どこにでもいる女の子になりたかった。
今度こそはと、
友達と一緒に浴衣を着たの。
暗闇を飾る無数の提灯。
下駄を鳴らすたび、私の心も踊ったの。
だけど、奴らはそれを許さない。
土足で入って、私を掻き乱す。
すれ違う度、私を笑う。
指さし、私を罵ってゆく。
あなたがたに映る私は醜いのでしょうか?
あなたがたに映る私は弱いのでしょうか?
そんな私は、楽しむことも許されませんか?
あれから何年経ってもね、
喧騒や、鳴り響く下駄の音、罵倒が、
うるさい花火の音が、忘れられないの。
【お祭り】
7/29/2024, 9:48:36 AM