スランプななめくじ

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私の初恋とは、視界が悪く霧がかった日に出逢った。

歩き慣れた道を、人だかりが塞いでいて。
響き渡る怒号。甲高い悲鳴。遠くからはサイレンの音。
まるで異世界かのような光景は、
場違いにも私の胸を高鳴らせた。

人混みをかき分けると、小さな交差点。
大きなトラックの下には真新しい血痕。
視線を下に移すと、そこには人がいた。

未だ出ている血。折れ曲がった手足。
赤黒い血肉から見える真っ白な骨に、
私は思わず見蕩れてしまった。

あの白い輝きを今でも忘れられなくて。
きっとあれが私の初恋。

悲痛な事故が起こった、私の初恋の日。

5/7/2024, 3:33:01 PM