Machi

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5/17/2024, 10:35:32 AM

外に出る。
これ以上家にいたくない。離婚や受験の話ばかりしている親の居る家になんて。
一体何時間口論するのか。夕方からずっと怒号が聞こえながら勉強を強いられるこちらの身にもなってほしい。
離婚するんだろうか。したら私は、お母さんの方に行くことになるだろうな。
そうしたら、引っ越すのか。今の学校にいる大好きな先生も、大切な友達も、手放さなければならなくなる。
近くの公園に入り、ブランコに腰掛ける。
…こんなに、小さかったっけ。
もし全てとおさらばすることになったら、私は生きていけるかな。
小言のうるさいお母さん。私の都合なんて考えずに、塾や勉強を強制してくるお母さん。
それは、お父さんも同じで。
空を見上げる。
絶望的な状況の中、瞬く月と星があまりにも美しくて。
似合わないほどにうっとりと、息をつく。
数分、ぼうっと真っ暗な空を見ていた。
その日はー、

私が生きてきた人生で、一番美しい真夜中だった。

5/16/2024, 10:42:54 AM

「愛があれば何でもできる?」
君は、君と僕しかいない静まり返った教室で聞いた。
「何でもって?」
よくわからない質問を唐突にされるのはもう慣れた。
君は、最初から変な人だった。生きるとか死ぬとか、その手の質問が大好きで。
ある日は死んだらどうなるか。
ある日は生きる意味とは何か。
どこから思いつくのかどこで見るのか、そういうことばかり聞いてきた。
授業中は一言も話さず僕にも目を向けることすらしないのに、放課後になると饒舌に話し始める。
「殴る、盗む、殺す、犯す…とか。相手を助けるためになら、できる?私はできる。愛する人を助けるためなら、何でもする。」
答は分かっていた。君はそういう人だ。
不安定な君は、ワンピースを着て、見てと言ってくる子供のようにくるくると回る。
スカートの内、細くて白い足に青や黄色い何かが見えた。
きっとそれについて僕が聞いたら、もう二度と君が放課後、教室にいることはなくなるんだろう。
「本当に?」
「本当に。できる?できない?」
いつものようにな軽薄に話す君だけど、今日はどこか…声色に、真剣なものが混ざっていた。
「できるに決まってる。相手の命がかかってればね。」
その言葉を聞いて、君は目を見開いた。
「本当に?」
「本当に。」
僕は、愛する人を明確にして答えたから。
だから、できる。
「…わかった。」
君は間をおいて意味深に呟き、教室の窓を開けた。
確かに、今日は猛暑日。体に張り付くシャツが気持ち悪いし、熱くて湿った教室も夏ならではの匂いがする。
だけど、君は暑いのが好きだから窓を開けたりなんてそうしないはずだ。
「何で急に窓なんて………え」
無意識に漏れた、え。
君は窓枠に足をかけ、いつもどおりの爽やかな笑顔を僕に向ける。
「ねえ、命がかかってればできるんでしょ?」
叫んでいるわけではないが、君にすれば大きな声で話していた。
風が教室に入ってきて、カーテンが揺れる。汗が乾く。蝉の音が聞こえる。
「じゃあ、一緒に死んでくれる?」
僕はひとつ、息をつく。
そんな気はしていた。足についた痣、ぎこちない笑顔、軽口。
僕はそれが全部、大好きだった。
「…勿論!」
僕は恐怖なんて微塵も感じずに窓に近づいた。
「え、ほんと?」
「ほんと。君の最後の相手に選んでもらえて嬉しいよ。」
君は不思議そうに首を傾げてから、まあいっか!と言って吹っ切れたように笑った。
僕は君の手を取り、窓枠に乗り上げる。
「…あのさ、最後にいい?」
「いいよ。」
一つだけ、言っておきたいことがあった。
思えば僕はいつもこの事を考えていた。
「気持ち悪いかもしれないけど…君が終わるならその時横にいるのは、世界中を探しても僕しかいないと思ってたんだ!」
君は一瞬呆けた顔をして、何か、愛おしいものを見つめるような視線を僕に向けた。
「私も、私の最後に君がいたらいいなって思ってた!」
その瞬間、君は僕に抱きついてきた。
体に落下感を感じる。
風がシャツを吹いて、どこか涼しい。
煩いほど鳴く蝉の音に囲まれ、風に撫でられながら落ちていく。
「ありがとう!」
君は大きな声でそう言って、僕の唇に口づけを落とした。
「…うん。ありがとう!」
君には恥ずかしくて言えないけど。
これは僕達の最期に、相応しい結末だった。

5/15/2024, 10:59:58 AM

後悔の味は、いつも私の舌の奥の方に戸愚呂を巻いて存在している。
私がどんな歔欷に震え、安堵しその感情を舌の上で転がして味わったとしても、最後にはそれを嘲り嗤うように後悔の味が広がる。
もう二度と、この味が消えることはないだろう。

5/14/2024, 10:47:27 AM

どこまでも飛んで行きたい。
誰も行ったことがない場所へ。
誰も見たことのない景色を見に。
この涼やかな風に身をまかせ、どこまでも飛んで行きたい。

5/13/2024, 10:13:13 AM

あの時を愛してた。
あの、黄金時代を。
失った時間は戻ってこない。
もう、戻らない。

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