黑 猫 @ 中 学 生

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6/1/2024, 8:13:11 AM

※苦手な人はご注意ください

ある世界の、ある日の話。
少女と血のついたナイフを持った幼い少年が、2人向かい合っていた。
「ど、うして…?どうして殺したの!?何の罪もない人を!お父さんを!」
少女は泣きながら、声を荒げて少年に言った。
その手は、怒りと恐怖で震えていた。
「なんでころしちゃいけないの?」
きょとん、という表情をして少女の顔を見る少年は、無垢で純粋な目をしていた。
少年の無垢な瞳を向けられ、少女は言葉に詰まってしまった。
確かにこの世は弱肉強食だ。でも、だからって…。
「こんな事しなくても良かったじゃない…!」
殺されたお父さんは何ヶ所も刺されており、明確な殺意を持って殺された様に見える。
「ねぇ、おねえさん。ひとつおしえてあげる」
「な、何?」
急に少年の声の雰囲気がゾワッとしたものに変わり、少女は恐怖を覚えた。
「このひとはね、ぼくのかぞくをころしたんだ。だからぼくのかぞくのいたみを、しぬきょうふをおしえてあげたの。」
「え…?」
何の罪もないと思っていた少女のお父さんは、少年の家族を殺していた。
嘘だ…そんなはずない…
あまりの衝撃に、少女は膝から崩れ落ちた。
「私が、間違ってたの…?」
少女の意識は、そこで途切れてしまった。


「無垢なる恨み」

5/11/2024, 11:15:48 AM

「執事。」
「はい、なんでしょう。お嬢様。」
執事を執事、と呼ぶこの変なお嬢様はいつも暇を持て余している。
「私への愛を叫んで。」
普通の人なら、は?と言うところ、なのだが。
「勿論ですお嬢様。」
この執事も変だった。
すぅ、と軽く息を吸うと、とんでもない速度でかつ淡々と語り始めた。
「お嬢様はなんと言ってもこのまるで宝石の様に煌めくサラサラの長い銀髪とそれと同じ色の長いまつ毛も儚さを醸し出していて吸い込まれる様なアメジスト色の綺麗な瞳も合わさっていて最高ですそして頭が良いので女神の生まれ変
「ストップ。早口過ぎて何言ってるか分からないしもうちょっと要約して。」
「これでも要約したのですが。」
「普通に、大好きですで良かったんだけど。」
普通自分で言うか?
「分かりました。」
そしていいのかよ…。
「大好きです一生推しますお嬢様。」
サラッと言ったこの執事。
そしてさらに一言付け足してる…。
「ありがとう。もう満足した。」

ある令嬢と執事の昼下がりの出来事だった。

5/10/2024, 7:21:43 PM


私はいつの間にか
白いモンシロチョウを追いかけていた。

待って、行かないで────

「おはようございます、お嬢様。」
私はいつもの様に謎に顔の良い私専属の執事に起こされて起きた。
なんだ。夢、だったのか。
メイドが私1人には広すぎる部屋のカーテンを開けていた。
暖かな春の太陽の光が部屋に入ってくる。
それにしても、朝からその顔は流石に目が覚める。
「おはよう。」
執事に挨拶すると、執事はニコッと笑った。
朝から眩しすぎる…。
私は軽く伸びをして起き上がると、またいつもの様に無駄に大きい鏡の前に座り、メイク担当のメイドにくしで髪をといてもらう。
「今日の予定は?」
「特にございません。」
「そう。」
そんな淡々とした会話をしていると普通は寂しいものだが、私はなんとも思わない。
いつもの事なのだから。

─────
9歳の時。お父様とお母様に捨てられた私は別邸に追いやられた。
優秀な兄と弟がいるからお前はいらない、と言われて私は心底嬉しかった。
なんせ両親が毎日うるさかったから、解放されてせいせいした。
私は本邸のメイドと執事の信頼を勝ち取っていた為、何人かは反対してくれた。
だが、反対するならクビにする、とお父様が言い張ったのでその人たちは仕方なく私と一緒に追放された。
私の追放に反対しなかった本邸に残ったメイドと執事は全て本邸の両親と兄弟に仕えるフリをして諜報員として活躍してもらっている。
反対した人たち以外はこんな事もあろうかと全て私が買収したのだ。
その人たちが思ったよりも優秀だったので、両親の悪事がつきつぎに浮き彫りになっていった。
それから物事は順調に進み両親は断罪され、優秀な兄と弟が両親の仕事をやってくれているので、私は家でゴロゴロできるのだ。
順調に進み過ぎて怖かったぐらいだ。
恐るべし、メイドと執事。

─────
「お嬢様、終わりましたよ。」
色々考えていると、身の回りの事が全て終わった様だ。
さすが、と言うべきか。手際がいい。
「今日も暇ね。」

5/10/2024, 4:24:51 AM

忘れられない。

あの日の絶望。

孤独に蝕まれ

1人、泣いていた事。

世界の全てが憎くて。

でも泣く事しか出来なくて。

こんな時

傍に居てくれる人が居てくれれば

なんて。

あの絶望が

あの孤独が

忘れられない、いつまでも。

5/6/2024, 11:10:35 AM


高校生の時、雨が降っていた放課後。
親友が珍しく傘を忘れ、俺は仕方なく親友と相合傘をしていた。
その帰る途中の事だった。
「なー、親友、明日世界が終わるならどーする?」
「は?」
急に質問されてびっくりして、変な声が出た。
いや、自分の気持ちを見透かされている様でびっくりしたのかもしれない。
少し視線が泳いでしまった。
「だからー、明日世界が終わるならどーすんのって聞いてんだけど。」
いつも色々急すぎて困るが、今回は本当に困った。
「まじで急な質問だな。お前もうちょっと時と場合を選べよ…。」
と呆れた口調で言ったものの、声が少し震えていたのが自分でもわかった。
そう、俺は内心焦っていた。
こういう時、何と答えるべきなんだろうか、と。
本当のことを言うなら、
もしも世界が終わるなら、俺は───
「真剣に聞いてるからちゃんと答えて欲しいんだけど?」
親友の声に、俺ははっとした。
ダメだ。言えるはずがない。
無垢な顔をしてこちらをみる目に、俺は思わず顔を逸らしてしまった。
「…なー、隠し事してるだろ?」
親友が顔を覗き込んできた。
その目は、全てを見抜く様な目をしていた。
これはもう、観念するしかない。
「聞いて驚くなよ。」
「やっと言う気になったか。今更何に驚くんだよ。」
親友はジト目でこちらを見てくる。
やっぱり、この関係は壊したくない。
でも、親友に隠し事を続けるのは無理だ。
「明日世界が終わるなら俺はお前に今、言いたい。」
少し言葉がつまったが、勇気を振り絞った。
「…好きだ。」
親友が少し間を開けた後、顔を真っ赤にしてへ?と
小さく間抜けな声をだしたのを、今でも覚えている。

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