「──時間なんて、止まってしまえばいいのに。」
これがいつもの僕の口癖である。
進みも戻りもしなくていい。
ただ、止まって欲しいのだ。
永遠に何も感じず、何も考えず、何も感じさせず、何も考えさせず。
それだけでいい。
そう、それでいいんだ。
もう僕は、誰にも迷惑をかけたくないし、誰も傷つけたくない。
時間さえ止まってくれれば、僕は楽になれるのに。
「…ははっ。そんな事を妄想して何になる?どうせ、止まりやしないのに。」
「はぁ。…疲れた。」
いつもの睡眠薬を飲み、僕は静かに眠りについた。
私は数年前、大切に思っていた猫を失った。
元々住んでいた、ペットが飼えないアパートから引越し、やっと飼えると思っていた矢先、亡くなったのだ。
…今日は私の、そのときの話を聞いてもらおう。
その猫はメスの野良猫で人懐っこく、いつもアパートのそばで餌やおやつをあげたりして、毎日会えるのを楽しみにしていた。
まあ本当は野良猫に餌付けなんて良くないんだが。
そんな日が続いたある日のことだった。
母がその猫を飼おうと提案したのだ。
あまり覚えていないのだが、父は、母が猫の世話をする、という約束で許諾したらしい。
それから事はトントン拍子で進んだ。
ペットが飼える一軒家を借り、その猫は家で飼え
る様に病院か何かで預かられていた様だ。
…1週間か2週間程待っただろうか。
猫を乗せた車が家にやってきた。
やっと飼えるんだ、とわくわくしながら玄関へ駆けていくと、両親が暗い顔で俯いていた。
……その目線の先にいたのは、動かない猫だった。
その時の絶望といったらそれはもう思い出したくないくらいだ。
母に聞いたところ、その猫は、注射が駄目な猫だったらしい。
まだ小学生だった私は意味が良く分からなかった。
ただ、無情な事実だけが、私を泣かせていた。
…ん?ああ、同情は要らないよ?
ただの作り話だから。
じゃ、またどこかで。
……。
僕はすっと目を覚ます。
ここは…。
…そうだ。僕は人間の形になろうとして、この機械に入ったんだった。
自分の入っている機械からプシュー、という音が聞こえ、目の前の扉の様なものが開く。
機械から出て、自分の体を全身を見てみる。
…失敗だ。
体の一部がドロドロなままになってしまっている。
仕方ない。もう1回挑戦するか。
機械にもう1回入って目を閉じる。
…突然だが、僕は人間じゃない。
そして1人1台、この機械をもっている。
この機械によって、みんなそれぞれ好きな形になっている。
僕たちは元々体がスライムの様にドロドロしている。何も飲み食いしなくても生きていけるし、なにより寿命がない。
寿命がないので、基本的に気が長くていい人ばかりだ。
たまに新人もうまれてきて、みんなにも刺激を与えてくれるのだが、永い時間が経つとやはり気も長くなり、丸くなる様だ。
僕も最初はこんなに気が長くなかったなあ、としみじみしてみる。
そういえば、なんで昔から人間の形にしてたんだっけな。
…忘れた。
まあいいや。考えても仕方ない。
…いつも3回に1回は成功するけどどうだろ。
サッと成功してくれれば楽なんだけどな。
頑張れ機械。
「不完全な僕」
香水、ねぇ…。
香水って聞くと
匂いのキツすぎる知らないばあさんがよぎる。
だからあんまりいいイメージがないんだよなあ。
せめて彼氏彼女の匂いとかだったらいい話かけた
…かもしれない。
…自分の匂いは柔軟剤と汗の匂いがしてるかな。
「君」は言葉を発しない。
いや、発せないのかも知れない。
だから一生懸命理解しようと頑張ってみたんだ。
でも、やっぱり駄目だな。
どう頑張ってみても分からない。
「君」を理解したいのに
どんどん遠ざかっていくような気持ちになる。
わかった様な気でいたのに
本当はあまり理解できていなかった。
それが悔しくて、もっと「君」を理解したくなった。
…自己満足で傲慢な願いだと思う。
それでも。
「言葉はいらない、ただ…。」
お久しぶりです(?)
久々に帰ってきました タダィマ☆(*>ω<*)ゞ
今回は読む人によって「君」がなんなのか変わってくる話を書いてみました
…特にオチはないのでこの辺で終わっておきます
ではまた〜さようなら〜