいられると思ったの。
でももうそんな顔見たくないから、今度こそ終わらせるね。今度は助からない方法を選ぶよ。喜んでくれるといいなぁ。
ありがとう。あなたのおかげで、楽しいと思えるときもあったよ。安心して?あなたのいないとこで死ぬからさ。

じゃあね。どうか、幸せに。

3/30/2024, 3:20:08 PM

何気ないふり

君の舞台を見て号泣したのを隠して、何気ないふりをして用意していた花束を差し出した。
君はきれいだった。
同時に、私には何もないことを自覚させられたような心地がして、居た堪れなかった。
君は遠い。いつものように話せなくて、無言で帰ってしまった。

君といると自分の才能のなさや、無力さを思い知らされる時がある。でも、それでも、私はまた君に何気ないふりをして話しかけるだろう。
私はなんだかんだいって君が大好きなんだ。
だから、いつまでも良き友でいてくれ。

3/29/2024, 11:10:19 AM

ハッピーエンド

終わり良ければ全て良し!
みんなが笑顔で過ごすために、私は君という悪役を殺します!
いいよね?だって君は悪役だからさ。君がいなければ平和なんだ。きっと。

「誰が僕は悪役だって言ったの?」
刃物を握る震えた手を掴んで、彼は言った。
「僕は、僕の世界の悪役を殺しただけだよ。それって君と何が違うの?」
「ち、違うに決まってる!」
本当は気づいていた。人を手に掛けようとした時点で私はヒーローなんかじゃなかった。

刃物を振り下ろす。何度も何度も自分に言い聞かせるように振り下ろす。

そして私は自らの首に刃を向けた。なかったことにしてしまうのだ。全てを。そうしたら、元の幸せな世界に戻るよね。

ほら、みんな笑ってる。ハッピーエンドだね!

3/28/2024, 1:09:50 PM

見つめられると

君に見つめられると、金縛りにあったように動けなくなる。
君は私の罪を知っているのだろうか。
こめかみの辺りを汗が伝う。君は私を見つめたまま、悪魔のように微笑むのだ。黒い瞳と白い歯のコントラストに目が痛む。

昨日、人を埋めた。

「ど、どうかした?」
明らかに動揺してしまう。汗は止まらないし、一度君からそらしたフォーカスをもう一度合わせることができない。
「大丈夫。私、誰にも言わないよ?」
ドッッ!突然心臓が激しく動き出した。知っているんだ。彼女は。
「これで、二人だけの秘密ができたね!」
彼女は屈託のない笑顔を向ける。その真意がわからなくて、動悸が治まってくれない。その時だった!

彼女の唇が、私の唇に触れた。必死に抵抗したけれど、壁に押し付けられていて、どうすることもできなかった。
「ファースト、キスだったのに……。」
「私は全部知ってるの。だけど、誰にも言わないよ。ねっ?」
彼女はまた微笑みながら私を見つめていた。

3/24/2024, 11:07:11 AM

ところにより雨

『〜〜県は、ところにより雨となるでしょう。折りたたみ傘などを準備しておくとよいですね。』
う〜ん。折りたたみ傘を持っていくべきだろうか。カーテンの隙間から外を見ると太陽が堂々と仁王立ちしている。湿気のしの字もないようなカラッとした空気を感じて、『ところ』がここではないと確信した。

用を済ませて帰る頃には、ドヤ顔の太陽も俺に恐れ慄いたのか姿を隠していた。気温は下がったものの、相変わらず雲ひとつない空であった。
「この辺りにするか……。」
隣を歩いていた中肉中背といった感じの男が突然歩みを止めた。そして指先を天に向け始めた。
……サーーー
雨!?俺の真上、いや男の真上に突然雲が集結しだし、紛れもない雨が俺の髪を洗う。
「お、おい!何してんだよ!」
よくわからないまま、そいつの肩を掴んでしまった。
「ふっ。バレちまったかっ。」
「そうゆうのいいから!止めろよこの雨!」

そいつ曰く、天気予報の信用性を上げるために降らせているのだとか。
「もっと他のことに生かせよ。」
「晴らすなら使えるけど、雨降らす能力なんてどう使えばいいんすか……。」
そいつなりに悩んでいるようだった。
「俺の実家さ、農家なんだけど、去年の夏雨降んなくて育たなくて大赤字よ。」
「はっ!そこに降らせばいいのかっ!あざっす!」
「教えたからこの雨止めてよ。」
「ええ〜それはないっすよ……。」

突然の雨も悪くないなと思った。

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