スランプななめくじ

Open App
5/22/2024, 2:25:04 PM

特に理由は無いけど、否。
ありすぎて何が理由か分からないんだけど。
そんなんだから、毎日を生きるのが苦痛で。
眠りにつく度に、二度と目が覚めなければと願う。
朝日を睨み付けては、退屈な日々を繰り返す。
何度死んでやろうかと思ったことか。

何の変哲もない日、突然君が僕の日常に現れた。
転校生。漫画でしか聞いた事のない話だ。
クラスメイトなんて沢山いるのに、
わざわざ僕に話しかけてくるんだ。

やめて欲しかった。
僕は人と関わるのが苦手だし、
君みたいに押しが強い人は嫌いなんだ。
でも、いくら突っぱねたって懲りなかった。
怖かった。思わず体が震えてしまった。

心を開いてしまいそうで、怖かった。

いつ死んでもいいと、
今すぐ死んでしまいたいと思っていたのに。
君と親しくなってしまったら、
死を恐れてしまいそうで、すごく怖かった。



クラスメイトに物を取られ、
先生からはわかりやすい無視。
毎日飽きもせず良くやってくれるけれど、
一日が終わる前に必ず君が僕の前に現れる。

「また明日」

君が笑ってそう言うから、僕は明日を生きてしまう。
夜が更けるのを眺め、朝日が昇るのを待ってしまう。
これは呪いだ。暖かくて、残酷なほどに優しい呪い。

君の優しさに、今日の僕は救われる。
明日の僕は、また苦しむのだろうか。

5/14/2024, 10:29:15 AM

行きたくもない教室に収容され、
楽しくない勉学を強要される。
好きでない制服を身に纏い、
表面上の付き合いを要求される。

生まれてからずっと雁字搦めにされている。
自由だった事はあっただろうか。
今だって、生きる事を親に強制されている。
心から生きたいと、一度でも思っただろうか。

外に出ると、冷たい風が頬を撫でる。
誰もいないビルの屋上は、僕を孤独にしてくれた。
命令してくる者が居なくなったような錯覚。
今なら何でも出来るような、そんな気がする。

超えることを禁じられているフェンスを跨ぎ、
片足を宙に投げ出してみる。

初めての感覚。僕は今満たされている。
自分の意思が許されたような、
解放されたような感覚。
ただ、嬉しかった。涙が出てきた。

手をフェンスから離し、全身で風を感じる。
これが幸せ。知れてよかった。

風に身をまかせ、足を前に出した。
暖かな空気が僕を優しく包み込んだ。

僕は今、やっと自由になれた。

5/12/2024, 3:00:54 PM

ぼくは子供のままでいたかったんだ。
難しいことは深く考えないで、
気に食わなかったら駄々をこねて、
嫌な事があれば泣き叫べるんだ。
自分に正直に生きられる子供のままで、
感情の起伏が激しくも無邪気なままで、
周りに素直に助けを求められるままで、いたかったな。

大人にならないといけないんだよ。
僕はもう大人になってしまったよ。
自分を殺して、周りの為に動き、
誰にも頼れない孤独な人間になってしまった。
常に愛想笑いを浮かべ、他人を過度に気遣い、
いつの間にか喜怒哀楽が壊れてしまっていた。

私はいつから、泣けなくなったのだろうか。

5/11/2024, 3:29:19 PM

人目も気にせず、花に囲まれた君に向かって愛を叫ぶ。
大好きだ。大好きなんだ。愛しているよ。
知っている愛言葉を、これでもかと。
今まで言えなかった分、全て出し切ろうと。
煙で喉が痛んだって叫び続ける。
君に届くように。灰になる前に。

過去形になんてしてやらないよ。
棺に入った君も、愛してるから。

5/7/2024, 3:33:01 PM

私の初恋とは、視界が悪く霧がかった日に出逢った。

歩き慣れた道を、人だかりが塞いでいて。
響き渡る怒号。甲高い悲鳴。遠くからはサイレンの音。
まるで異世界かのような光景は、
場違いにも私の胸を高鳴らせた。

人混みをかき分けると、小さな交差点。
大きなトラックの下には真新しい血痕。
視線を下に移すと、そこには人がいた。

未だ出ている血。折れ曲がった手足。
赤黒い血肉から見える真っ白な骨に、
私は思わず見蕩れてしまった。

あの白い輝きを今でも忘れられなくて。
きっとあれが私の初恋。

悲痛な事故が起こった、私の初恋の日。

Next