SAKURA・Lemon

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_やりたいこと_

「今日一日、なにかしたい事とか、やりたい事ある?」

「んん〜…私は何処でもいいかなぁ…あっ貴方が行きたいところが行きたい!」

そうきたか…
なんと今日は彼女の誕生日だ。プレゼントだけだと、いまいちあれなんじゃないかと思い、ついデートに誘ったが、行きたいところなんて考えてない…。いやクソだなって思うだろ?でもな、今日は彼女が主役だから、彼女の行きたいところをなんでも連れてってやろうと計画していたんだ。
…それじゃあただの言い訳か…。

考えてもない&それがなんと俺が行きたいところとは…
どうしよう、ここは普通に遊園地に行くか…いや、水族館か?その後は適当に飯でも食って…いや、
折角の彼女の誕生日に適当なスケジュールは嫌だなぁ…。

黙って考え込んでいたところ、彼女が心配そうにこちらを見つめていった。

「え、えっと、ごめんね?私のわがままだったかな…?」

俺は、ハッと我にかえる。…また彼女に謝らせてしまった。
はぁ…がちで俺何してんの…。ここで考え込んでもどうしようもないだろ…。

「…その、本当にごめん…実は今日君の行きたいところにデートしに行こうと計画してて…何処に行こうか決まってないんだ…。これじゃあただの言い訳だけど…。」

彼女がポカンとした顔で俺を見つめる。…やらかしたな、折角の誕生日なのに何やってんだよ…。情けない男だ。きっと嫌われる。

落ち込んでいるとふと彼女の笑い声が聞こえてきた。

「ふふっ、いいよ。全然。貴方も貴方で沢山考えてくれたんでしょう?それだけで充分よ。今日は私の行きたいところに行こう。」

と、俺に優しく笑いかけた。

「あぁ、ごめんな。…」

「いいよ!そんなに落ちこまなくても!私のためにたーっくさん考えてくれただけで私、すっごく嬉しいから!…ね?」

俺をフォローするかのように必死に伝えてくれた。本当優しいな…。
その後は彼女の行きたいところに行って彼女のやりたい事を沢山した。

そして、デートのクライマックス。

「誕生日おめでとう。」

俺は手に持っていた赤のリボンが結んである、可愛い紙袋をそっと彼女に渡した。

6/10/2024, 12:51:43 PM