コハク

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3/16/2023, 9:39:35 AM

星が溢れる
君が亡くなって空の星の一部になった。
人は亡くなったらお星様になるんだよ、幼い頃に母からそう聞いた事を思い出して何となく夜空を見上げた。
キラキラと輝く星々。僕も遠くない未来で死んだ時に星の一部になるんだろう。その時は君の隣のお星様がいいなぁ。君とまた、肩を並べて輝ける、僕らはいつも誰かの光だった。
君がいたから僕は居た。僕がいたから君は居る。
僕らが歩んだ軌跡は誰かの道標。いつも誰かの輝きに寄り添えるように。僕らはずっとその時まで生き続ける。僕らが憧れた一等星のように。
もし夜空がたくさんの星々を抱えきれなくて、夜空から溢(あふ)れそうになったら、きっと僕は君と一緒にすすんで溢(こぼ)れる。君となら星から溢れたって構わない、君の隣が僕の居場所だから。
僕は頑張った。今そっちに行くからね。
窓越しに輝く星々に優しい笑みをこぼした。

3/14/2023, 10:32:14 PM

安らかな瞳
君と過ごしてきた日々は僕にとってかけがえのないものばかりだった。僕が泣くと君は気まずそうにしながらも隣に立っていてくれて。ボクが笑ってると一緒に笑ったり、すこし怒ったりした。
君の隣にいられて僕はとても幸せだった。
だから、今、君の瞳が閉じるその瞬間まで一緒に居られて良かった。僕たちは職業柄最期の瞬間にあえる事無く、のちに訃報として僕たちの、大切な人の最後を告げられる事がある。僕たちはお互い何度も深い傷を着けてきた事がある。それでも僕たちは生きた。幼い頃から目指した僕たちの一等星が生きさせてくれた。僕らの夢はいつまでも夢だから。
ピー、甲高い機械音が部屋になり響く。ずっと無気力な君の手を、僕はずっと握っている。不意に君の手がぎゅっと僕の手を握った。僕はハッとなって顔を上げて君の顔を見た。今まで視点が定まっていたのかわからない瞳が今はハッキリと僕を捉えている。
っ!いきなりの事で言葉が出なくて代わりに涙がボロボロと落ちていく。そんな僕を見てかわらかないけど、君はあの頃と変わらない表情でふっと笑った。そしてそのままゆっくり眼を閉じた。もう次にその瞳を見る事はない。
君が僕を見る最後の瞳は安らかでとても優しい瞳だった。

3/13/2023, 9:15:56 PM

ずっと隣で
幼い頃からずっと君のあとを追いかけていた。
追い付きたくて必死で、君がどんな気持ちか知らないで僕はずっと君を目標に追いかけた。
やっと僕は君の隣に並び立てた。でも未熟な僕は君を超える事が出来ない。今は隣に並び立つのに必死だ。
結局僕は君を超える事が出来ず、ずっと君の隣で足掻いていた。
それは君も同じだった。君も、僕も、互いを意識して成長し続けた。どうやら君は僕が思っていたよりも僕を意識していたみたいで、僕が幼い頃から君の隣をいつも僕が歩いていたらしい。
君の隣でこれからも、走って足掻いて泣いて笑ってそう離れるまでは、一緒にいきたい。そう思った。

3/13/2023, 9:05:24 AM

もっと知りたい
人の人生は一生に一度だ。
そんな事わかっている。けど、知って損はしないから色んな事が知りたい。一度しかない人生、死んだら全て無になるし次の自分に持ち越し、なんてゲームみたいな事は出来ない。
だけど、知りたいもっと知りたい、知らないことも知りたい、知ってる事のもっと奥深くまで知りたい。
知識として必要か、生きるために必要か、今の人生に必要か。
そんなものどうでもいい。ただ私は知りたい。それだけだ。

3/7/2023, 11:13:55 PM

月夜
「月が綺麗だね」
「え?」
「ん?」
「あ、いやなんでもない」
最近読んだ本でそんな告白言葉を見たからつい勘ぐってしまった…。昔の人はおしゃれな言葉で告白するんだなと印象深く残っている。貴方がそれを知っているかなんて自分にはわからないのに、心の底で少し期待してしまった。
それは自分が貴方に気があるからだろう。いつの間にか抱いたこの気持ち、伝える事もせず自分の中でずっと渦巻いている。
貴方の隣に居たい気持ちと、貴方の隣よりももっと先のどんな時も傍に居たいという気持ち。伝えた事で離れてしまうかもしれないという恐怖。色んな感情が心の中でぐちゃぐちゃになっている。
そんな気持ちを抱えながらも貴方の隣は居心地が良く、全て忘れて笑ったり怒ったりしてしまう。やっぱり貴方が好きだ。
そういえば最近読んだ本は誰に貸してもらったものだっけか…記憶を手繰り寄せる。あれ…?ハッと思い出す、その本を貸してくれたのは目の前にいる貴方だ。読んでみてと渡された…確かに、そう。慌てて貴方を見ると、月を眺めていた。その姿があまりにも綺麗で一瞬声を掛けるのを躊躇うほどだったが、今がチャンスなんだと思うと貴方の手を取っていた。
驚いた貴方の表情に可愛さを思わせながらも、何も言葉を用意をしていなかった自分は咄嗟に
「月が綺麗ですね」
今日が月が綺麗な夜でよかった。

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