川瀬 ゆた。

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8/6/2022, 10:07:07 PM

#太陽



どちらかと言えば、太陽が嫌いだ。特に、夏の太陽。暑苦しくて体調が悪くなる。

早々に熱を上げた僕。うーんうーんと言いながら、窓の外を見ようとしたら、太陽の光が入ってきた。
ギラギラと光る太陽がダメージを与えてきて、近くにあったビニール袋にゲロを吐いた。

「……メンタルクリニックの先生も、なるべく朝の太陽を浴びようねって言ってたけど、夏だけは無理だよ……無理、気持ち悪い……」

独り言を吐いて、溜息をついた。

僕の部屋は、今日も暗い。

まるでギラギラ輝く外とは、別世界みたいだ。
解熱剤と睡眠剤を飲んで、布団に潜る。こうやって、夏が過ぎるのを待っているのだ。


8/1/2022, 11:03:16 PM

#明日、もし晴れたら

アパートを借りて、一人暮らし。フリーランスで動画編集だったり、ウェブライターを請け負ったりしている。

「──当分の間、雨は続くでしょう」

テレビから聞こえてくるアナウンサーの声。
もはや聞き慣れた言葉だ。台風が来ている様子もないし、特に変わったことはない。ただ、これが『地球温暖化の影響』であれば、納得のいく話だ。

人間がもたらした悲劇。
その事実すら目を逸らすのだから、どうしようもない。

息抜きに背伸びをして、白いカーテンを開ける。ザーザーと鳴る雨、強い風とともに、窓を叩いている。
道路の様子を見てみると、コンクリートの道路は隠れていて、代わりに見えるのは船を漕いで出勤をする会社員。毎日、雨との戦いで疲れているはずなのに、彼らは今日も仕事へ行く。

『今日』が始まった、と感じる瞬間だ。

──僕は、雨の音を聴いている。

ノートパソコンを開いて、ひたすら文字を打つ。
これは日記だ。僕の、大切な人へ向けた日記。ここに来る確証も無いのに、君の言葉を信じている。

『明日、もし晴れたら、一緒にお出かけしようね』

君の笑顔が眩しかった。
まるで『太陽』のような温かさを持っている。

そんな彼女が来なくなったのは、雨が続いてからだ。

明日、もし晴れたら。
僕と一緒に、お出かけしてくれるのかな。

期待半分、諦め半分でいる。

また会いたいな。
そう思って、今日もてるてる坊主を作るのだ。

7/31/2022, 10:39:27 AM

#だから、一人でいたい。


邪魔な奴は、殺す。

たった、それだけだった。

俺にとって、誰かと一緒にいることは、俺という人格丸ごと否定された気分になるのだから。仕方がない。

多分、人として生きるのが向いていない。

手に握り締めた包丁を、先程殺した男の首に押しつけて、横にスライドするように斬る。すると、ブシュッ、という音を立てて、血が吹き出してきた。

顔に、手に、汚らわしい血がついた。

「悪いのは、お前。俺じゃない。関わろうとしたお前が悪いんだよ。もう、こんなの、懲り懲り……」

涙なのか、男の血なのか、もはや分からない。

ボタボタと流れた赤い液体を眺めながら、フラフラと立ち上がる。
歩く度に、床に散らばった血の海が、波を立てる。
何人殺したか、もう覚えていない。
嫌だと思った瞬間に斬りつけてしまっているから、気づいた時には誰もいない。

そんな人生、誰が望んで選ぶかよ。

生気のない男の目を見て、

「俺に関わるな。二度とな」

と言って、部屋を出る。

胸が苦しい。息ができない。
頭が痛い。体中から汗が吹き出してくる。
足の痙攣が収まらず、部屋の扉の前で座り込んだ。

涙が出てきた。

つらい。

こんなはずじゃなかった。

いつも、俺と関わる人達は、皆死んでいく。
跡形もなく、虚ろな目と死体だけを残して──

『邪魔』と言う度に、
俺の中にある『正義』が声を上げる。

「お前は一人でいい。一人がいいんだ」と。

周りがどう言おうが、俺と関われぱ死ぬ運命。
ならば、俺自身が死ぬか、人と関わらなければいいだけの話。二度と犠牲者を出さないようにする為にも、俺は俺なりの努力をしていかなければならない。

まずは『独り立ち』。
自分の身近なところから整えていく。
そこから自分なりの幸せを見つけていく。

幸せを見つけるために、独りになる。
だから、一人でいたいんだ。



7/31/2022, 8:10:43 AM

君の澄んだ瞳は、何を映しているのだろうか。

遠い未来なのか。
それとも、過去の思い出を振り返っているのか。

君自身が何を考えているのか分からない。
何を求めていて、何が欲しいのか。

一体何処を目指しているのか……。

僕なんかが埋めることができる事なのだろうか。
考えれば考えるほど、分からなくなる。それが「恋愛感情」というものであれば、二度としたくない。君で終わりにしたい。

一緒の部屋にいても、モヤモヤした気持ちが湧き上がってくる。体育座りをして、両膝に顔を埋める。

君は優しく背中をさすってくれた。

「君がどこか遠くに行きそうで、怖いよ」
「うん」
「何処にもいかないで。ずっと、僕の側にいて」
「分かってる」
「約束だからね?」
「うん、約束守るよ」
「ありがとう」

君は、幸せそうに笑う。
その笑顔を守りたいから、君を離したくないんだ。

──その次の日、彼女は死んだ。

部屋のドアノブで、縄を首にかけて自殺を選んだ。
もがき苦しんだ瞳には生気が無い。だが、その瞳に映るのは、僕のすがた。思わず、ぎゅ、と抱きしめる。

すると、突然知らない女の声が聞こえてきた。

「あんたのせいよ」

そう言って、女が勢いよく何か硬いものを振り下ろすと、僕の頭に直撃した途端に、血が流れた。尋常ではない量だ。
慌てて振り返るが、そこには誰もいない。

代わりに置いてあったものは、僕が仕事で使っていたハンマーだった。

世界が歪んで見えてきた。

ぐらり。

ああ、最期に君を……。

そう思い、倒れる寸前に君を見ると、涙を流しながらも、ほんの少し微笑んでいた。
殺意と憎しみに溢れた瞳も、どこか澄んでいるような、清々しさを感じた。不思議な感覚だ。

「僕、の、せい、だっ、たん、だ、ね。……ごめん、ね」

もう限界だ。
目を閉じると、二度と戻れない。
だけど、それでいいと思った。
彼女が直々に手を下してくれたのだから、満足している。

君の瞳に会えるまで、サヨウナラ──。

7/28/2022, 10:21:55 PM

「おまつり、いこうよ」

「……いやだ。いかない」

「なんで? だれかといけば、たのしいよ!」

「じゃあ、べつのだれかといけばいいじゃん。ぼくじゃなくてもいいでしょ」

「よくない」

「なんで?」

──だって、好きだもん。

なんて言えるわけが無くて、俯いてしまう。
彼は溜息をついて、私の手を引いた。
顔をあげると、彼はこちらを見ずに、こう言った。

「さみしいなら、さみしいって、ちゃんと言いなよ」

「で、でも、さっきいかないって」

「……じょうだん、だよ。分かるでしょ」

「!」

そっか、そっか。
私は嬉しくなって、ニコニコ笑った。

「すなおじゃないんだね」

「うるさい」

「えへへ、おまつり、たのしみだなぁ!」

「……うん、そうだね」

困り顔の彼が可愛くて、ニコニコ笑った私。
文句言いながらも、つき合ってくれるのが大好きだなぁ。
本人に言うのは、緊張しちゃうけど、絶対付き合ってやるんだから!という気持ちが出てきた。

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