「友達」
どうせ何を言っても僕の言葉なんて虚言だ。
僕は僕の視点でしかものを言わないんだから。
だから君だって僕から見れば虚言だ。
僕の言葉なんて何も信じなくていい。
君の言葉も信じない。
このくらいじゃないと僕は息が出来ないんだ。
僕は君が、僕を傷つけると信じて止まないんだから。
「声が枯れるまで」
別人のように憎しみに満ちた目をした君を見て、僕は動揺した。
君の手が握りしめてくしゃくしゃになった楽譜と、掻きむしられて赤い爪痕だらけの首。
掠れた息で必死に何かを伝えながら、君がこちらに歩いてくる。
うん、うん、歌いたかったね、でも歌えなかったんだね。
僕の傍に来て崩れ落ちた君の泣き声は、やっぱりひとつも音にならなくて。
声を枯らすことも叶わない、君の努力は行き先を失った。
「高く高く」
どこまで行けば、見下されずに済む。
考えることはもうやめた。
同じように見下したやつを見下してた底辺仲間が落下していくのを見てから、全てがどうでもよくなった。
馬鹿にするのも優しくするのも見下してるからできること。
なら別に見下されるのは悪いことじゃない。
でも落下したあいつは、なにか見えたんだろうか。
ざまぁみろと言って落ちたところで誰かの心に風穴を開けることすらできなかっただろう。
人から外れたかったんだろうか。
もし僕をまだ見ているなら、僕より少し上の場所から僕を見ていることだろう。
高くなった視界はさぞ優越感あるものだろうね。
悲しんでる人は見えたかい、怒ってる人は見えたかい、喜んでる人も見えたんじゃないかな。
君の意地が間違ってたと言えるほど僕は頭が良くない。
でも君は、君自身じゃなくて他人を変えようとしてたんだね。
自分自身を変えることしか、僕らみたいなのにはできないのに。
君の純粋な心を導く誰かに出会えていたら、僕はまだ君を見下せただろうか。
.....僕だって君と同じか。本当に惨めだよ。
「子供のように」
大人になっても、心から子供がいなくなることは無いんじゃないかと思う。
だってほら、大人になるにつれて、大人をあまり見なくなっていったから。
証明しようの無い、個人的な感覚の話だけど。
言動や行動が少女であったり、赤ん坊であったり、幼稚園児であったり、みたいな感覚。
吐き気がすることもあるけど、僕はそれが心地よくもある。
心を許せば許すほど覗かせる子供が特に面白い。
見物だ。それが酷ければ酷いほどいいネタになる。
それこそ僕はその時、子供のようにはしゃいでるだろう。
あーぁ、性根の曲がったクソガキになっちゃったな。
「放課後」
帰りたくもなくて、学校に留まりたくもなくて
神社によって友達とお菓子食べてた。
「罰当たりだね」なんて、神様信じてないんだけどさ。
でも神様がいるなら、どうか僕の心は黙ってて欲しかった。
僕は本当は帰りたかった。帰りたくないのはいつでも友人の方。
友人の心に寄り添えなかった僕は、嘘をついてた。
同じ立場にならないと、君が遠くなる気がした。
そんなこと、幸せな僕にはできっこないなんてわかってたよ。
騙してごめん、きみは僕が思ってるより強いんだけど、それでも本当に寄り添いたいと思ってたんだ。
いや違う。僕のエゴだ。僕は君が遠い事が寂しかったんだ。
楽しくて、でも辛くてもがいてた。
神様、内緒にしてね。
僕は何も知らない、作り笑顔にも気づかないただの陽気な幸せ者なんだから。