人はみんな守りたいものがある。
それは必ずしも、大切な人じゃなくていい。
「自分」でいい。
孤独と戦う自分を守れるのは、自分。
泣きたい夜から守れるのは、自分。
尊厳とプライドを守れるのも、“自分”だ。
人はみんな、背負ってる。
明日の自分、未来の自分を。
胸を張ろう。きみの背中は美しい。
【君の背中】
吹き荒れるような毎日に、
いつしか心がしんどくなった。
暗闇の中で零す涙と嗚咽が
止まない嵐みたいなんだ。
「一人の夜は怖くなる」
誰かがそう言っていた。
こんなとき、
“同じ人がいて心強くなる”
なんて、嘘っぱちなんだよ。
今、この瞬間、毎分、毎秒、
この孤独と虚しさと、
戦っているのは私だけ。
この苦しみは私だけじゃないなんて、
そんな綺麗事はいらないよ。
それでも、明日が来てしまうから、
朝日が窓を照らすから、
何事もなかったように日々を生きるの。
【嵐が来ようとも】
どこにでもいる女の子になりたかった。
今度こそはと、
友達と一緒に浴衣を着たの。
暗闇を飾る無数の提灯。
下駄を鳴らすたび、私の心も踊ったの。
だけど、奴らはそれを許さない。
土足で入って、私を掻き乱す。
すれ違う度、私を笑う。
指さし、私を罵ってゆく。
あなたがたに映る私は醜いのでしょうか?
あなたがたに映る私は弱いのでしょうか?
そんな私は、楽しむことも許されませんか?
あれから何年経ってもね、
喧騒や、鳴り響く下駄の音、罵倒が、
うるさい花火の音が、忘れられないの。
【お祭り】
キャンバスに筆をなぞるだけの日々。
なんの感情もないその無機質な一枚に、
誰もが賞賛し、嫉妬する。
息もできないこの世界から
自分の世界に逃げるだけ。
自分が描く価値なんてどうでもよかった。
そんな一枚を、あなたが見つけてくれた。
「好きだよ」って、たった一言。
その輝きが、あなたの眩しさが、
僕は焦がれてしまったんだ。
僕の一枚と、僕の生き方に、
一等星の輝きを放ち出す。
突然現れたあなたは、
紛れもない僕のミューズなんだ。
【神様が舞い降りてきて、こう言った】
“誰かのために”って、
ヒーローみたいで好きだった。
ヒーローでありたくて、
いっぱい、いっぱい、がんばった。
“誰かのために”、
痛いも、苦しいも、辛いも、悲しいも、
全部全部、押し殺して。
分かち合いたい何かも、
全部、なかったことにした。
ふとした時に、スポットライトから外れてた。
ほしかった光も全て、
私でははない、
他の誰かに当たってる。
“誰かのために”したことは、
“私を殺した”
【誰かのためになるならば】