田中 うろこ

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5/29/2025, 2:22:03 PM

渡り鳥が青く澄む空を駆けていく。眩しい日差しに目を焼かれて、木々の間をすり抜ける。

「今日はツバメが高く飛んでるね」
「……ほんとだ。低い時にしか見ないからちょっと新鮮かもしれない」

僕は空が好き。星が好き。それから鳥が好き。

「空はいいぞ〜、ずっと見てられる」
「お前ほんと好きだよな。」
「ねえ、今度プラネタリウム行こうよ」

そして、君のことも大好き。

「えっ、彼方とサシで出かけるのって初めてじゃない? 私でいいの?」
「君だからいいの、星野」

ああ私が星野だからか、と顔を赤くしてブツブツ言ってる星野。そんな星野が好き。

5/29/2025, 5:58:53 AM

さらさらと文章がかける人間になりたかった。

このさらさらの受け取り方さえ、きっとありふれたもので、他の人の作品を見れば、どうせ被っている。

私はただなりたかった。
誰とも被らないで、速筆で、面白いイメージをみんなに共有することの出来る存在に。

だのに出来上がったのは、
周りと何も共有できず、言葉選びに苦難して誰よりも書くのが遅い愚図。

あーあ。

5/27/2025, 4:06:59 PM

これで最後

 ︎︎黄金のような髪に、賢そうな言動。圧倒的身体能力と頭脳を兼ね備えたカリスマ性。それなのに周りに好かれる親しみやすさ、1を聞いて100を知るような、そんな光を見てしまった。その瞬間から俺の人生はねじれてしまった。
 ︎︎いや、このために俺の人生はこんなにクソッタレだったのかと思うほど。鍵穴に鍵が嵌るように、蒸発した土に水が還るように、その存在は俺の中にある大きな空白を埋めていった。

「よっ、兄ちゃん」
「……ああ、君か」

何年生きたかもわからない。そんな中、あまりのどんでん返しに心が踊る。俺には人の心がわからない。だからこそ、平静を装って接するのだ。

「今日もねーちゃんのケツばっか追っかけ回してたんじゃないだろーな?」
「ほんとに物言いが下品だね君、悪いやつじゃないのは分かるけどさぁ」
「おっ、わかってくれんの? さっすがぁ!」
「……ぼくは、なんでも分かっちゃうからね」
「おう、マジかよ、じゃあ俺が今思ってることも分かるわけ?」

そうやって苦く笑う顔が嫌いだ。

「…………ぼくは、キミが思ってるほど素晴らしい人生を送れてきた訳じゃないから」
「あ? いいじゃねーか。アタマも良くて、イケメンで、なんでも出来るって俺の真逆だぜ」

ああ、また間違えてしまったのか。真逆だと伝えた瞬間、目から光が完全に消えた。天才様からすれば、下々の愚者なんて丸々同じようなものなのだ。昔そう悟ったはずの事を忘れた。俺が愚者だから。

「君の隙間を埋めるのは僕じゃない」
そうつぶやく声すら、一つ一つの声色が煌めいてい聞こえる。求められすぎて疲れたと言っていたお前さんの期待には応えられなさそうだ。でも、

「じゃあオマエのスキマを埋めるのは俺。ってことにしちゃダメかよ?」
「……っ!?」
瞬間に、翠色のエメラルドみたいなキラキラの目が見開かれた。驚くお前さんと、俺。
「…………アッ! 言っちまった! 悪ぃ、今の忘れてくんねーか?! お前ももう懲り懲りなんだろ? モテすぎだのなんだのってヤツ!」
「……ぷっ! あはは! バカすぎるでしょ! 一周……いや、六周くらいして面白いよ!」
「もうこれでお前と話すのは最後にするって決めてたのに……謝る、謝るって!」
「謝る必要ないよ、それに」
ひとしきり笑うと、俺の方に手を伸べてこう言った。

「互いの隙間を埋めあえるのも、素晴らしい事だからね?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
長い間憧れていた全てが、こちらを振り向いた気がした。足りない頭も、出来ない運動も、全てがこのためにあったのだ。

自分を卑下して悲しむ日々は、もうこれで最後。

5/26/2025, 7:26:04 AM

 あの時僕に送ってくれた白いスニーカーは、底が少し磨り減ったまま、靴箱の一番上に飾ってある。履く度に真っ白がチラついて、浮かれた気持ちになると同時に、それが汚れていくのがどうにも許せなくなってしまったから。明日も仕事で君に会う。その時には、いつもの革の靴を履いていこう。

「おはよ、一昨日ぶりだね」
「……ん、おはよ」
やっぱり向こうから声をかけてくるのは変わらない。僕たちの立つ場所の名前が変わっても、互いに抱く熱情が変わっても、愛情が深いのはいつも君だ。あの日と変わらないリップクリームを片手に、ソファーに腰掛けている。
「おれがあげた靴履いてくんねーんだ」
「アレ白いから、汚したくないのよ」
足元を覗き込むと不機嫌そうにむくれる。その表情すら可愛らしくてたまらない。

5/19/2025, 5:12:38 PM

どうしても… 随筆

食べすぎで胃を荒らしてしまいました。
もともとお腹が弱っていたバイトの帰りに、唐揚げ、ちくわ、蒸しケーキ、大盛り唐揚げ弁当を無理して平らげてしまったものですから、その日から少し物を飲み込むだけで圧倒的な腹痛にうずくまるような地獄を見てきました。

実はその前から、生理の食欲、風邪の栄養不足とやられていたものですので、3コンボ。

最近ようやっと、ヨーグルトと納豆で胃が回復出来てきましたが、もともと一口も大きくて噛まずにたくさん胃に入れる性分だったので、食事が難しくて仕方がない。

知っていますか? パンって飲み込む時水分が無いから食道に吸い付くように胃に落ちるんです。普段気にしないで食べていても、実は臓器って頑張ってくれているんです。

でもどうしても、どうしても。

揚げ物とラーメン、あまーいクリームがたっぷり詰まったケーキ、高カロリーかつ胃腸に悪そうなグルメが食べたい!!食べたい食べたい食べたーい! セブンの揚げ鶏、ファミチキ、からあげクン。すき家の牛丼、倍ダブチ、日高屋、幸楽苑、たっぷりチーズのピザ、ミラノ風ドリア、ハンバーグ……。あげればキリがないほど、世の中は美味しい食べ物で、満ちているんですね。
ああ、食べたい。

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