君からの連絡がなくひたすら待つ日々。
いつでもいい、いつまでも待つ。だからきっと会いに来て。
そう思ってがむしゃらに過ごして来たここ数年。
「本当にあの子と前に会った事ない?」
突然投げかけられた問いかけ。
彼女はむかし君に会って俺との話しを聞いたことがあるという。
何年も前1人の少年と手紙のやり取りをした。
彼が養子に出されそれから連絡が途絶えてしまったその彼と。
あのほんのひと時であったけど忘れられない夏を共に過ごしたあの彼が同じであるなんて。
そんなことは…。
「本人から直接話しを聞きたいので宜しかったら連絡先を教えてもらえませんか…?」
彼が自分から会いに来るまで連絡しないと決めていた。
でもこれは確かめなくては…。
そう言い出した俺に対して彼女はどうしたらいいか逡巡しているような態度を取った。
「あの…知らないの?」
思いは巡る。
彼の素行の悪い仲間から追われて共に逃げ回ったあの日。
リムジンに乗せてやると言われたそのバイクで島中を走り回ったあの日。
車が故障して立ち往生してたときに出会った犬に導かれた先で見つけた川で共に水遊びをして叫んだ。
初めてのケンカもした。
砂浜ではしゃいで遊んでスイカ割りをした。
花火は1人で見た。
最初はわずわらしかった君なのになんだかんだで共に旅をしたあの日々を。
彼の笑顔を。
死ぬなと懸命に言ってくれた。
そんな彼が。
もうこの世界に居ないなんて、信じられない。
嘘だ嘘だ嘘だ。
まだあの共に過ごした記憶は新しいのに。
彼のぬくもりはまだあるのに、、
足元が揺らぐ気がした。
花火大会の日、彼は抗争に巻き込まれ逃げた先で交通事故にあったらしい。
🐳(ぬくもりの記憶)
昨日おかわり🐳して来ました。
昨日更新出来なかった理由(笑)
Blu-rayも必ず手に入れる。
うっすらと目をあけ、開け放たれた外を見る。
真っ白ですごく静かだ。
見渡す限りの白。
「何もないようだな」
終わりに近づく恐怖も不安も。
ただただ静かで白い世界。
もう何年も前にこの六畳ほどの世界になってしまった己れの世界。何もない。
晴れた空の光りに反射してきらきら光るその先を眺めながら、
「本当に綺麗だな」
この眼前に広がる景色のようにただ静かにひっそりと溶けて消えたいと。
自嘲気味にひとりごちる。
今日はちょっと冷える。
また。少し休もう。
(雪原の先へ)
びーえる注意報!
ゆらゆらと細く立ち昇る白い煙。
傍らに立つ男のきれいな指先の煙草から昇る。
それを欲しがると口許に持って来て吸わせてくれる。
彼と同じ匂いのするそれ。
肺に入れて吐き出すと白く空気が濁る。
自分たちの周りに同じ匂い。
俺に与えるとまた彼はそれを咥えて同じように白く空気を濁らせる。
俺たちだけの膜のようだ。
幾重にも幾重にも膜を張る。
目が合うとまた口許に持って来てくれる。
煙草は彼に教えてもらった。
ひっそりと俺らは煙草でキスを交わす。
今日も俺らは白く空気を濁らせるのだ。
(白い吐息)
今日も見上げる自分の部屋。
明るく灯りがついている。
そこで今日も出迎えてくれる顔を思い出して思わず笑顔になる。
今日もアイツは会いに来た。
思いがけず足取りも早くなる。
早く会いたい会いたい癒されたい。
もどかしくなってスマホを取り出す。
「なに今日も来てんだよ」
本当は嬉しい。急いで帰るね。
1秒でも早く会いたい。
(消えない灯り)
「わぁ。ちょっと見てよすっごい綺麗だよ」
「はいはい見た見た」
ライブ終わりに戻ったホテル。
眼下に広がる煌びやかな夜景に負けじと、目をキラキラさせて振り向く彼を適当にあしらってスマホをチェックする。
「なんかあんた、たまにおれを彼女みたいに扱うよね」
「なんでだよ」
少し間が空いて返ってきた唐突すぎるその台詞に思わず笑う。
「頼みすぎた食べもの食べてくれるし最終的にお願い聞いてくれるし蔑ろにするけど相手してくれるしまっすぐ目を見て話してくるし」
「最後の1行なんなん?」
突拍子のないこと言い出すのは今に始まった事ではない。
笑って返すと真面目に見つめられた。
「なんで?」
「夜景が綺麗とかそういう話やなかった?」
「いいから!」
はぐらかすと少し強めに言い返された。
「お前の時々重ための彼女みたいになるのなんなん?」
頬をちょっと膨らませて無言で見上げて来る。
そっとため息をついた。
まっすぐに、それでも柔らかく目が合う。
「そりゃあね、もう無くしたくないからね。メンバーを大事にしたいんですよー」
これも本音。
くしゃりと柔らかい髪を撫でる。
たくさん居たのにもう2人きりになってしまった俺らのグループ。
「もういいから外のきれいな夜景でも見てなー」
無理やり窓の外のきらきら光る夜景に向き直させる。
「あーそーかそーかーなるほどね」
目の前の、素直に夜景を眺める耳がほんのり赤い。
もう無くしたくない。
お前とふたり。
こんなきらきらした道だけを笑って歩んでいきたい。
窓の外はまぶしいくらいの無数の光が広がっていた。
👑(きらめく街並み)