_やりたいこと_
「今日一日、なにかしたい事とか、やりたい事ある?」
「んん〜…私は何処でもいいかなぁ…あっ貴方が行きたいところが行きたい!」
そうきたか…
なんと今日は彼女の誕生日だ。プレゼントだけだと、いまいちあれなんじゃないかと思い、ついデートに誘ったが、行きたいところなんて考えてない…。いやクソだなって思うだろ?でもな、今日は彼女が主役だから、彼女の行きたいところをなんでも連れてってやろうと計画していたんだ。
…それじゃあただの言い訳か…。
考えてもない&それがなんと俺が行きたいところとは…
どうしよう、ここは普通に遊園地に行くか…いや、水族館か?その後は適当に飯でも食って…いや、
折角の彼女の誕生日に適当なスケジュールは嫌だなぁ…。
黙って考え込んでいたところ、彼女が心配そうにこちらを見つめていった。
「え、えっと、ごめんね?私のわがままだったかな…?」
俺は、ハッと我にかえる。…また彼女に謝らせてしまった。
はぁ…がちで俺何してんの…。ここで考え込んでもどうしようもないだろ…。
「…その、本当にごめん…実は今日君の行きたいところにデートしに行こうと計画してて…何処に行こうか決まってないんだ…。これじゃあただの言い訳だけど…。」
彼女がポカンとした顔で俺を見つめる。…やらかしたな、折角の誕生日なのに何やってんだよ…。情けない男だ。きっと嫌われる。
落ち込んでいるとふと彼女の笑い声が聞こえてきた。
「ふふっ、いいよ。全然。貴方も貴方で沢山考えてくれたんでしょう?それだけで充分よ。今日は私の行きたいところに行こう。」
と、俺に優しく笑いかけた。
「あぁ、ごめんな。…」
「いいよ!そんなに落ちこまなくても!私のためにたーっくさん考えてくれただけで私、すっごく嬉しいから!…ね?」
俺をフォローするかのように必死に伝えてくれた。本当優しいな…。
その後は彼女の行きたいところに行って彼女のやりたい事を沢山した。
そして、デートのクライマックス。
「誕生日おめでとう。」
俺は手に持っていた赤のリボンが結んである、可愛い紙袋をそっと彼女に渡した。
_朝日の温もり_
日曜日の朝。いつもよりも遅く起きた。朝日が照らされていて、ご機嫌に伸びをしてベットから降りると、いつもなら彼の方が早く起きて朝食の準備をしてくれていて、とっても優しい彼が、ベットの隣でまだ眠っていた。
私はいるはずも無い彼がまだ隣で寝ていて少しびっくりした。最近、ちょっと疲れ気味だったからかな…。
私は彼のぐっすり眠っている顔をまじまじと見つめた。
いつもはこんなに見つめる事もないから…少しドキドキするなぁ。
彼の、一定に優しく呼吸をする音。ふわふわとした髪。私に近づいて寝ていたであろう、凄く距離が近かった。
いつもは何処かクールでかっこいい彼、すやすやと眠っている顔を見ていると凄く可愛らしく見えた。
そんな彼がとても愛しく思えて、思わず頭を撫でた。
…ふふ、いつもと立場が逆ですよ〜。
まだ、寝てても良いからね。今日は私が貴方のために張り切って朝食を作ってあげるから。
朝日が照らされているカーテンを静かに開けて、彼のために作る朝食に沢山の愛を込めて作りました。
_岐路_
人生において、とても重大なわかれ道があるよね。こちらが正解なのか、あるいはこっちの方が正解だったのか…。自分の人生や他人の人生、答えは誰にも分からない。
この先どうなっていくのか、幸せであろうと思っていた道には思いがけない事で一気に崩れ、壊れていく。それが怖くてまた悩む。
考えるのが疲れた時は休んでも良い。誰か大切な人と一緒に悩んでも良い。沢山悩んで決めたものでも、やっぱり少し、あれにしとけば良かったかな…とか、こっちにしなきゃよかった…って思う時もある。それもまた人生。自分の道の選択肢には正解がない。もしかしたら、悪い方に決めてしまった場合も後々に凄いことが起こるかもしれない。
この先何が起こるか分からない。それでも、自分の選択が少しでも幸せでありたい。また新たな道に着くまで、大切な人と歩めるまで、ゆっくり時間をかけて進みたい。
_世界の終わりに君と_
「ねぇ、この世が最後になったらどうなるんだろうね…。」
静かにコーヒーを飲んでいた所、彼女が突然大きな疑問を抱くので口に含んでいたコーヒーが吹き出しそうになるのを堪えて飲み込んだ。
「今日は静かなもので心配でしたが…ふふ、急にどうしたんですか。…変な夢でも見ましたか?」
今日は普段みたいに明るい彼女の姿は何処にも見当たらなかった。何を言い出すのかと思っていたら、まさかの大胆な考え。ふふ、彼女らしくて可愛いですね…。
「ちょっと考えちゃって。昨日見た本にそんな感じのが書いてて、どうなんだろうなぁって思っただけだよ。」
「なるほど…。もし、世界が最後になったら…。俺とデートしてくれませんか?」
甘い言葉を彼女にうつつもりだったが、やっぱり彼女と一緒に過ごしたいと言う願望の方が勝って自分の我儘になってしまった。
「…デートだけでいいの?」
…?
彼女の頬は少し赤みが刈っていた。…彼女は何を考えているのだろう。
「どうしました……か。」
体をピタッと止める。彼女の意味深な言葉と赤くなっている理由を理解した瞬間。俺の顔はみるみる内に赤く染められていく。
「…俺はいつでも良いですけどね。」
これは本当だ。なんなら今も触りたいぐらい、彼女の事を好いているのだ。…これは彼女には言わないでおこう。
「…え、へ?い、いつでも…⁈。え、良いの?」
あたふたする彼女。混乱の目をしていて凄く可愛かった。
「はい、俺はいつでも貴方の側にいたいし、守ってやりたいです。でも、側にいるだけでも充分幸せですが…それだけじゃなにか物足りないですし…。」
そう言って俺は彼女に優しく抱きついた。強く抱きしめたら壊れてしまいそうな気者な体。俺の好きな甘い香り。サラサラでふわっとした髪。抱きしめるとわかる、この感覚。自分で抱いた癖にこれが俺を尚更ドキドキさせる原因でもある。
「……。」
俺は優しく彼女の頬を触り、キスの体制をとる…。
そうすると、彼女は慌てる様に俺に言った。
「キ、キスをして良いのは世界の終わりの時だけだよ、!
…ほら、もうハグし合っているんだし!充分よね…!」
そう言ってまた俺を強く抱きしめた。…最後の日までダメって事だよな…。
「…俺さっき言ったじゃないですか。物足りないって。それに、世界が終わるまで待てませんよ、たとえ終わりが来ようと、終わってほしくないです。貴方との幸せな時間を無くしたくないです。」
俺は真剣に彼女を見つめた。…これじゃあまるでキスをどうしもやりたい変態野郎みたいになってしまうか。まぁ、そうなんだけど。
「なので…俺は最後の時まで絶対に待てませんよ。」
「…ふふっ、ごめんなさい。私だって最後の時まで待てないよ。」
照れくさそうに言う彼女。俺も自分で言っといて、照れくさくなってきた。
「俺も耐えられません。毎日充電してもらわないと。」
「ま、毎日キスは恥ずかしいから…やだ。」
そう言う彼女は何処かいたずらそうに笑っていた。その後はまた俺を強く抱きしめた。ふふ、逃しませんよ。俺には貴方を守る権利があるから。
「もし、本当に最後が来たら、それまでに、沢山の幸せな思い出をつくりましょうね。」
_最悪_
私は良く、自分の意思と逆の事をしてしまう。これは別に障害とかそう言うのじゃなくて、ただたんに恥ずかしくてって事とか、ネガティブ…て、感じかな。例えば、誰かが自分を褒めてくれた時とか、本当はすぐにありがとうって言いたいのに、
「本当はそう思ってないくせに…。」
と、勝手に口に出してしまう。そりゃあ相手も嫌な顔になる。本当はとっても嬉しい。でも、心に何かがつっかえるみたいに、自分の気持ちを素直に喜べない。そんな自分が嫌だった。早く治して自分の気持ちに素直になりたい。
今日も彼と雑談をしている時に、また最低で最悪な返をしてしまう。
「貴方って、私と話してて楽しいの…?私は貴方の思っているような人じゃないよ?」
あぁ、バカじゃん私。彼は一瞬ビックリしたかのように目を見開いた。少し戸惑ってすぐに私を慰める様に、
「俺は貴方と居るからこそ、楽しく、愛しい気持ちが溢れてきます。…だから、そんな事言わないで下さい…。」
ネガティブで自分勝手な発言にも対して彼は私に真剣で正直な気持ちで伝えてくれた。…いや、正直な気持ちかはわからないけど…。
こんな、こんな醜い私を愛してくれる。そばにいてくれる。
そう思うと、突然涙が溢れてきた。
「…ごめんなさい。私は、こんなにも最低最悪な人なのに…性格だって最悪なのに…。」
泣きながら彼に謝ると、私の頭をそっと撫でてくれた。
「大丈夫です。俺は貴方が側にいてくれるだけで、それだけで幸せですから。でも、俺の最愛な人が自分を自己嫌悪しているのは…ものすごく辛いです。」
彼は涙で濡れた頬と目を優しく手で拭き取りながら私に問いかける。
「…貴方は凄く優しいお方です。"ネガティブ"。それもよさです。自分を謙遜できるし、慎重さもある。しっかり者って事なんですよ。俺はそんな貴方も大好きなんです。」
そう言った彼の表情はやっぱり優しい。彼は偽りもない、とっても優しい彼だ。私も続いて優しい笑顔を作った。
ふわっと言葉が頭に浮かぶ。言うなら今だけ。そんな気がして口元が緩んだ。
「ありがとう。私も愛してるよ。」
私は嘘のない、正直な気持ちを彼に伝えることができた。
彼は私を強く抱きしめてくれた。
_最悪_(正直)
書いてなかったので組み合わせました。