行きたくもない教室に収容され、
楽しくない勉学を強要される。
好きでない制服を身に纏い、
表面上の付き合いを要求される。
生まれてからずっと雁字搦めにされている。
自由だった事はあっただろうか。
今だって、生きる事を親に強制されている。
心から生きたいと、一度でも思っただろうか。
外に出ると、冷たい風が頬を撫でる。
誰もいないビルの屋上は、僕を孤独にしてくれた。
命令してくる者が居なくなったような錯覚。
今なら何でも出来るような、そんな気がする。
超えることを禁じられているフェンスを跨ぎ、
片足を宙に投げ出してみる。
初めての感覚。僕は今満たされている。
自分の意思が許されたような、
解放されたような感覚。
ただ、嬉しかった。涙が出てきた。
手をフェンスから離し、全身で風を感じる。
これが幸せ。知れてよかった。
風に身をまかせ、足を前に出した。
暖かな空気が僕を優しく包み込んだ。
僕は今、やっと自由になれた。
5/14/2024, 10:29:15 AM