懐炉 @_attakairo

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1/7/2026, 1:07:37 PM

部屋に入ると立派なかまくらが出来ていた。

「どうなさいました」

明るい室内。閉め切られたカーテン。

なんでもないと、くぐもった声。

「お熱がありますか」

……いいや。

「横になられたほうがいいですよ」

もそもそと、分厚い壁がベッドの上で崩れてゆく。

毛布。

クッション。

布団。

まくら。

やがて現れた部屋の主。

積もった雪宿から、ぼんやりした目元のみ。

……外を見てもいい?

どうぞ。

遮断された夜のカーテンをひらけば当然、

聴こえては来ないはずの。

鈴の音。

話し声。

吹き消される湯気。
普段は口にしない甘さと。
笑い声。

包装紙が手渡され。次から次へと、
点灯の色が変わり。

「庭に出たい」

「いけませんよ、こんな熱で」

「箒が要るんだ」

部屋着のまま外に出て、歌いながら、歩道に積もった雪を掃く。通りかかった人々は物珍しそうに眺め、ときには立ち止まる子もいたり。

「……お水を持ってきますね」

音もなく閉じられてゆく部屋のドア、
外の景色に挟まれて、

少年はのぼせた息をつく。

ベッドまわりの雪が溶け出した。

寒気はおさまらない。

ふかく埋もれながらも、少年は箒にまたがって街を見下ろし飛んでいた。

【雪】

1/6/2026, 12:26:54 PM

干渉どころか関与もされない
限りなく素晴らしいばしょなのに
にんげんといるのが苦痛になって
もう頭の中とも話したくない


人生には距離がひつよう
歩くきょりと想うきょり
だけど不離一体の君こんな時ほど語る君

日記をかいてよ後で読むから
口実つけてよ明日にするから

人生には時間がひつよう

限りなく恵まれたほしなのに
環境音さえ
ひとに感じて
束の間


息をとめるのは簡単で
君をひきつれるのも
簡単だった

【君と一緒に】

1/5/2026, 12:50:30 PM

「お外に出てみませんか」
「…………」
 こんな底冷えのする日に、どうしてまた、わざわざ俺なんぞを誘うのか。そんな考えが頭をかすめたが、ウメの口元結んだ姿に負ける。
 突っぱねたところで得があるわけでもなし、きっとウメはしょげて家に残るだろし、そうなりゃ俺も居心地が悪くなって、「やっぱり用を思い出した」などと口走り、ウメの手取って杖つくんだな。
 お梅の言うこと笑うこと、なんでも良いもんに繋がってる。
 引き戸開ければ、よおく判った。
「はあ澄んだ空気よな」
「ふふ」
 そうでしょうと誇らし気な梅。
 ああ良いもんだ。俺がこれ見て、隣歩いて。支えられて、ゆくらゆくらと。
 ウメ御前、ほんとに今空のようだなあ。
「ほらみてください」
 なにが楽しか、よくある花々の、咲き具合にすら笑ってやがる。
 比べて俺のジメジメした性根といえば、草履を引きずる跡にも出てら。

【冬晴れ】

1/4/2026, 11:24:19 AM

ぽちぽち 打っては
これじゃないなって

かんがえるほど遠ざかって

いまのじかんは幸せかな?
ひとからみれば幸せかな?

書き出してみた時期もあるけど
それらはとっくに分かっていたし

常にボヤけてみえるのは

すぐに心が吸収するから

つまり幸せとは
と言い切らなくても

たしかな存在をここに認める

【幸せとは】

1/3/2026, 12:58:18 PM

天の使いはねむらない。
古くから伝わるふしぎな話。
ヒトから聞いたいつかの話。
ほかにも瞼をひらかず地をあるかない話、体温をかくし血がながれない話……
天使は俗世と引き剥がされる。それはヒトがつばさを求めたから。誰もが自由を求めていたから。
片翼をもぎ取られては幻想すら抱けない。

鉛のようなからだを引きずる。
はやく、
あのヒトに伝えなければ。
じくじく熱い血を垂れながす。意識を失い、倒れるまえに。

雲海に身を捧げなければ。

崖下にひろがる遥か彼方、キラリと宝石が浮きあがり、
何だろうと目を凝らせば両の瞳が灼き尽くされた。

【日の出】

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