川瀬 ゆた。

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#明日、もし晴れたら

アパートを借りて、一人暮らし。フリーランスで動画編集だったり、ウェブライターを請け負ったりしている。

「──当分の間、雨は続くでしょう」

テレビから聞こえてくるアナウンサーの声。
もはや聞き慣れた言葉だ。台風が来ている様子もないし、特に変わったことはない。ただ、これが『地球温暖化の影響』であれば、納得のいく話だ。

人間がもたらした悲劇。
その事実すら目を逸らすのだから、どうしようもない。

息抜きに背伸びをして、白いカーテンを開ける。ザーザーと鳴る雨、強い風とともに、窓を叩いている。
道路の様子を見てみると、コンクリートの道路は隠れていて、代わりに見えるのは船を漕いで出勤をする会社員。毎日、雨との戦いで疲れているはずなのに、彼らは今日も仕事へ行く。

『今日』が始まった、と感じる瞬間だ。

──僕は、雨の音を聴いている。

ノートパソコンを開いて、ひたすら文字を打つ。
これは日記だ。僕の、大切な人へ向けた日記。ここに来る確証も無いのに、君の言葉を信じている。

『明日、もし晴れたら、一緒にお出かけしようね』

君の笑顔が眩しかった。
まるで『太陽』のような温かさを持っている。

そんな彼女が来なくなったのは、雨が続いてからだ。

明日、もし晴れたら。
僕と一緒に、お出かけしてくれるのかな。

期待半分、諦め半分でいる。

また会いたいな。
そう思って、今日もてるてる坊主を作るのだ。

8/1/2022, 11:03:16 PM