冬至。

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「わぁ。ちょっと見てよすっごい綺麗だよ」
「はいはい見た見た」
ライブ終わりに戻ったホテル。
眼下に広がる煌びやかな夜景に負けじと、目をキラキラさせて振り向く彼を適当にあしらってスマホをチェックする。
「なんかあんた、たまにおれを彼女みたいに扱うよね」
「なんでだよ」
少し間が空いて返ってきた唐突すぎるその台詞に思わず笑う。
「頼みすぎた食べもの食べてくれるし最終的にお願い聞いてくれるし蔑ろにするけど相手してくれるしまっすぐ目を見て話してくるし」
「最後の1行なんなん?」
突拍子のないこと言い出すのは今に始まった事ではない。
笑って返すと真面目に見つめられた。
「なんで?」
「夜景が綺麗とかそういう話やなかった?」
「いいから!」
はぐらかすと少し強めに言い返された。
「お前の時々重ための彼女みたいになるのなんなん?」
頬をちょっと膨らませて無言で見上げて来る。
そっとため息をついた。
まっすぐに、それでも柔らかく目が合う。
「そりゃあね、もう無くしたくないからね。メンバーを大事にしたいんですよー」
これも本音。
くしゃりと柔らかい髪を撫でる。
たくさん居たのにもう2人きりになってしまった俺らのグループ。
「もういいから外のきれいな夜景でも見てなー」
無理やり窓の外のきらきら光る夜景に向き直させる。
「あーそーかそーかーなるほどね」
目の前の、素直に夜景を眺める耳がほんのり赤い。
もう無くしたくない。
お前とふたり。
こんなきらきらした道だけを笑って歩んでいきたい。
窓の外はまぶしいくらいの無数の光が広がっていた。




              👑(きらめく街並み)

12/6/2025, 9:13:29 AM