※苦手な人はご注意ください
ある世界の、ある日の話。
少女と血のついたナイフを持った幼い少年が、2人向かい合っていた。
「ど、うして…?どうして殺したの!?何の罪もない人を!お父さんを!」
少女は泣きながら、声を荒げて少年に言った。
その手は、怒りと恐怖で震えていた。
「なんでころしちゃいけないの?」
きょとん、という表情をして少女の顔を見る少年は、無垢で純粋な目をしていた。
少年の無垢な瞳を向けられ、少女は言葉に詰まってしまった。
確かにこの世は弱肉強食だ。でも、だからって…。
「こんな事しなくても良かったじゃない…!」
殺されたお父さんは何ヶ所も刺されており、明確な殺意を持って殺された様に見える。
「ねぇ、おねえさん。ひとつおしえてあげる」
「な、何?」
急に少年の声の雰囲気がゾワッとしたものに変わり、少女は恐怖を覚えた。
「このひとはね、ぼくのかぞくをころしたんだ。だからぼくのかぞくのいたみを、しぬきょうふをおしえてあげたの。」
「え…?」
何の罪もないと思っていた少女のお父さんは、少年の家族を殺していた。
嘘だ…そんなはずない…
あまりの衝撃に、少女は膝から崩れ落ちた。
「私が、間違ってたの…?」
少女の意識は、そこで途切れてしまった。
「無垢なる恨み」
6/1/2024, 8:13:11 AM