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7/31/2025, 11:23:31 AM

眩しくて



7/31/2025, 4:07:59 AM

熱い鼓動


その姿を目にした時、思い出したのは奪われた憎しみよりも自分たちを守り戦う暖かで大きな背中だった。




再戦、と言う言葉が相応しいかもわからない。
再びと対峙した『鬼』は寸分違わぬ姿で立ち塞がった。

思わず日輪刀を握りしめる手に汗が滲む。

忘れもしないあの夜、動きを追うことしかできなかった斬撃を今は躱せる。通用する技も覚えた。あの時とは違う。でも足りない。まだ足りない。

目の前で庇われる背中に傷が増えていく。
同じ事を繰り返させない。
庇われるだけではダメだと言うのに。
通用する技も覚えたと言うのに。
考えろ、考えろ、何が出来るか考え続けろ。

焦るな焦るな焦るな。
必ずチャンスが来るはずだ。
額に滲む汗が日輪刀の鍔に落ちた。

思い出すのは微笑みだった。
心根の清くて強い、優しくて暖かいその笑顔は最期の最期まで泣くしかできない自分を鼓舞する様に照らし続けた。
『君たちを信じる。』
その言葉を忘れた日は一日としてない。

悲しみだけでは届かない。
憎しみでは打ち克てない。

燃やせ、燃やせ、心を燃やせ
歯を食いしばって前を向け

呼吸を研ぎ澄ませ。
一瞬の動きを見逃すな。
信じてくれた想いを繋げ。
もっと、もっと、もっと。

体中を煮え滾るような血が巡る。
握りしめた両手からドクンドクンと鼓動が鳴るかのようだった。息を吸って吐く。全集中で全ての神経を研ぎ澄ませる。

『強いものは弱いものを助け守る。
そして、弱いものは強くなり自分より弱いものを助け守る。』

腹の底から搾り出す声はかつて命を賭けて繋がれた縁の教えだった。漆黒に輝く刃を支える鍔が頷くようにカチャリと音を鳴らす。守られたからこそ知っている、その重みと大切さを。だからこそ、負けらない。

『猗窩座、お前の考え方を許さない。』
信念と決意と、信じて貰った願いを背負って
断じて認めるわけにはいかないこの鬼を此処で止めてみせる。

『これ以上、お前の好きにはさせない!』

今此処で、全ての因縁に決着をつけよう。
ドクリとなった心音と共に決戦は始まった。







鬼滅を観に行きたいです。


7/25/2025, 1:05:49 PM

半袖



『そりゃ綾瀬はるかが着れば何でも似合うだろうよ』

某CMを見るたびに思う。
タンクトップで外に出かけて様になるのは人を選ぶ。
誰も彼もが海外勢のように堂々とタンクトップでは歩けまい。
綾瀬はるかが可愛いとかかっこいいとかそう言うのは置いといて、あれは選ばれし者が着るから外出着として成立する。私が着たら下着で歩き回る痴女にしか見えまいよ。

手元にあるカップ付きタンクトップを風呂上がりに着て鏡の前に立てばどうあがいても綾瀬はるかにはならない代物が出来上がった。
自虐ではない。事実でしかない。
乾いた笑いになってしまったが、問題はそこにはない。

この殺人級の酷暑では間違いなくタンクトップが大正解だろう。とてもじゃないが外を歩く気候ではない。
回らない頭をフル回転させて出した結論はメッシュ生地の半袖を上から羽織る事だった。

これならば綾瀬はるかにならない一般人でもタンクトップでかつ半袖を着るように偽装も出来る。なかなかの逸品ではなかろうか。
鏡の前でタンクトップを合わせるように目の前で広げる様はまるで通販の司会のようだった。
とりあえずこれを着て外出する。最大限の酷暑を乗り切る為の一つの妙案だった。
白のタンクトップの上から水色のメッシュ地は非常に爽やかに映る。完璧では…?鏡の前にはドヤ顔でガッツポーズを取る自分の姿があった。


それから数日後のこと。
鏡の前では白のタンクトップをきた自分の姿が鏡に映る。数日前と違うのはこんがりと小麦色に焼けた肌に編み目模様が付いている姿だった。
『思ってたんとちゃう…』
情けない顔で呟く姿があったとか、なかったとか。

7/24/2025, 10:44:26 AM

TRUE LOVE


『真実の愛って何なのかしら』

誰もを魅力する大きな美しい緑の瞳が悩ましげに伏せられた。憂いを帯びた表情はなんとも魅惑的で思わずこちらは見惚れてしまう。

そんな表情も素敵だよレディ、なんていつもの軽口さえ出すことが戸惑われた。真剣に思い悩む彼女を馬鹿にしていると思われてしまっては困る。

こちらの返事が無いことに思うところがあったのだろうか。ハッとしたように顔を上げた瞳が困惑と動揺に揺れている。思わず声に出ていたであろう言葉を呑み込むように謝る姿に思わず大きく手を振った。そんな顔をさせたかったわけではないんだレディ。

ただ真実の愛、と言われると何が真実となるのか私にもまたわからないからね。

苦笑しながら返す言葉に思いの外驚いた様子で


ツッコミ待ち時間切れ

7/20/2025, 11:33:06 AM

今を生きる



つまんない毎日が繰り返される。

楽しい事なんか何もない。
刺激的なことが欲しい。
停滞した今日と明日と明後日をぶち壊すような
何か『特別』が欲しい。


そう思えることが
『幸せ』だって気づいてるんだろうか。

今日も明日も明後日も毎日毎日は同じじゃない。
与えられる事に慣れすぎて
護られる事が当然になりすぎていないだろうか。
平穏無事が退屈に感じる時、人は劇的な変化を求める。
いい風に変わるには蓄積が必要で
破壊がもたらすものが破滅にしかならないことに気がつけない人ほど、明るい明日を無意識に信じている。

守られすぎたら与える事を忘れてしまう。
だって積み上げたものを分け与えるのは大変だから。
幸せの形は自分で作らないと見えなくなって、
そのうち与えられるものを選り好みできると傲慢になる。

つまらない日常の責任を他人に求めて、
思い通りにならないことを不幸だと酔って
その責任を誰かに押し付けたくなる。
誰かって?知ってる?
『社会』なら罪悪感を持たなくていいから楽だよね。

忘れないで。
『自分の社会』は『自分』しか作れない。
大きな時代の海原のせいにする卑怯な人は『敵』が欲しくなる事を。

生きる事は楽ではないから楽しい。
苦しいから楽しいが見える。
停滞を誰かのせいにするのは楽で、
楽を選ぶのは自分でしかない事を。

『今』が何かを選ぶのは貴方で私。
生きるという事を諦めないで。

泣いて傷ついてそして立ち直って
演じてみせるの、自分の人生という舞台を。

きっとこれからの日本は大変になる。
今の日本がウクライナの戦前に似ている事に
気がついている人が多くない。

もう止められないかも知れない。
止めたいと願っているけれど。

だからちゃんと見てほしい。
自分の人生の中の幸せの時間。

壊してしまったものが平和で、停滞こそが幸せだったと振り返るのはとても愚かで哀しい。
奪う事では満たされない。
拒絶する事では逃げられない。

今を生きて。
自分を見て。
私たちは割と結構幸せな時間を大切に出来ていないと思う。

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