気づいたの 長く湯船に浸かってるとき
過去や未来を考えて 身体が冷えるのを待っていた
いつだって心に大きな穴があいたら
端からひとつ、流れ星をみたの
世界には
楽しいことが沢山あって
幸せな瞬間が沢山あって
興味深いこと 美しいもの
涙がでること 言葉失くすもの 人 愛 希望
出会いたいものが沢山あって それらすべてには出会えないって
知ってるの
だから 寂しいときは声を聴いて
かなしいときは嗚咽を漏らし
考えたいときには黙ればいい
落ち込んだときには項垂れて
虚しいときには固まったまま、星が流れるのを待てばいい
気づいたの 不幸な気分で書くうたは
必要なときに読み返すから光り輝いてみえること
知ってるの 詩が芸術に
分類されるずっと前
それはだれかの独り言だったって
【今年の抱負】
うまれかわりを期待してしまうよ
節目どきとか記念日だとか
人の意味付けによるものだけれど
零時の瞬間うまれかわるよ
約束したよね手帳に書いて
あの日の後悔も あの日の迷惑も
嘘にしないで語れる日は来る
今朝誕生したってうまれかわるよ
年々 歳を重ねる実感なくて
より能動的に祝うためにも
今夜 もう一度
うまれかわるよ
真夜中から未明にかけて
冷めた思考も溶かしてしまう
黎明に おのずと
この身を寄せて
【良いお年を】
夜空はみるみる薄まって
結ばれてゆく白点のそばに
浮かびあがったカタカナ語
ひとはドームのなかで暮らし
日々は閉塞感に包まれている
息も呑めないほど
思い知る 深く広く
果てしなく
歳月はいかほど濃密か
いつの日か宇宙を総称する天体
解説によると
冬はすばるが輝くらしい
【星に包まれて】
火花散る爆弾のように
閃光とともに終われたら
「後片付けってほんと面倒」
残されたほうの迷惑も考えてほしいよね。「仕事だからやるけどさ、給料低いし……」
等身ほどある柄のさきに、両手重ねて億劫に。
もう辞めよっかな。
横目を流して。
「ねー、どーおもう」
相方は何やら――白い軍手を凝視している。
両手首を振って、
ちまちま取って、
からまった針葉と奮闘する姿。
「……その木の枝、脇にでもよけといたら」
何もついていない柄を立てかけて。泥水に浸かる。
「本命はこっち」清掃作業員じゃないんだから。「早く終わらせて朝ごはん買いに行こ」
頭がもげるくらい、横に振られた。空洞内の残響がどうにも耳障りな様子。
「……早く終わらせよう」
火花散る線香のように
余韻とともに終われたら
――どう、飲み込める? すこし小さくする?
――わかった。ひと口大に切るね。
パクンと食べて、ゴクリと飲み込み。
異物の欠片も残さない。
これにて完了。
お疲れさまです。
まったく情緒のかけらもないね。横目を流せば。
ペロリと口端を舐めとって
朝ごはんは要らないとご満悦。
【静かな終わり】
鼻下をおさえる。
ハンカチは目元にあてて。
目立たないよう席を立ち、式場の空っぽな通路をすすみ、化粧室へ。
台に手をつく見苦しい姿すら
鏡は大きく鮮明に映す。
演出されている。
これまでのわたしの人生、これからのあなたの人生、
道中また会おうと約束したってもう交わらない。
手に落ち続ける血の数滴。
指圧しながら前かがみになり。
膝を折ってしまえば立ちあがれなくなる。
くらむ視界の滲んだ世界、わたしを置き去りに式は進む。
【心の旅路】